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(豊洲・築地)市場問題PT報告書はあまりにも不自然

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出典:都政改革本部ウェブサイト

6月5日、東京都の豊洲市場の移転問題を検証する都の市場問題プロジェクトチーム(座長・小島敏郎)が、小池百合子知事に提出する報告書を大筋でとりまとめた。築地市場の再整備と豊洲移転を両論併記しながらも、築地再整備のメリットを色濃くした内容になっている。(参照:毎日新聞

この報告書は東京都のウェブサイトで公開されているが、あまりに支離滅裂な内容に各所から総ツッコミの様相を呈している。

市場問題プロジェクトチーム第 1次報告書

私も内容を読んだが、最初から最後までツッコミ所満載で、どっと疲れてしまった。まず第1回の開催が2016年9月29日なので、9ヶ月近く掛けてまとめた報告書が両論併記という時点で終わってる。

例えば、仕事で「AとB、どっちの部品が良いか、検討してくれ」とお願いして、9ヶ月後に「AとB、どちらにもメリット・デメリットがあり、決め切れません」って報告されたら「ちょっと奥に来いや」とお説教の一つもしたくなる。

この報告、両論併記以外にもあまりに都民や卸売業者を馬鹿にした内容だ。ふつふつと怒りが湧いて来て、問題点をつぶさに反論したい気持ちに溢れている。だが、この報告書を読んでいる内、怒りとは別にある疑問が頭をよぎり離れなくなった。

「市場問題PTは、何を目的としてこんな支離滅裂な報告書を作成したのだろうか?」


支離滅裂な市場問題PT報告書

今回報告書がまとめられた市場問題PTだが、すでに第10回目の開催である。これまでの資料はウェブで公開されているが、徹頭徹尾、豊洲市場移転に消極的で、築地市場再整備の可能性について言及している。

今年の3月にも「設計1年、工期6年で500億から800億円の工事費用」という、誰が見ても「そりゃ無茶でんがな」という築地市場再整備案を小島座長が力説しており、今回の最終報告でも築地市場再整備が出てくるのはまあ、予想できた事であった。

都議会議員のやながせ裕文氏にも「運動家の側面をもつ、小島座長の野望」と評されており、そもそも公正な検討結果なぞ最初から期待していなかった。

当然、最終報告でも「豊洲市場は毎年140~150億円の赤字が出る」というアクロバティックな論理で築地市場再整備案を推しており、池田信夫さんに「豊洲移転は大幅な黒字である」と一刀両断されている。

私も当初は、都民や卸売業者の事を無視して個人的な欲望をゴリ押しする内容のため、豊洲市場を不自然に貶めている報告書だと思った。しかし、内容をよくよく読んでいくと、どうもそれだけが目的では無いような気がして来たのだ。

それは、肝心の築地市場再整備案で複数の案が示されており、何がベストかはっきりとしないのだ。

非常に読むのがめんどくさかったが、報告書に記載されている豊洲市場・築地市場の今後の方向を整理してみた。

図1 市場問題プロジェクトチーム第 1次報告書の内容まとめ

まるでギャルゲー?全部で10通りの市場移転パターン

まず、ネットの大多数の意見や最新の世論調査でも「豊洲移転を目指すべき」が53%(参照:朝日新聞)と、すでに結論の出ている豊洲市場移転について。

「法令上安全だが、安心ではない」「使い勝手が悪い」「毎年140~150億円の赤字」「豊洲市場はオワコン」「豊洲市場に移転したら他の市場の売上が落ちて困る(意味不明)」と、デマを含め徹底的にディスりながらも、一応案として記載している。

しかし、跡地となる築地については売却して得られる4386億円を無視するどころか、「築地跡地の最も有効な活用策は、築地市場として活用することである」と、豊洲・築地の両方を残す案も記載されている。築地跡地の売却を拒み方は偏執的で、狂気すら感じる。築地跡地にエッチな本でも隠しているのだろうか?

さらに、築地再整備案は嘘・大げさ・紛らわしいのトリプルアクセルで加速しっぱなしである。かつて400億円も掛けて挫折した築地再整備を、しかも営業しながら改修するという、ハンカチ王子の24勝宣言も真っ青な妄想案を披露している。なんと民間活用ならば7年・878億円でできるとの事だ。

「いや、そんなミラクルな業者どこにおんねん」「もうすでに東京オリンピックの会場建設始めてるやろ」という無粋なツッコミは置いておいて、驚くべきはその選択肢の多さである。民間活用、都庁推進という選択肢だけでなく、築地を仮移転する(どこへとは書いていない)選択肢、築地市場敷地にツインタワーを建設するかという選択肢まである。

報告書ではこのように、全部で10通りの市場移転のパターンがある。攻略ヒロインが多い事で人気だったギャルゲー・ときめきメモリアル4もびっくりだ。

市場問題PT報告書の目的は時間稼ぎか?

さて、市場問題PTの目的は「築地市場の豊洲市場への移転及び市場の在り方に関し(中略)、報告書を小池都知事に提出する」事である。

小池都知事はかなり前から豊洲市場移転について「総合的に考える」「多角的に考える」と答えをボカしており、「決められない都知事」との批判を浴び続けている。おかげで都議選の勝利も怪しくなってきた。

であるならば小池都知事肝いりの市場問題PTは、豊洲移転か築地再整備か、小池都知事をサポートするために答えをはっきりとさせるはずだ。しかし、報告書の最終版では移転の方式が10通り示され、全く報告になっていない。ここに強い違和感を感じる。

池田さんが指摘するように、小島座長は(恐らく意図的に)キャッシュフローの数字を間違えたり、豊洲市場は安全だけど安心でないと、第1回PTから徹底的に豊洲市場をディスっており、移転阻止に躍起になっている。

しかし、本気で豊洲移転を阻止したいならば、豊洲市場に対するネガティブ情報を書くだけでなく、説得力のある築地再整備案を記載しなければいけない。しかし最終報告で8通りもの再整備案を出し、説得力を弱めている。ここが極めて不自然であり、何らかの意図を感じる。

3月に公表された再整備案では、「①民間主導で、7年・878億円」の案であった。本気で築地再整備を実現したければ、この案をひたすら磨けば良かった。しかし、それをせずに、仮移転先の目処さえ無い「移転して改修」案を出したり、謎のツインタワーを出したり、とにかく選択肢を増やすためだけに残り時間を費やしたようだ。

古今東西、プレゼン資料で無意味な選択肢を増やす輩の考えは一つだ。ズバリ、「時間稼ぎ」である。

これは推測であるが、小島座長は自身の築地再整備案では、豊洲移転に勝ち目が無いことをわかっているのだろう。都民の後押しがあればまだ可能性はあるが、世論調査で豊洲移転が過半数になった現在ではそれも不可能だ。今回の10通りもの移転案の水増しは、移転案の精査に時間を描けることで、とにかく移転の判断を先送りにしたいということではないだろうか。

都議選までに豊洲市場の移転の結論が出なければ、世論を無視して築地再整備を強行する可能性も残る。そのためには、嘘・大げさ・紛らわしいをこれでもかと駆使して、都民から「豊洲移転がベスト」と思わせないようにしたいのではないか。もっとも、それが小島座長の個人の考えなのか、トップである小池都知事の考えなのかはわからないが。

これ以上の時間の浪費は許されない。一刻も早い豊洲市場移転を

だが、豊洲移転の決断を長引かせば長引くほど、都民の納めた貴重な税金がどんどん無駄に消えていく。使用しない豊洲市場のランニングコストだけで1日700万円が垂れ流されており、豊洲移転のために投資してきた卸売業者への補償費を含めると50億円〜100億円が無駄になっているのだ。

また、移転判断が決まらないことで卸売業者は生殺し状態だ。ついに、築地市場で水産仲卸を営む生田与克氏ら都民7人が小池知事らに約1億8千万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。(参照:産経新聞

都民ファーストを掲げる小池都知事にとって、これ以上都民を苦しめる事は許されない。小池都知事は一刻も早く、科学的にも法律的にも安全が確立された豊洲市場に移転するべきだ。

しかし、改めて思うのは、豊洲市場移転を頑として決断しない小池都知事の態度だ。本気で豊洲を潰そうとしているように感じる。しかし、世論が豊洲市場移転に傾いている中、これ以上判断を先延ばしにするのは都議選にも不利だろう。現に、当初予測された大勝ムードは消え去り、過半数確保も怪しい情勢だ。

なんだかんだでオリンピック問題では引き際を見極めている事から、どうしても小池都知事の判断として違和感が残る。何をそこまでこだわっているんだ?

豊洲市場移転の裏には、選挙に負けてでもこだわるら何らかの利権が発生していると思っちゃうよ。こういう事こそ百条委員会で追及して欲しかったものだ。

今、都民の良識が試されている。

-ローカル
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author : 宮寺達也

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  1. […] 私は「(豊洲・築地)市場問題PT報告書はあまりにも不自然」で、「仮移転先の目処さえ無い「移転して改修」案を出したり」と書いた。市場問題PTの報告書の10通りの案中でも絶対に有 […]

  2. […] 「(豊洲・築地)市場問題PT報告書はあまりにも不自然」にも書いたが、築地市場再整備案は移転して改修の場合、民間主導で3年半、都庁主導で7年というものであった。民間ならば工期 […]

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