キャリア

新人研修がつまらない。これ何の意味があるんだ?と思うあなたへ

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出典:写真AC

GWが終わった。束の間の休息を楽しんでいた新入社員にも容赦なく会社生活がまた始まる。

新入社員のみんなは、GWまでに1ヶ月と短い期間ながらも会社生活を体験した。まあ、特に大企業では会社生活のほとんどが新人研修であっただろうが。その中で入社前の期待と現実とのギャップに様々な思いを抱えているが、ほとんどがポジティブなものでは無いだろう。

「こんなつまらない新人研修に何の意味があるんだ?」「こんなはずじゃなかった」と退職すら考えている人もいるかもしれない。

別に「石の上にも3年、我慢しろ」「これだから最近の若者は」と言うつもりは全く無い。ただ、つまらない新人研修がどんな意味を持っているのか解説することくらいはできる。せめて意味を知ることができれば、多少は気持ちも前向きになるのでは。


全く記憶に残らない新人研修

私が入社した大手の事務機器メーカーは、新入社員は入社後半年はひたすら研修であった。6月に配属が決定するので、それまでは新入社員全体で合同研修。配属が決まった後は、事業部ごとに技術研修という感じであった。実際に働く部署に配属されたのは、お盆休み直前の8月10日ごろであった。

結論から言うと、私は新人研修で学んだことを全く覚えていない。つまり、私の成長には全く役に立っていない。

入社直後の4月は、新入社員200人強をA・Bの2組に分け、様々な研修を行った。講堂で会社の業績や経営計画の説明を受けたり、ビジネスマナーの研修を行ったりした。特に入社後直ぐに行われたコミュニケーションの研修は今思い出しても恥ずかしくなる。

「お互いの名前を覚えあって、コミニュケーションを円滑にしましょう」という目的の元、7〜8人で輪になって、1つのボールを回していく、というものだ。ボールを持ったものは「私は〇〇です。××さん、どうぞ」と言ってボールをパスするのだ。「ここは保育所か?」というデジャビュに陥りながらも、真面目にボールを受け取り、名前を宣言し、またパスしていった。ただ、私以外の同期が「私は宮寺達也です」と言ったら笑いが起きたのだが、何かの気のせいだと信じたい。

また、全体研修も退屈極まりないものだった。会社の中期経営計画や商品ラインナップを説明されるのだが、ぶっちゃけ自分の担当する機種の情報以外知ってもどうしようのないので、睡魔との戦いであった。

全体研修が終わった後は、製造実習と販売実習である。大手企業ならどこでも同様のことは行なっているだろう。私の場合は製造実習では沼津の工場で肉体労働を、販売実習では池袋の販売店で顧客訪問を行なった(ノルマが終わったらジュンク堂で漫画を読んでいたが)。

ちなみに、私の1年目のGWの前後が沼津での製造実習であった。初任給を沼津で受け取ったので、両親と祖母には静岡の高級茶をプレゼントした。

まあ、私はそれなりに新人研修を楽しんでいたが、今のエンジニアとしてのスキルに繋がっているものは全く無い。

「自分のビジネススキルを伸ばしたい」「大きなビジネスに携わりたい」「お客様の笑顔が見たい」と高い志を持って入社した若者にとって、ひたすら研修の日々は苦痛だろう。

新人研修は生活習慣の改善と、配属までの時間稼ぎ

では、なぜこんな意味の無い研修を何ヶ月にも渡って行わなければいけないのか?

理由は幾つかあるが、大きな意味では2つあるだろう。

1つ目は、生活習慣の改善だ。

フレックスタイムを導入している企業を含めて、多くの企業では入社後しばらく、新人研修では定時(9時ごろ)出社を求められる。そしてよっぽどのことが無い限りは、有給休暇を取得する雰囲気では無い。これは一重に学生気分を払拭させるためである。

学生と社会人の最大の違いは、休暇の少なさと遅刻の重みである。

社会人は週休2日制ではあるが、学生のような夏休み・冬休みは無い。有ってもGW・お盆・お正月に最大9連休を取れるくらいだ。基本、年中月曜から金曜まで仕事をする日々と言って良い。学生のようにテスト前は徹夜で頑張ってテスト後は抜け殻のように休む、授業が午後からある日は昼まで寝ていたり、何なら授業をサボったりといった休息はできない。会社員は毎日会社に通いながら集中と休息のリズムを作らなければいけない。

次に、遅刻への意識改革である。学生の場合は遅刻したら損するのは自分一人である。授業に遅刻したら、自分が単位を落とすだけだ。さらには、ちょっと遅刻したくらいでは怒られたりもせず、普通に授業を受けることができるだろう。

しかし、会社員の遅刻は違う。まず遅刻したら給料が損になるだけでなく、その時間の仕事が止まってしまう。コンビニのアルバイトで自分一人の時に、自分が遅刻したらどうなるか想像すればわかりやすいだろう。

また、部下が遅刻をするということは、上司の管理責任にもなる。会社員の遅刻は仕事を止めてしまい、自分と周りを不幸にする重いものだ。この意識を植え付けるために、新人研修では定時出社を徹底するのだ。

そして、2つ目は全くの会社都合である。ズバリ、配属までの時間稼ぎである。

2年目以降になって、部署で新人を受け入れる側になればわかるが、別に入社後すぐに部署に来てもらっても構わない。どうせ、一からこちらが教えるからだ。なので、しばらく新人が配属されないのは、受け入れる側の都合では無い。受け入れを決定する人事側の都合だ。

特に大企業の場合、配属の調整は大変だ。エンジニアを配属させると言っても、様々な商品があり、幾つもの事業部がある。人事としては人手不足な部署や新規事業に新人を配属させたいが、新人は嫌がるので希望者が少ない。人が十分に余っている売り上げが好調な部署に人気が集中するからだ。

また、会社によっては生産・管理・総務といったいわゆる裏方部門にもたくさんの人数が所属している。こうした部署はやはり、でっかい夢と希望を掲げて入って来た新入社員には人気が無い。また、本社を遠く離れた地方の事業所、斜陽産業になって撤退が噂される事業所も人気が無いが、何とか新入社員を配属させなければいけない。

このため、新入社員の希望を取りつつ、人事部と各事業所は配属人数の調整を重ねていく。そのため、どうしても入社後すぐに配属とするのは難しい。6月ごろに配属が決まるまで、新入社員にはどうしても時間を潰していて欲しいのだ。

新人研修は気楽に過ごしつつ、時には冒険しよう

このように、新人研修はその中身にはほとんど意味が無い。新入社員が気をつけるべきは、「毎日、早朝に起きて、定時に出社して、あまり夜更かしせずに寝ること」である。

それだけ気をつければ、あとは気楽に過ごしていれば良い。研修の内容は右から左で良いし、資料は家に帰ったらさっさと捨ててしまえば良い。

しかしだ。どうせ意味が無いなら、新入社員という特権を活かしてちょっと冒険してみることもオススメだ。新人研修では、役員や事業部長と言ったお偉いさんが登場することもある。実際に仕事を始めたらなかなか出会う機会は無くなる。この機会を逃さず、ぶっちゃけトークに挑戦するのも良いだろう。多少失礼なことを言っても、「若者らしい生意気さ」で流してくれる。

私の場合、こんな思い出がある。入社後すぐ、4月5日のことである。新入社員全員を集めて、2005〜2007年の第15次中期経営計画の説明を受けた。恐らく経営企画部署のお偉いさんが「15次中経では3000億円の売り上げUPを達成します」とかなり凄い数字をぶち上げたのだ。私は「本当に3年間でこんなに成長するなら凄い!この会社に入って良かった」と思ったのだが、ある疑問が浮かんだので手を挙げた。

そして、私は新入社員の同期200人の前でこう発言し、議論を交わした。

私「15次中経では3000億円の売り上げUPを達成するとのことですが、昨年までの14次中経の実績はどうだったのですか?」

お偉いさん「14次中経では、15次中経と同等の3000億円の売り上げUPを目標としていたが、2000億円未達だった」

私「3000億円売り上げUPという目標は、つい昨年までの14次中経では未達だったのに、15次中経で達成できる根拠は何ですか?」

お偉いさん「魅力なる商品ラインナップの強化、積極的なM&A等、様々な戦略を考えている。何より、15次中経の1年目に入社されたみなさんの戦力に期待しています」

私(具体的な内容が無い。商品ラインナップの強化、積極的なM&A等って、14次中経でもやってただろ)

ハッキリと誤魔化されたと感じた。この会社は「3000億円売り上げUP」を本気で達成する気が無いと確信した。本気で達成する気が無いなら、どんな凄い目標だって宣言するのは簡単だ。誰にでもできる。「この会社は成長・変化に対して消極的だ。もしかしたら、この会社はこれ以上伸びないのではないか?」と思った。

事実、その15次中経はもちろん未達であった。それから16次・17次・18次中経、全て未達であった。株価も一向に上がらず、月に4万円も投資していた持ち株では大幅に損をした。

私は新人研修で感じた会社への不安をちゃんと信じれば良かった。そうすれば持ち株の損はもうちょっと少なかっただろう。

今、日々の研修をつまらないと感じている新入社員のみんな。新人研修ではお偉いさんにぶっちゃけトークや質問に挑戦してみよう。意外な収穫を得ることができるかもしれないぞ。

-キャリア

author : 宮寺達也

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