教育

生徒会長選挙で嫌いなやつに敗北した。絶望が、俺を強くした(前編)

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出典:黒部市立桜井中学校公式サイト

「データ調査をしたら「生徒会長選挙」実施はわずか7%」という記事を読んで、「まあ、そんなもんだろうな」と思った。

私は中学校時代、1年の秋から3年の秋まで2年間、生徒会に所属していた。そのため、立候補者の選出、生徒会長選挙、生徒会の活動等々、生徒会の実態については良く知っている。

特に生徒会長選挙は、結果が学校側の狙い通りになるよう、教師陣が暗躍するものだ。千葉市内の全市立中学校55校中、生徒会長選挙が競争選挙なのは7%とのことだが、その多くは学校側が「こいつに勝たせよう」と立候補者を調整しているだろう。立候補者同士のガチンコ選挙は、2%も無いのではないか。

実際、15歳にも満たない子どもにガチンコで選挙で負けるという経験は酷だ。できるだけ避けようとする気持ちはわかる。

なぜなら、私自身が中学校2年のときに生徒会長選挙に立候補し、よりにもよって大嫌いだったやつに敗北し、絶望し、一生モノのトラウマを背負ったからだ。


先生が立候補者の人数を調整する桜井中学校の生徒会選挙

私が12歳から15歳までの3年間を過ごした母校は、富山県立黒部市立・桜井中学校という。田舎の学校なので人数は少なく、1学年5〜6クラス、全校生徒700名程度の小さな中学校であった(2017年現在はさらに減って、425名しかいないようだ)。

桜井中学校の生徒会役員は、11月に行われる生徒会長・副会長(男)・副会長(女)の3つの選挙を通じて選ばれる。そして、書記・会計を含む残りの役員は、各選挙の落選者が任命される。そして、最終的な生徒会役員の人数は、中核メンバーとなる2年生が5人、見習いとなる1年生が3〜4人で構成し、合計8〜9人である。

そのために、教師陣は生徒会選挙に立候補する人数を2年生が5人、1年生が3〜4人になるように調整していた。それも、生徒会長・副会長(男)・副会長(女)が全員、2年生になるようにだ。

先生たちの狙いとしては、最も信頼する男子生徒を生徒会長に、その次に信頼する男子生徒を副会長(男)に、最も信頼する女子生徒を副会長(女)にしようというものだ。なお、私が1年生のときには「男子全員、髪型は丸坊主のみ」という校則が残っていたガチガチに保守的な学校であったので、女子生徒会長という発想は無かった。

また、校則上は不可能では無いが、生徒会の経験の無い1年生は男女の副会長に立候補する。そこで1年生は全員落選し、無役として2年生を支える立場にならなければいけない。

そのため、教師陣は副会長選挙に1年生の立候補者を入れつつ、各選挙で2年生が勝つように暗躍していた。

先生が結果を決める桜井中学校の生徒会選挙

さて、この場合、生徒会長の立候補者の調整は難しく無い。最も教師陣の覚えの良い男子生徒に生徒会長への立候補を要請するだけで良いからだ。だいたい1年生のときから生徒会役員を経験している現役の2年生から選んでいた。

ちょっと難しいのが男女の副会長である。2年生の立候補者が極端に多いと、2年生候補者の票が割れて、1年生候補者が勝つ恐れがあるからだ。

そのため、まず副会長(女)は生徒会現役の2年生女子に立候補を要請する。そして、立候補する2年生女子は2名、1年生女子を1〜2名になるように生徒に働き掛けていた。1年生女子が2年生女子より人数が多くさえなければ、3年生の投票は2年生に集まるため、票が割れても2年生が勝つ。

そして、最も悩ましいのが副会長(男)である。生徒会役員を経験している現役の2年生男子は生徒会長になりたがるので、望んで副会長(男)に立候補する奴は少ない。しかし生徒会長選挙に落ちたやつが副会長(男)にはなれないので、2年生が誰も立候補しなかったら、1年生男子が当選してしまう。

そこで、先生たちは1年生時に生徒会を経験していないが、生徒会長に匹敵する信頼を寄せられる2年生男子に立候補を要請する。いない場合は、生徒会長選挙の立候補者の中で、負けそうな生徒に副会長(男)へのスライドを要請する。また、このときスムーズにスライドが成立するために、副会長(男)に立候補する2年生男子は1人になるようにする。確実にその2年生男子が当選するようにすることで、「生徒会長選挙に落ちるより、副会長(男)に当選する方が良いか」と思わせるのだ。

こうして、桜井中学校の生徒会選挙は教師陣の暗躍の結果、2年生男子が生徒会長・副会長(男)に、2年生女子が副会長(女)に当選する。いずれも教師陣の覚えが良い生徒だ。そして、立候補した1年生は全員落選し、役員として生徒会活動を経験する。また生徒会長に落選した2年生男子、副会長(女)に落選した2年生女子が書記・会計の役職に就く。

このようにして、桜井中学校の生徒会選挙は実施されていたのだ。

なお、つい先日、2016年の12月に桜井中学校で行われた選挙でも立候補者が8人とのことなので、どうやら私が生徒会役員だった1993〜94年から20年以上経っても全く変わっていないようだ。

楽しかった1年目の生徒会活動

そして私の話であるが、1年生の秋、10月ごろに副会長(男)への立候補を1年2組の担任のN先生から打診された。その頃の私は、勉強でもそんなに目立った存在では無かった。一度だけ期末テストで5番を取ったことがあったが、1番には程遠く、「まあまあ勉強ができる」生徒であった。勉強の実力が教師陣の目についたというわけでは無く、1年2組のクラス長をしていたので、担任のN先生の「立候補者獲得ノルマ」として白羽の矢が立ったのだろう。

私は小学校(黒部市立荻生小学校)の時に児童会役員をしていたことから、生徒会に興味があった。何より、生徒会長に立候補している3人の2年生内2人と、副会長(男)に立候補していたO先輩が、同じソフトテニス部の先輩だったので部活動に問題が無さそうと思えたのが大きかった。

そして私は副会長(男)に立候補した。他の立候補者はO先輩、同じ1年生のT君とS君であった。もちろん大差でO先輩が当選したが、私は僅差でT君とS君より得票が多く2位だった。正直言って、かなり嬉しかった。

また、1年生女子からは1名だけNさんが副会長(女)に立候補した。副会長(女)には2年生女子が2名立候補していたのでもしかしたらと思ったが、番狂わせは起きずN先輩が当選した。

選挙後、当選した生徒会長Y先輩、副会長(男)のO先輩、副会長(女)のN先輩に加えて、落選組の2年生2名、1年生4名による生徒会が発足した。なお、私は2位当選のおかげか会計に任命され、1年生から唯一の役職持ちになった。

それからの1年間、生徒会活動は楽しかった。放課後に生徒会室に集まり、尊敬する先輩たちとお喋りをしたり、生徒会誌の発行や各行事の準備等、様々な仕事を覚えていった。ソフトテニス部の先輩が一緒だったので、部活に行く時間も問題無く確保できた。

ただ、テスト期間の生徒会活動は、正直しんどかった。中間・期末テストの1週間前はテスト期間として部活動は中止になるのだが、生徒会活動は例外的にOKであったのだ。部活動が無いので、この時に生徒会メンバーが一堂に集まって、活動を本格化するのだ。特に3学期末は卒業生の送別会、卒業式の準備が重なるので連日夜9時ごろまで学校に残っていた。

だが努力の甲斐が有って、この生徒会で悪名高かった「男子全員、髪型は丸坊主のみ」という校則を撤廃することができた!

アンケートを取ったり、他の中学校の情報を入手したり、先生と交渉したり、みんなで頑張った。そして最後は生徒会長のY先輩が全校生徒の前で校長先生に「髪型が自由になっても、僕たちは風紀を守ります」と宣言して、校則の撤廃の許可を貰った。長年、「桜井中学校の嫌いなところNo.1」に君臨していた校則の撤廃に貢献できたことは誇りだった。丸坊主の校則撤廃という実績は、歴代の桜井中学校生徒会の中でもトップクラスだろう。

こうして、しんどい時期もあったが生徒会メンバーは非常に仲が良く、私は生徒会室に行くのが楽しみであった。ただ、1年生同士の仲はそれほど良く無かった。1年生はチャラ男のT君、気さくでしっかり者のS君・Nさん、ガリ勉の私という組み合わせであった。私は正直、T君が嫌いで、S君ともそれほど仲が良いというわけでは無かった。プライベートで遊んだことは一度も無かった。だが、1年生みんなが先輩と仲が良いという感じだったので、1年生同士も仲が悪いという空気は無く、問題とは思っていなかった。

ちなみに、生徒会活動の忙しさと比例するように、私の成績は上がっていった。今思えば、「生徒会役員として恥じない成績を(O先輩がすげー成績良かった)」「時間が無いからこそ、勉強方法を工夫せねば」という環境で効率的な勉強の仕方を学んでいったのだろう。

こんな感じで私の1年目の生徒会(役職:会計)は充実していた。

2年生として迎えた生徒会選挙

そして、2年生の10月になり、2回目の生徒会選挙の立候補日が迫ってきた。

会計として1年間の経験を積んだ私は、やはり次は生徒会長になりたいと思っていた。同じ役員のT君、S君も立候補するだろうが、1年生の時には2人より多く得票した自信から、当選できると思っていた。先生に打診されずとも、立候補日が来れば自ら名乗り出るつもりだった。

しかし、立候補日の2週間前になろうかという10月の中旬、生徒会の顧問の先生が私を呼び出した。私はてっきり生徒会長選挙への立候補の意思の確認だと思っていた。聞かれれば、「はい」とだけ答えるつもりで、先生に呼び出された生徒指導室に赴いた(今思い出せば、わざわざ生徒指導室を指定したことに疑問を持つべきだった)。

そして、予想外の言葉を聞くことになる。

「宮寺、男子副会長に立候補してくれないか」

-教育

author : 宮寺達也

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