文部科学省は薬学部の新設を30校も許可しているけど、それこそ歪んだ行政じゃない? | パテントマスター・宮寺達也のブログ

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文部科学省は薬学部の新設を30校も許可しているけど、それこそ歪んだ行政じゃない?

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出典:写真AC

7月10日、加計学園の獣医学部新設計画を巡り、参院の閉会中審査が行われた。

時の人である前川喜平・元文科省事務次官や、加戸守行・前愛媛県知事が参考人として証言したものの、案の定大して新しい事実も出て来ず、「こんなつまらない事でいつまで国会の議論を浪費するんだ」というゲンナリ感でいっぱいである。(参照:産経新聞

さて、前川氏は2015年6月の閣議決定「獣医師養成系大学・学部の新設に関する検討」を盾に、「具体的な獣医師の需要が明らかになっていないのに、加計学園の獣医学部新設を認めたのは、行政を歪めている」との主張を繰り返している。

将来、獣医になろうとする若者が路頭に迷わないよう、52年も獣医学部の新設を門前払いし続ける事が正しい行政であるというならば、ぜひお聞きしたい事がある。

15年で30校も薬学部を新設して来たのは、それこそ歪んだ行政なんじゃないですか?

2000年以降、薬学部が30校も新設されている

加計学園の獣医学部新設について、「獣医は余っているから、新設の必要は無い」という声が、獣医学会をや政治家、前川氏のような元官僚からどんどん聞こえて来た。

私は需給のバランスは市場で調整するべきだと考えているので、獣医が余っていても新設を認めても良いと考えている。だが、実際に獣医が十分に余っているならば新設の必要は無いとの意見は、一応、理解できる。

しかし、加計学園の獣医学部新設の問題はそれ以前の話だ。実際に加戸守行・前愛媛県知事が「四国に獣医が足りない」と訴えているし、また宇佐美典也氏が「文部科学省として獣医師の数が足りないと正式な会議の場で言っていた」と過去の議事録を発見している。

まあ、要するに加計学園の獣医学部の問題は、実際には獣医は足りていないけど、自分の売り上げが減るのを嫌った既存の獣医と文部科学省の癒着と見るべきだろう。

そして、この話題を聞いている内、「そういえば、他の学部はちゃんと需給予測をして新設しているのだろうか?」と疑問が湧いて来た。

そこで調べてみたところ、興味深い事に気付いた。薬剤師を輩出するための薬学部(6年制)が2000年以降、30校も新設されているのだ!(参照:薬剤師seek

特に2003〜2008年の5年間で28校もの薬学部が新設されている。しかも、全て私立大学だ。

そのおかげで2017年現在、薬学部は全国に73校(74学部)も存在する。しかも、私が調べた範囲で2018年に2校、2021年に1校が新たに新設される。たった16校で52年も変わっていない獣医学部とえらい違いだ。

さて、あれだけ文部科学省は需給見通しにうるさかったのだから、さぞかし薬剤師は不足している事であろうと思いたいが・・・

薬剤師数が世界で2番目に多い日本

薬剤師は大学新設の効果もあり、凄いペースで人数が増えている。2017年の薬剤師国家試験合格者は9,479人であり、現在30万人近い薬剤師が日本に存在している。

しかし、特に仕事に困っているわけでは無いようだ。厚生労働省が発表する求人情報によると、薬剤師の新規求人倍率は10.05倍であり、非常に高い水準である。

だが、薬剤師の数はすでに飽和状態にあるようだ。2017年の新薬剤師が9,479人なのに、新卒の薬剤師需要は約4千人しかないとのことだ。これは都市圏を筆頭に全国的にはもう飽和状態になっているが、地方ではまだ不足しているという非常に歪な状態だ。

ちなみに2010年のデータだが、人口1千人あたりの薬剤師数ランキングで日本は世界2位である日本は世界でも稀に見る、薬剤師天国なのだ。

そんな国でなぜ薬剤師がまだ足りない地域があるのか。それは一重に「調剤薬局」の存在である。

調剤薬局とは病院に代わって、医師の処方箋を元に患者に薬を販売する薬局である。私も今お世話になっている調剤薬局があるし、皆さんも何度も通った事があるだろう。

この調剤薬局で処方箋を元に薬を出すために、薬剤師が配置されていなければいけないのだ。そして、この調剤薬局は現在、日本国内に6万軒近く存在しており、コンビニエンスストアよりも多いのだ!

薬剤師の内、薬局に勤務する人は全体の半分強、16万人程度である。6万軒も薬局があれば、そりゃまだまだ薬剤師が足りないところが出てくる。

だからと言って、薬剤師の増加、薬学部の新設は正当化されるだろうか?

私は違うと思う。

調剤薬局で薬剤師と対面という不合理な制度の改革を

そもそも、調剤薬局で薬剤師が対面しなければ処方薬を貰えないという制度が歪んでいるのだ!

毎月通っているから心の底から実感しているが、処方箋を貰って処方薬を渡す事なんて誰にでもできる。私のような、毎月決まった薬を貰っているならば尚更だ。

「調剤」と言っても、別に薬剤師が乳鉢を使って薬をゴリゴリ混ぜ合わせ、作っているわけではない。ただただ、処方箋に書かれた薬を棚から選んでいるだけだ。

別に何の修行も知識も要らない。薬のパッケージに名前も書いてあるから、そう簡単には間違えない。コンビニのレジのアルバイトよりも簡単だ。

良く「薬剤師が対面で見なければ、患者に適切な薬を処方できない」「薬剤師ならば、薬の飲みあわせを判断できる」と言うが、とってつけた言い訳だ。

何度も調剤薬局に通って入るからわかるが、99.9%は処方箋そのままに薬を渡すだけだ。薬剤師が医師の処方を無視して独自の薬を渡すなんて、そんなリスクを踏むわけない。せいぜい、ジェネリックにするかどうか聞くくらいだ。

こんな不合理な制度は、高価な処方薬をバンバン売りたい製薬業界と、医薬分業を推進したい厚生労働省の思惑が合致した歪みに他ならない。これこそがまさに歪んだ行政と言えるだろう。

この調剤薬局の不都合は私だけでなく、多くの識者が指摘している。厚生労働省はITを駆使する等、処方薬をもっと受け取りやすくするための改革を一刻も早く進めて欲しい。

そして文部科学省はその歪んだ薬事行政を前にして、止めるどころかさらに歪みを拡大するように、薬学部をバンバン新設して入る。まさに、文部科学省そのものが行政を歪めている。

獣医学部の新設について国家戦略特区という正当な制度で規制緩和が行われたのを「行政が歪められた」と反発し続けるならば、「お前は他でもっと行政を歪めている」と特大のブーメランになって帰ってくるだろう。



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author : 宮寺達也



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