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富山生まれは「閉鎖的な考え方が強い」と言われて、富山県出身の私が思うこと

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出典:Illustcut.com

7月13日、富山県民にはおなじみの総合機械メーカー・不二越の本間博夫会長が採用に関し、

富山で生まれて地方の大学に行ったとしても、私は極力採らないです。学卒ですよ。地方で生まれて、地方の大学もしくは富山大学に来た人は採ります。しかし、富山で生まれて地方の大学へ行った人でも極力採りません。なぜか。閉鎖された考え方が非常に強いです。偏見かも分からないけど強いです。

と発言し、批判が殺到している。

Yahoo!ニュースのコメント欄では「偏見であり、差別だ」「言っている本人が最も閉鎖的な考え」「デリカシーなさすぎ」と批判コメントで埋まっている。

富山労働局も「本人に責任のない出身地が採用で考慮されることは就職差別につながり、憲法で保障された職業選択の自由が損なわれるおそれがある」と不適切であると指摘している。

これを聞いた時、富山県黒部市出身の私としては、何とも複雑な気持ちになった。


富山県民に特有の県民性は確かにある

1980年から1998年。富山県黒部市に生を受けてから、富山中部高校卒業までの18年間を富山県民として過ごした私は、はっきりと言える。

富山県に特有の県民性というのは確かにある。

秘密のケンミンSHOWなんかで「県民性」というものがクローズアップされるようになって久しいが、ぶっちゃけ大体合ってる。

ネットで調べても、「とことん県民性」とか、「ここが変だよ富山県人」とか出てくるけど、やっぱり大体合ってる。

総じて思うのは、富山県民は勤勉である。よく言われる「持ち家率第1位」だけでなく、「個人貯蓄残高7位」とか、「共働き世帯割合3位」のように、堅実に仕事に取り組み、しっかりと貯金をする家庭が非常に多い。

こういう面だけ見れば、「素晴らしい県じゃないか」と言われそうだが、そんな良い面だけだったら私も富山に残っている。実際、私は大学進学で大阪に出てから、実家には帰らずに大阪、神奈川と都会で働き続けている。

私自身、全員とは決して言わないが、富山県出身者には「閉鎖的」な側面が強いと思っている。

もうちょっと詳しく言えば、「狭い常識」「古い常識」に囚われている人が多いと思っている。

例えば、「男は結婚して、家庭を持って一人前」とか、「女は家庭を支えてなんぼ」とか、「勉強できる奴が偉い」とかそんな感じである。

富山県は、中学校までの学力が高いことでも知られている。全国学力テストの順位は4位だ。学級崩壊に悩まされている都会の小中学校と違って、富山県の小中学校の教員は権威があり、先生の言う事にはみんな従っていた。

だから、小中学校まではみんな、先生の言う事を真面目に聞いて勉強する。しかし、それは長続きしない。所詮、ただの恐怖支配だからだ。私も、小中学校の先生の多くは尊敬しているが、今思い出せば無意味な体罰・パワハラ上等のクズみたいな先生もまたたくさんいた。

だから、自主的な努力が求められ、本当の学力勝負になる大学受験になるとメッキが剥がれてしまう。センター試験の点数では、富山県の順位は30位まで落ちてしまうのだ。

また、共働き比率が高いと言ってもパート労働がほとんどであり、男尊女卑の思想は比較的強い。富山県で女性国会議員が当選したのは未だにゼロのはず(少なくとも私が生まれてからはゼロ)だし、県会議員・市議会議員もほとんど男性だ。

良くも悪くも女性議員が大量当選したり、LGBTへの市民権を認めようという活動が活発になっている東京などと比べると、やっぱり閉鎖的な考えの人が多いと思う。

不二越会長の懸念も、ちょっぴり理解できる

このように、富山県の県民性は実際、閉鎖的な感じが強いので不二越の会長の懸念はわかる。

進学校の富山中部高校を卒業し、大阪大学に進学した私を含め、富山県の優秀な若者の多くは県外に進学し、そのまま帰ってこない。

実際、富山の企業に就職する人に、富山県の高校出身の人は非常に多い。そして、しょうもない事に、出身高校による学歴差別が酷い。

私が卒業した富山中部高校は、富山県では1・2を争う進学校である。公立高校でありながら勉強に非常に力を入れている学校であり、私も母校は大好きだ。

しかし、富山中部高校は、同レベルの偏差値の富山高校・高岡高校と合わせて地元で「御三家」と呼ばれており、卒業生はエリート意識全開の奴が結構多い。また、偏差値だけで言うならばもっと低く全国レベルでは普通の高校を含めて、「五摂家」などと呼んでいたりする。

正直、私はそんな狭い世界でエリート扱いされるのもするのも嫌だった。ので、県外の大学に進学し、今も神奈川で自分の実力一つで勝負したいのだ。

なので、不二越の会長が懸念するように、社員が富山県出身で占められる状況になってしまうと、多様なアイデアが生まれにくいという危機感はわかる。悲しいが、わかるのだ・・・

しかし、出自で採用を差別するのは許されない。改めて、不二越の会長の発言を読んでみる。

不二越は2020年に(売上高)4千億円を目指しており、うち約4割をロボットで担おうとしている。大きな飛躍を狙う中で必要なのは、ソフトウエアの人間だ。特に不二越は機械メーカーのイメージが強く、富山にはまず来ない。富山で生まれて幼稚園、小学校、中学校、高校、不二越。これは駄目です、駄目です。変わらない。

ここで注目したいのは、不二越が「ソフトウェア」の開発に力を入れようとしている事だ。

ソフトウェアの開発は、これまでの日本のものづくり企業で素晴らしいとされた「勤勉にみんなが頑張る事で、良いものをたくさん作る」とは真逆の発想が求められる。

まさにアップルのスティーブ・ジョブズのように、「一人の独創的なエンジニアが、もの凄いものを一つだけ作る」発想が必要なのだ。

なので、優れたソフトウェアを作るためには、様々な考え・性格を持った、個性あふれる優秀なエンジニアをたくさん採用する必要がある。そういう背景の中で飛び出した発言であったのだろう。

多様な人材確保のために、流動的な労働市場で何度でもトライできる環境を

だが、もちろん理解はできても、擁護はできない。

出身・性別・学歴と言った現在の本人にはどうしようもない属性を元に、個人を一方的に切り捨てる事は差別である。出自で採用を差別するのは許されない。

しかし、現実として「採用差別」は存在している。

どの企業も公表しないだけで、特に学歴差別は大手を振って行われている。大企業の採用の現場を知っている人には常識であろう。

また、銀行の窓口や、受付業務、秘書業務と言った所で、容姿が優れた女性を優先的に採用しているのもまた常識であろう。

そういう意味では、採用差別を公表した不二越の方がまだ誠実かもしれない。

私はこのような差別が存在する現実は変わるべきだと思う。人間の本質は出身・性別・学歴なんかでは決して決まりはしないから、どんな学生をも差別することなく、実力のある若者に採用のチャンスを与えるべきだと思っている。

それを実現するためには、企業に「採用差別するな」と圧力を掛けるだけでは駄目だろう。今も堂々と学歴差別・容姿差別をしている企業のように、こっそりと隠れて差別するだけだ。

私はこの現状を変えるためには、とにかく雇用を流動化し、自分に合う会社を探しやすくするべきだと思う。

理不尽な理由で採用されなくても、ちゃんと評価してくれる会社が見つかる。差別を行うような非道な会社には、学生が就職をボイコットする、でもそんな学生も他の会社に就職ができる。

そんな雇用が流動化する社会を目指すこそ、差別を無くすための唯一の処方箋だと思う。

実際、都会で学歴差別や男女差別が比較的小さいのは、就職先がたくさんあるからだ。就職先がたくさんあれば、会社より社員の方が立場が強くなる。簡単な理屈だ。

それを実現していくために、ITを使ったテレワークの拡充、インターンの拡充、金銭解雇ルールの明確化といった、雇用流動化のための政策をどんどん推進して行って欲しい。

(参照:北日本新聞NHK NEWSキャリコネニュース


アゴラに掲載されました(2017年07月15日)

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author : 宮寺達也

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