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無駄遣いにご注意。その初任給が人生のピークかも

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出典:写真AC

いつのまにか桜が咲いていた時期もとうに過ぎ去り、世間はGWに突入した。

多くの会社ではGW期間中(今年は5月1日・2日)に有給取得を奨励し、大勢のサラリーマンは年に3回しか無い大型連休を満喫している頃だろう。

特に4月から社会人になった新入社員にとっては、4月25日に初任給を受け取った直後の連休だ。両親へのプレゼントを買って実家に帰省したり、学生時代にはできなかった贅沢をしながら連休を満喫しているだろう。

大卒の社会人の初任給ならば、手取りは20万円以上になる。学生時代のバイトでもそれなりに稼いでいた人もいるだろうが、大勢の新入社員にとっては1ヶ月に使える金額としては破格だ。しかも、まだ研修とかしか受けていない最初の給料でこれなのだから、これからバリバリ働いたらもっとたくさんもらえるようになると期待できる。

だが、注意して欲しい。初任給の手取りは、もしかしたらあなたの人生のピークの収入になるかもしれない。


入社後、次々と襲う天引き地獄

結論からはっきり言おう。初任給の手取りより多く貰えるようになるのは、入社10年以上経ってからだ。それまでは怒涛の天引き地獄で、どんどん手取りが減っていく。

初任給の支払いは会社によってバラバラだが、一番多いパターンは基本給は4月25日に4月分を支払われ、残業代や各種手当は翌月に清算するものだ。新卒の初任給を23万円と仮定した場合、この場合、手取りは約22万3千円になる。

給料から天引きされる税金・保険料は様々あるが、最初の4月の給料からは源泉徴収の所得税が約6千円、雇用保険料が約1000円と、それだけだからだ。

「なんだ、サラリーマンは天引きで多額の税金や社会保険を支払っていると聞いていたが、こんなものか」

と思って安心した新入社員もいるだろう。

甘い!

天引き地獄は初任給の翌月、5月の給料から早速本性を現してくる。まず5月から厚生年金と健康保険の天引きが始まる。この2つは、4月分の天引きを翌月の給料から行うためだ。その額、厚生年金が約2万円、健康保険が約1万円になる。早速、3万円ダウンの19万3千円だ。

それからしばらくは19万3千円の手取りが続く。そして、2年目の4月になれば定期昇給によって額面がアップする。この額も会社によってバラバラではあるが、1万円と仮定しよう。これで手取りは20万3千円に戻った。

2年目になった頃には仕事も覚えて、会社に貢献しているという自覚を持つことができるようになっているものだ。あなたはこの調子で手取りを早く初任給の水準まで戻したいと願う。だが、天引き地獄はまだ本気を出していない。

額面はどんどん上がっていくのに、増えない手取り

2年目の6月。住民税の天引きが始まる。

住民税は、1年前の1月から12月までの収入から計算される。1年目の月収が23万円で、ボーナスを6ヶ月と仮定したら住民税の額は約2万4千円だ。これで、手取りは一気に17万9千円に下がる。

流石にもうこれ以上下がらないだろう、と安堵してはいけない。2年目の10月に「社会保険料の年度更新」が待っている。厚生年金と健康保険の社会保険料は、その年の4月から6月までの月収を平均した「標準月額報酬」を基に、9月に金額が更新される。2年目の標準月額報酬は定期昇給によって1年目よりアップしているため、ここで厚生年金と健康保険が値上げするのだ。その値上げ額は合わせて3千円程であり、翌月の10月の手取りは17万6千円にまで下がる。

一つ安心させておくと、この2年目の10月の手取り額が底ではある。しかし、3年目、4年目になっても手取り額の上昇は遅々としたものになる。

3年目になり、また定期昇給によって額面がアップする。手取りも18万6千円だ。しかし、その6月にはまた手取りが下がる。住民税がUPするためだ。

2年目の住民税は1年目の4月から12月までの収入から計算されていた。そのため、学生時代の1月〜3月分の収入がゼロのため、少なくなっているのだ。3年目の住民税は、1年目の1月〜3月、2年目の4月〜12月とフル収入で計算されるため、金額が上がる。一気に3万円くらいまでUPする。そのため、手取りは18万円にまた下がってしまう。

こうして、定期昇給によってどんどん額面が上がっていっても、その収入UPに比例して税金、社会保険料もUPしていくため、手取りは遅々として増えていかない。順調に1年毎に1万円ずつ額面がUPしていったとしても、初任給の手取りまで回復するのは10年目になる。

この天引き額の上昇を眺めているときは、孫悟空と対戦したギニュー隊長の気分であった。

「きゅ・・・90000・・・!? 100000・・・110000・・・。 バ・・・バカな・・・まさか・・・。ま・・・まだ上昇している・・・!」

図1 給与所得の額面と手取りの推移

10年目ともなれば、主任や係長に昇格して、部下を持っている人も多いだろう。新入社員が入ってくれば、「ここは先輩に任せておけ」とばかりに飲み会で奢ってあげることも多い。

だが、奢ってもらっている新入社員は是非とも理解してあげていて欲しい。あなたに飲み代を奢っている先輩は、あなたより少ない手取りしか貰っていないということに。

もしかしたら初任給が人生のピークだったかも

さらに、入社10年になる32〜34歳になるまでに結婚したり、車を買ったり、家を買ったりと大きな出費が必要になるイベントが発生すれば、自分の自由に使えるお金はどんどん減っていく。

初任給の手取りが、人生で最も多くのお金を自由に使えたなんてことになる人も多い。

入社直後は給料が出たら、5万円する高級ステーキを食べに行ったり、最新の液晶テレビを購入したりと、羽振りの良い話ばかりが飛び交っていたものだ。

しかし入社から数年経った頃には、同期で飲みに行くのは必ず鳥貴族だったり、夕食は社員食堂のAランチでお安く済ませるようになっている。

経験と技術を伸ばして大きな仕事を任されるようになったり、後輩の指導をするようなったのに、収入面では全く報われている気がしない。

この頑張っているのに、全然収入が増えない感覚こそが日本の経済の停滞の一因ではないかと思いを馳せつつ、とりあえず初任給を貰った新入社員のみんなは無駄遣いをしないように注意してもらいたい。

-マネー

author : 宮寺達也

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