出典:新田哲史・ツイッター
私もかつてお世話になったアゴラの編集長・新田哲史氏が炎上中である。
最近、アゴラメンバー(池田信夫氏、新田哲史氏、宇佐美典也氏など)が山本太郎氏とれいわ新選組について度々言及している。概ね「山本太郎氏を支持はしないが甘く見てはいけない」というものである。
特に編集長である新田氏は、山本太郎氏が出馬する東京選挙区の情勢予想に熱心であった。まあそれは友人の音喜多駿氏が東京選挙区に出馬してるからだとネットではもっぱらの評判だけど。
なので私も驚いたが、山本太郎氏の全国比例転出、さらに名簿順位3位には驚いたようで連日記事をUPしている。
(7月4日)ブームもここまで?山本太郎氏、比例「3位」転出の謎プレー
(7月5日)参院選特定枠:山本太郎が“おもちゃ”にすれば廃止論?
(7月6日)乙武さんの「重度障害者に国会議員が務まるのか」論考への見解
さて、これらの記事をUPしてから新田氏のツイッターには「障害者を差別するな」と言った批判が殺到している。かなりヤバいレベルの炎上状態である。
新田氏は余裕の態度で「正当な論考」と反論しているが、はっきり言って認識が甘いと思う。この炎上は過去の発言との矛盾も重なって、言論人としての決定的な信頼失墜に繋がる恐れを感じる。
新田哲史氏は「国会議員の適格性の論考」と主張するが、問題はそこでは無い
炎上のメインはこの7月5日の記事を紹介したツイートである。
山本太郎というか、そのブレーン連中が、ポリコレを逆手にとって障害者の政治利用、政治参画を批判できない盲点をつく魂胆が卑劣であさましい。乙武さんとか斉藤りえさんとか昔の八代元大臣とか、議員活動できる人はいるけど、重篤な障害のある人は両立できるのか。
https://t.co/xNaW4x0Hes— 新田哲史 (@TetsuNitta) 2019年7月5日
RTが902しか無いのに、コメントが837も押し寄せている。個人的な感覚としてはコメントはRTの1/10も来れば多い方だ。これだけコメントだけが殺到するのは、内容に賛同できないのでRTもいいねもしないが文句を言いたいからだ。
実際、837コメントのほとんどは新田氏を強く批判するものばかりだ。
偏見というより差別ですよ。ナチスのT4作戦を行ったのはこのような人たちです。
できるできないは本人の判断では?障害者は政治はできない、とおっしゃるのは差別かと。
まあ強烈な批判・非難だらけだ。私も1000RTを超える事は何十回と経験したが、こんなに批判殺到は経験が無い。
しかし新田氏は自分の正当性を確信しているようだ。
と、「自分の意見は障害者差別では無い。国会議員の適格性を問いかけた論考である」との主張をしている。
だがこれは批判に対しての答えとしてずれている。
新田氏は「重篤な障害のある人は両立できるのか」と書いた部分についての批判と認識しているように見えるが、批判している人は「ポリコレを逆手にとって障害者の政治利用」と言う部分を問題視しているからだ。
山本太郎陣営を「障害者の政治利用」と断定しているが、記事には何の根拠も書いて無い
新田氏の「重篤な障害のある人は両立できるのか」という主張は氏なりの根拠が有る。
・現行の選挙・議会制度、議場環境でもやりようによっては、なんとかできるものだと思うし、努力はすべきだと思う
・大震災等の緊急事態に時事刻々変わっていく中、まるで軍人のような意思決定をするという重責かつ過酷な任務もある
・当事者を議会に送り出していくことを突き詰め、全ての議員が当事者ばかりでいいと言わんばかりの言説は、間接民主制の否定になりかねない
と書いている。賛同するかはどうかは置いておいて、過去に活躍された障害者の政治家、日本の政治システムが間接民主制である事を根拠にしており論考として成立している。
しかし7月4日の記事、
は違う。あの炎上ツイートでリンクを張っていた記事である。そこで新田氏は「重度障碍者である特定枠1位、2位の候補が当選後に辞退し、3位の山本太郎氏が繰り上げ当選する可能性がある」と書いている。
つまり、
・山本太郎陣営は「重度障碍者にも優しい政党」とのアピールでイメージを高め、さらに自身を3位にする事で有権者の危機感を煽る。
・そうしてれいわ新選組への得票を増やす。
・そして1位と2位の候補者は重度障碍者だから議員仕事は困難であり、予め辞退の取り決めを交わしている。
・その結果、山本太郎氏を含めた当選議員数を最大化する。
新田氏はこうしたシナリオを山本太郎陣営が描いている可能性が有ると主張し、これは選挙制度のハッキングだと批判している。
問題なのは記事のどこにも「根拠」が書いていない事だ。新田氏も記事内で「邪推」と明記しているし、「事態になれば」とあくまでも仮定の話であると何度も書いている。
もっともこの記事だけならば品は無いが、ただの想像なので問題は少なかった。実際、この記事を最初に紹介したツイートは22RT、5コメントと無風そのものだった。
だが何を思ったのか、その数時間後に件のツイートを行った。だがこの時、あの記事が「想像」だった事を忘れたのか、それとも過激な表現で注目を集めたかったのか、理由はわからないが突然に「断定」しだしたのだ。
記事では山本太郎陣営の繰り上げ当選はあくまで「邪推」と言っていたのに、その後のツイートで急に
「ポリコレを逆手にとって障害者の政治利用、政治参画を批判できない盲点をつく魂胆が卑劣であさましい」
と想像・仮定のニュアンスゼロの「断定」になってしまった。
だからこのツイートは何の根拠も無いのに山本太郎陣営を「障害者の政治利用」と断定し、「卑劣であさましい」と侮辱している。
そりゃダメでしょ。
そして記事とツイートを合わせて読むと、「障害者の政治利用」とは「障害者が当選する事」ではなく、「障害者を自分の当選目的のために選挙期間だけ利用してポイ捨てする」という意味になる。
つまり「山本太郎氏が、障害者は議員の仕事は出来ないから選挙後にポイ捨てされる存在と考えている」と根拠なく断定している事になる。これは明確な侮辱であり、名誉棄損だ。
そして山本太郎氏の支援者がこれを読むと、「お前(新田氏)がそう考えているだけだろ」と反発するのだ。
この反発を例えるなら、店員が少ないスーパーで買い物してたら突然知らないおっさんから「今、万引きのチャンスだよな。もちろんやるんだろ?」と言われたようなものだ。万引きなんて頭に無いあなたはこう思うだろう。
「お前が万引きする気なだけだろ」
新田氏はこういう失礼な発言をした訳である。これが新田氏に「お前は障害者を差別している」との批判が殺到し炎上した理由だ。
「障害者の政治利用」と言うからには、それなりの根拠を示さなければならない。話になりません。
しかしこの炎上に対し新田氏は
燃やして、燃える誕生日。FBのメッセージお返ししつつの選挙関連などなど朝から色々忙殺。
と炎上している事を楽しんですらいる余裕を見せている。
ただどうも新田氏は実際の炎上と自分が認識している炎上にずれが有る事に気づいていないように思う。
だから一向に訂正する気も謝罪する気もないようだが、大変危険である。
新田氏は自信への批判が「重度障碍者が参院議員として適格か」についてのものであり、ならば自身の論考には根拠が有るから大丈夫と思っているように感じる。だが違う。
批判は根拠も無く「山本太郎陣営が障害者を政治利用しそうだ」と書いた事へのものだ。新田氏の認識とずれている。ずれているからいつまでも収まらない。
何より、記事の時点で名誉棄損の可能性大だ。
当たり前だが、「あなたは○○をするつもりだ」「あなたは○○をした」と主張し、その内容が相手にとって不名誉なものである場合は侮辱、名誉棄損の恐れが有る。
それを避けるためには「事実である」事が最低限の条件だ。
私も「音喜多都議が希望の塾の会計責任者交代を隠蔽していた」と書いた事で音喜多氏に名誉棄損訴訟を起こされたが、これは音喜多氏のツイッター、ブログ、ネットのデータ、果ては希望の塾生の証言など、あらゆる根拠に基づいている。なので負ける気は無いのだけど、それでも訴訟を起こされるのだ。
なのに新田氏の「山本太郎陣営が障害者を政治利用しそうだ」には根拠が全く無い。記事はまだ仮定の話とボカしていたので名誉棄損の可能性で済んでいるが、ツイッターで断定してしまったのはアウトである。
山本太郎氏が訴訟を起こす可能性は低いように感じる(そもそも相手にされてなさそう)だけど、言論人としては大変に問題が有る。少なくともアゴラの執筆者にはふさわしくない。そんな人がアゴラの編集長と言うのは大変な問題だ。
だからこの炎上は新田氏個人の問題を超えて、アゴラそのものの問題になっていくだろう。新田氏は早くこの危機に気付いて件の記事・ツイートを削除、謝罪すべきだ。
もちろん私がこの主張を根拠なく言っているはずがない。あるアゴラ執筆者が「根拠のない発言」を理由にアゴラを追放された時の、新田氏自身のコメントが根拠である。新田氏は新田氏のコメントを良く噛み締めて欲しい。
あのさ、それアゴラの記事をステマ呼ばわりする以上、相応の根拠があって言ってるんだろうね。おときた君への批判をするのは自由だが、ただの中傷。そういう言動を繰り広げる人はアゴラ出版道場に相応しくはない。 https://t.co/N0e1RmUOqi
— 新田哲史 (@TetsuNitta) 2017年10月31日
ドラマの内容云々とはこれは関係ない話です。「ステマ」と言うからには、それなりの根拠を示さなければならない。話になりません。最近もアゴラで個人的な感情から他者を攻撃して根拠レスなことを書いていた人のアカウントを永久追放したばかりで、きちんと対処したいと思います。 https://t.co/5hwDJzDLg1
— 新田哲史 (@TetsuNitta) 2017年10月31日
参照:ブームもここまで?山本太郎氏、比例「3位」転出の謎プレー、参院選特定枠:山本太郎が“おもちゃ”にすれば廃止論?、乙武さんの「重度障害者に国会議員が務まるのか」論考への見解