元都議会議員であり現参院議員の音喜多(おときた)駿氏(以下、「音喜多氏」)から提起された訴額280万円(慰謝料110万円ほか謝罪広告掲載など)の損害賠償請求訴訟につきまして、7月31日(水)午前10時30分、東京地方裁判所民事第47部書記官室において第3回弁論(第2回弁論準備手続)が行われ無事に終わりました。
この度はまず第3回弁論のご報告を、そして第4回弁論のご案内も兼ねさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
第3回弁論(第2回弁論準備手続)のご報告
第3回弁論でやりとりされた内容は以下の通りです。
出席者:裁判官、原告(音喜多氏)側弁護士1名、被告(宮寺)側弁護士2名
(原告) 第1準備書面の提出。
(裁判官)原告書面は提出期限(7月24日)から大幅に遅れて提出された。審理が滞る。審理が滞って困るのは原告だと思うが提出期限は厳守されたい。
(原告)申し訳ない。(裁判官)前回も議論した所だがブログ全体が著作物だというのはいいとしても、同一性保持権侵害の侵害対象を全体とするのか一部とするのか今回の書面ではわからなかった。同一性保持権侵害の土台の部分であり明らかにして欲しい。
(原告)全体ではなく、一部を同一性保持権侵害の対象と考える。(裁判官)もう1点これも前回お願いした所だが訴状別表で何ヶ所か「中略」として記載を省略している。「中略」部分を除いたものを著作者人格権侵害の対象とする趣旨か、そうでないのか。中略を含めるならそれを文字にしてもらわないといけないし、含めないなら削除してもらわないといけない。いずれにせよ別表の差し替えをして欲しい。
(原告)検討する。(裁判官)もし侵害対象が整理されたとして次に
①当該部分について著作物性が認められるかどうか
②当該部分の表現上の本質的特徴は何か
③被告ブログから原告ブログの本質的な特徴を直接感得することができるか
という点が問題となってくる。この点も整理してほしい。
(原告)検討する。(裁判官)次回期日は9月10日(火)午前10時30分とする。書面提出期限は8月30日(金)とする。
以上となります。前回に引き続き原告が一方的に書面の不備を追及されただけに終始し、被告である私側が特にやる事はありませんでした。
そのため次回に向けて被告である私側の宿題はまたしても有りません。
突然訴えられた被告である私と違って、原告は長い時間を掛けて準備し訴訟に臨んだはずです。音喜多氏も「フェイクニュースかどうか、裁判所に正当性をジャッジしてもらう」と発言しており私のブログの問題点を確信して訴えを起こしたものと思っていました。
裁判官も指摘した通り、本来、審理が滞って困るのは原告です。原告に対して発生している名誉毀損被害が放置される状況を長引かせるのですから。
それにもかかわらず原告が審理を滞らせる事は、訴訟の目的が「訴訟そのもの」にあると思わざるを得ません。私はこの訴訟を「被告である私の言論を弾圧し、苦しませる不当なスラップ訴訟」と発信して来ましたが、原告が自ら審理を滞らせる事で証明しているとしか思えません。
現に被告である私は審理が進まない事に大きな心理的負荷を感じております。裁判の被告は必死に自分の正当性をアピールするしかないと思っていましたが、まさか反論の機会を奪われて「訴えられている人間」として長く放置される苦しみを味わわせる手法があるとは思ってもいませんでした。
原告である音喜多氏の審理遅延に強く抗議します。
第4回弁論(第3回弁論準備手続)について
第4回以降の弁論も非公開で進めます。
第4回弁論(第3回弁論準備手続)
期 日 令和元年(2019年)9月10日(火)午前10時30分
場 所 民事第47部書記官室(非公開)
事件番号 平成31年(ワ)第4778号
担当部署 民事第47部B係
つきましては次回以降も傍聴できませんので、裁判の詳細をお知りになりたい方は民事事件記録の閲覧制度をご利用ください。閲覧の方法は前回のご案内に記載していますのでご確認ください。
もちろん私は音喜多氏の訴えは極めて不当なスラップ訴訟であると考えており、今後も全面的に反論していきます。
今後とも応援、ご支援のほどどうぞよろしくお願いいたします。
原告の反論(第1準備書面)の内容について
さて、前回は被告である私が訴状に書かれた内容について反論を被告準備書面として提出しました。
被告準備書面では
・被告の記事は公益を図る意見ないし論評である
・被告の記事で指摘した「音喜多氏は希望の塾の会計責任者の交代を黙っていた」は事実である
・原告は訴状に「音喜多氏は記者会見で都民ファーストの会の会計責任者交代を発表した。だから黙っていたとは事実無根」と書いた。だが「都民ファーストの会の会計責任者交代を発表した記者会見」が根拠であるならば、この記者会見はそのまま「希望の塾の会計責任者交代を黙っていた記者会見」として被告の主張の事実を証明する証拠になる
・同一性保持権侵害の有無は
①当該著作物が作成された趣旨・目的
②当該著作物における改変部分の重要性
③当該著作物を利用した際の改変の必要性
④改変の内容・程度
を考慮する必要がある。被告のブログ記事は①〜④において妥当であり、同一性保持権侵害に当たらない。
と訴状に対して主張しました。
第3回弁論はこの私の準備書面に対して原告である音喜多氏が反論する事になります。そして提出された内容は、
・被告のブログは意見ないし論評ではなく事実の適示である
・被告は都議選の前に情報公開しなかったかどうかの点に限定しているが、そのように限定する理由がない。そして音喜多氏は都議選後に希望の塾の会計責任者の交代を様々なメディアで情報発信している
・原告の各ブログ記事はブログ全体が1つの著作物である。
・被告は8つのブログを改変しているが、その内1つは3割近い部分が侵害されていて改変の程度は重大である
→この箇所が「全体なのか一部なのか」と裁判官に矛盾を指摘された・損害について。同一性保持権侵害による精神的苦痛が30万円、名誉感情侵害による苦痛が10万円、人格権侵害による苦痛が10万円
・被告は各ブログ記事やツイートにょって「大きな」経済上の利益を上げることは考えていない、などとおそらく含みを持たせて主張しているものの、被告ブログは”Google Adsense”によって収益を得ることができる仕組みになっており経済目的を有している
・被告ブログ上で原告の「有料ノート」上の記載を開陳するなどしており、一般的な批評の投稿や経済中立的な内容だけを専ら目的にしているなどとはいいがたい
・一面的な見方に基づいて、原告のことを不当極まりないとか、スラップ訴訟であるかに非難する被告こそ、一方的で、独善的で、それゆえ不当なのである
となっておりました。
被告である私のブログを「事実の適示」と言いながら、相変わらず「希望の塾の会計責任者の交代を発表した」証拠は「都民ファーストの会の会計責任者の交代を発表の記者会見」だけです。
そして流石にそれではまずいと思ったのか、なんと「都議選後に発表したからOK」と主張して来ました。流石に失笑するしかありません。私は「黙って都議選に臨んだのが問題」と言っているので都議選後に発表した事はなんら関係ないどころか、むしろ「都議選までは積極的に黙っていた」証拠とも言えます。
相変わらず誤魔化しのクセが酷いとしか言いようがありません。音喜多氏は「都議選前に希望の塾の会計責任者を交代したと発表した事実」を1つでも私に突きつければ終わりです。この戦いは悪魔の証明を仕掛けている私が圧倒的に不利です。
しかしそれをずっと音喜多氏はできず、今になっても「都議選後に発表したからOK」などと誤魔化して来る時点で黙っていたのを認めたようなものです。本当にそう思っているなら、最初からそう主張すれば良かったのですから。
「経済目的」という侮辱と、「他のブログ記事に対する言論弾圧」への抗議
音喜多氏は準備書面で
「被告(宮寺)は音喜多氏の記事に経済目的を有しており、さらに「有料ノート」上の記載を開陳するなどしており、一般的な批評の投稿や経済中立的な内容だけを専ら目的にしているなどとはいいがたい」
と主張しています。
これは全く間違った、被害妄想とも言える私への侮辱ですので強く抗議します。まず訴訟の対象となった2本のブログ記事のPVを公開します。期間は公開した2018年11月から訴状が届いた2019年3月15日までです。
音喜多都議が隠蔽していた希望の塾の会計責任者の交代 504PV(50位)
音喜多(都) VS 音喜多(あ)。希望の塾の会計問題を追及してみた 586PV(43位)
このように、各1000PVも行かない微々たるものです。Google Adsenseの収益はPVの1/4程度ですから、この2本の記事で得られた収益は約250円です。私は1本の記事を書くのに4時間は費やしますから時給に換算しますと31円です。
誰が経済目的でこんな記事を書きますか。
そもそも、私は音喜多氏の記事を書かずに他の記事を書いた方が遥かに儲かります。同期間のアクセストップ5です。
1位 73,722PV 任天堂 VS コロプラ特許訴訟・第5回戦。ユーザに内緒で『ぷにコン』の仕様が変わっていた!
2位 33,772PV 任天堂 VS コロプラ特許訴訟・第5回戦。後出し無効資料でコロプラが会心の一撃
3位 28,339PV 任天堂 VS コロプラ特許訴訟・第4回戦。コロプラの切り札(?)として『信長の野望』が出陣
4位 26,345PV 『強い女メーカー』の作者は引用に許可が必要と勘違いしていたのでは?
5位 19,196PV パテントマスター・宮寺達也のブログ
私のブログ読者には常識でしょうが、任天堂とコロプラの特許訴訟記事が圧倒的なアクセスを集めています。1位の記事は音喜多氏の記事のおよそ125倍のアクセスです。
私が経済目的で記事を書くなら音喜多氏の記事なんかで時間を無駄にするのではなく、もっと任天堂とコロプラの記事を量産します。私が音喜多氏の記事を書くのはただ単純に政治家として間違っており、しかもそれを有権者に隠しているからです。有権者に政治家の真実を届ける事は民主主義の基本です。
そして音喜多氏はついに訴訟の記事とは一切に関係無い「有料ノート」の記事についても触れて来ました。よっぽど都合が悪いのでしょうかね。
有料ノートは公開の著作物であり、私の記事の記述は著作権上正当な「引用」です。それを「開陳」と表現する事に極めて強い悪意を感じます。
何よりこの「希望の塾の会計責任者の交代」の記事について争っている訴訟には全く関係ありません。関係無い記事を持ち出して被告である私を「一方的で、独善的で、不当」と非難する事は
「訴訟に不利になるから、音喜多氏について一切発言するな」
と言っているのと同じです。これはまさしく内容の正当性に関わらず訴訟を起こして相手を苦しませ黙らせるスラップ訴訟そのものです。
音喜多氏は今回の主張で自らこの訴訟が私の言論弾圧を目的としたスラップ訴訟と自白しました。国会議員としてあるまじき言論の自由を侵害する行為です。
今後とも引き続きの皆様の応援・ご支援の程、よろしくお願いいたします
音喜多氏による私への損害賠償請求訴訟は、私がこれまで訴えて来たようにやはり私の言論弾圧を目的としたスラップ訴訟でした。
スラップ訴訟をするような人間は政治家失格です。だから音喜多氏は北区長選に落選しました。しかし皆様もご存じの通り、先日、7月21日(日)に投開票が行われました2019年参院選に出馬し当選してしまいました。
これによって一般人をスラップ訴訟で言論弾圧する国会議員が誕生してしまいました。最も心配していた事態が起こってしまった事は、私は大変に悲しいです。
音喜多氏は国会議員に当選した事で、さらなるお金・権力を握りました。これは不当な言論弾圧に苦しむ人がもっと増えてしまうという事です。しかしこれ以上政治家からのスラップ訴訟に苦しむ人を増やしてはいけません。私は誰が相手であっても言論の自由を破壊する行為は断じて許せません。
私は本訴訟は単に音喜多氏と私の争いではなく、日本の言論の自由を守るための戦いだと思っております。そのため音喜多氏がどんなに権力やお金を握り強大になろうと、可能な限り前を向いて最後まであきらめずに戦っていきます。
どうぞ引き続き皆様の応援とご支援の程、切に切に、よろしくお願い申し上げます。
2019年7月31日
パテントマスター・宮寺達也