7月24日から開かれている国会の閉会中審査では、相も変わらずと言うか、懲りもせずと言うか、加計学園の獣医学部新設について議論が交わされている。
世間の関心はともかく、個人的には流石に飽きた。だが、証人として答弁した文部科学省・元事務次官の前川喜平氏がボロを出し始めているのが面白い。
和泉首相補佐官から呼び出しを受けた時刻がころころ変わったり、誰も「加計学園にしろ」とは言って無かった事が明らかになったり。
ようやく、「嘘ついてるのって、前川の方じゃね?」と言う声が増えてきたように思う。
そんな中、前川氏の残念な本性が剥き出しになった議事録が発見され、話題になっている。その議事録をより多くの人に理解してもらえるように、採用面接に置き換えてみた。
是非とも、前川氏が主張する「吏道」とやらのバカバカしさを味わって欲しい。
笑ってはいけないと話題の規制改革・民間開放推進会議の教育ワーキング・グループ議事録
話題になっているのは、12年前、前川氏が初等中等教育局初等中等教育企画課長時代の議事録である。
これは、文部科学省に対して規制改革・民間開放推進会議の教育ワーキング・グループが、「現在の教員養成・免許制度が、教員としての適格性をどのように保証しているのか」などについて尋ねたものである。これが「笑ってはいけない議事録」であるとしてネットで話題になっているのだ。
この前川氏の答弁がまあ恐ろしく頑固であり、何が何でも既得権益を維持したい官僚の本音がひしひしと伝わってくる。長い議事録だが、10〜11ページを見るだけで十分に面白い。
ただ、この議事録で議論されている内容は専門的でわかりにくい部分もあるため、より多くの人に理解してもらえるよう採用面接に置き換えてみた。
前川氏が採用面接に訪れたらという空想
○登場人物
面接官A(規制改革・民間開放推進会議 安念専門委員)
面接官B(規制改革・民間開放推進会議 福井専門委員)
面接受験者・前川喜平(文部科学省 初等中等教育局初等中等教育企画課長)
○面接議事録(空想)
面接官A「お待たせいたしました、それでは前川喜平さんの採用面接を始めます」
面接官B「まずは前川さん、これまでの仕事の実績や能力について自己PRをお願いいたします」
前川喜平「文部科学省の課長です。実績とか能力とか、特に実際のデータというものはないです」
面接官B「あなたについては批判的な見解もよく聞くのです。例えば、あなたが天下りに関与していたとか」
前川喜平「文部科学省の課長というのは、その長年の知識、経験、技術の集積と、人物が優れていることによって課長になったと判断された人です。どこの会社でも共通して評価いただける立場であると」
面接官B「少なくとも我々は我が社にあなたがふさわしいかを面接しているのです。我が社で活躍するための、実績や能力を前川さんの方からきちんと説明していただきたい」
前川喜平「ちょっとお待ちください。もし私が御社にふさわしくないとおっしゃるのであれば、そちらの理由を挙げていただきたいと思います」
面接官A「全然違います。前川さんが弊社にふさわしいかどうかを判断したいが、それを判断するための実績や能力を前川さんが説明してくれないので困っているのです」
前川喜平「それを面接官に出していただきたい」
面接官A「そんなことができるわけがないでしょう。自己アピールは前川さんの責任ですよ」
面接官B「我々は前川さんの自己アピールを聞く立場だ」
前川喜平「私の実績や能力に疑問を持たれているのであれば、なぜ疑問を持たれているのか、その理由を言ってくれないと私は答えられません」
面接官A「前川さんの実績と能力、まだ何の自己アピールも無いのに初めから信じるなどというのはバカげたことでしょう」
面接官B「もし何の実績や能力も無いのに、それを隠して合格しようと思っているのだったら、ゆゆしき問題ですよ」
前川喜平「私の実績や能力に疑問を持たれているのであれば、なぜ疑問を持たれているのか、その理由を言ってくれないと私は答えられません」
面接官A「前川さんからまだ何の具体的な自己アピールを聞いていないんですから、自己アピールを聞きたいと言うのは当たり前です。何の証拠も無いんですから」
面接官B「あなたが本当に我が社にふさわしい人物なのかを知りたいのです。だから、自己アピールをして欲しいということです」
前川喜平「そんなに私の実勢や能力に疑問を呈するのであれば、その疑問の・・・」
面接官A「自己アピールもしない志望者を採用する会社がどこにあるんですか。自己アピールをしない人に疑問を持つのは当たり前でしょう」
面接官B「面接を受けにきたのは前川さんです。勘違いしないでいただきたい」
前川喜平「それは違うんです。私の実績や能力に疑問を持つ理由をちゃんと示していただかないとわからないじゃないですか」
面接官B「責任を持って自己アピールするのは面接を受けにきた前川さんです。私たち面接官は、その自己アピールを聞いて、前川さんが我が社にふさわしいか判断する立場です。もし、何の実績や能力も無いのに面接を受けに来たのだったら問題です」
前川喜平「不十分な根拠で言い掛かりを付けているとしか思えません」
面接官B「そういうヤクザの言葉遣いみたいなことはやめていただきたい」
自分が一番偉いと勘違いしている前川氏の「吏道」
いかがであろうか。私が面接官であったら一発で不採用にするだろう。
この議事録から伝わってくのは、前川氏の「(文部科学省の)官僚が一番偉い」という盛大に勘違いした「吏道」である。
実際に「私 座右の銘が『面従腹背』なんです」とふざけた発言をしているくらいなので、まず合っているだろう。
ビジネスの大原則は、お互いが合意しての契約である。だが、そこに「お願いする」側と「審査する」側という、力の強弱関係がある。
組織ならば意思決定を円滑にするため、大勢の部下が「お願いする」側で、少数の上司が「審査する」側である。これにより、少数の洗練された情報や施策が実行される。
売買契約や雇用契約を結ぶ場合、お互いの立場によって強弱は変化する。プロ野球で例えれば、ほとんどの高卒ルーキーは「入りたいとお願いする」側であり、球団は「入れるかどうか、審査する」側である。しかし、ダルビッシュのようなスーパースターになると、球団が「我がチームに入って欲しいとお願いする」側であり、選手は「どこに入るか審査し、選ぶ」側になる。
前川氏は、文部科学省の官僚、そのトップの事務次官である自分が日本で一番偉いと思っているのだろう。文部科学省のやる事は全て正しい、文句があるなら俺を納得させろ、決めるのは常に俺だ、と。
だから、文部科学省の政策が正しいかどうか判断する規制改革・民間開放推進会議に委員に向かって、「文部科学省の政策に疑問があるなら、お前が説明しろよ」との発言になるのだ。
だが、これは明後日の勘違いである。
日本国憲法第41条で、「国会は、国権の最高機関」と定められている。そのため、国会で承認された内閣総理大臣が、内閣の一機関である文部科学省の官僚より偉いのは当然だ。
当然、内閣総理大臣が指名した内閣人事局、各ワーキング・グループも同様である。
予想以上に加計学園問題が盛り上がり、内閣支持率も低下して来たので前川氏はしてやったりかもしれない。だが、どう見ても裸の王様になっている現状には気づいて欲しいと願って止まない。