政治

山本太郎は小池都知事の夢を見るか?

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出典:れいわ新選組公式サイト

2019年7月4日。いよいよ第25回参議院選挙の公示日である。

参院選挙はあらかじめ日程がほぼ決まっているので、去年から各党は候補者選びを着々と進めていた。なので公示日直前のサプライズは少ない。というか皆無である。

しかしそんな常識を打ち破って来た政党がある。山本太郎氏が率いるれいわ新選組である。

れいわ山本太郎氏、比例区で出馬 特定枠にALS患者ら

はっきり言って驚いた。山本太郎氏が全国比例に回る可能性は以前から言われていたが、直近の情勢予測からは比例に回るメリットはほぼ皆無で、東京選挙区で出て来るものと思っていたからだ。

これは私の主観ではなく、6月終盤に発表された各社の議席予測も全て山本太郎氏が東京選挙区に出る事を想定していた。

しかもただ全国比例に回るのでは無い。特定枠を利用し、自身が比例名簿の実質3位になるというものだ。れいわ新選組の比例予想は1議席なのでこれでは党首である山本太郎氏が落選してしまう。

参院選は前哨戦。山本太郎氏が見据えているのは都知事選か衆院選か

直近の情勢予測ではれいわ新選組は山本太郎氏が東京選挙区で当選、そして全国比例で100万票程度の得票で1議席。合計2議席というのがコンセンサスであった。

山本太郎氏が全国比例に回っても今から大幅な上積みが出来るとも考えにくく、全国比例に回る事は獲得議席を2議席から1議席に減らす可能性が高い愚策と思っていた。

なので、今回の比例転出はなかなか理解に苦しむ戦術である。

有り得るとするならば、東京選挙区での情勢が怪しいので山本太郎氏だけでも確実に当選したい、また1議席でも総得票数の2%を獲得し国政政党要件を満たすためである。国政政党要件を満たせば政党交付金も貰えるし、党首討論に出れるようになる。

とはいえ、国政政党要件を満たすために必要な票は約112万票(2016年参院選の結果)なので別に東京選挙区に出たままでも十分に達成出来そうな数字だ。東京選挙区でも失速が指摘されていたが、今さら7位につけている立憲民主党の山岸氏に遅れを取るような情勢でも無い。

なので前日に「比例転出」のニュースを見た時は愚策にしか思えなかったが「特定枠を利用し、自身が比例名簿の実質3位になる」という発表を見て「山本太郎氏は今回の参院選に当選する気が無い」と確信した。

党首が当選する気が無いのか。 うん! そうかそうかそうなれば話が違う。ここに並んだ大量の候補者がすべて次の衆院選の布石として立ち上がってくる。

山本太郎氏は東京選挙区に創価学会員の野原氏を立てて1議席、比例で自身を含めて4議席を目標と言っているが、これは本心では無いだろう。

野原氏は東京選挙区では確実に圏外だ、当選はまず不可能。比例で得票を上積みしても200万票が限界か。そうなれば国政政党要件を満たして1議席という結果になる。

もしかしたら勢い次第で2議席に届く可能性もあるが、それならば自身が東京選挙区で出た場合と同じである。

だから山本太郎氏の狙いはこの参院選での勝利を最大化する事では無い。そして保身に走った訳でも無い。ならば考えられる事はただ1つ。この参院選は前哨戦であり、本当の勝負を次に見据えているという事だ。

小池都知事の都民ファーストの会・希望の党の戦略を思い出す

この山本太郎氏の自身の当選すら捨て駒にして党勢拡大を狙う作戦。真っ先に思い出したのは都民ファーストの会の党首として都議選に、希望の党の党首として衆院選に臨んだ小池都知事である。

小池都知事は都知事選に挑戦した時には国政政党の立ち上げまでは考えていなかっただろう。これは6年前に参院選に無所属で当選した山本太郎氏と同じである。

しかし希望の塾、そして都民ファーストの会を率いて都議選で歴史的な圧勝をした事で野望が爆発した。

元々、小池都知事は小泉政権で重宝されて存在感を発揮した、安倍政権では石破氏についていたという事もあり冷遇されていた。元閣僚として日本初の女性総理に最も近い存在と言われ続けていたので、ずっと虎視眈々とチャンスを伺っていたのだろう。

そして安倍政権の長期化に痺れを切らして閣外で勝負をする事を決断。まさに「崖から飛び降りる覚悟」で都知事選に挑戦し勝利。それからも「自民党都連」を徹底的に悪魔化する事で存在感を高めて来た。

その戦略は2017年7月の都議選までは負け知らずだった。民進党を離党した長島氏や細野氏を加えた希望の党を結党し自らが代表に就任、次の衆院選では民進党を抜いて第2党は確実な情勢とも言われていた。

しかし安倍総理が仕掛けた早期衆院解散に焦ってしまった。

普通にやれば100議席は確実だった。しかし「政権選択選挙」と過半数を狙う欲を見せた結果、民進党の前原代表を巻き込んだ野党再編騒ぎに発展。逆に立憲民主党誕生のきっかけになってしまった。

その結果、希望の党はわずか50議席。公示前議席の57議席を下回る有様だった。世間では小池都知事の「排除します」発言が失速の理由と言われているが、私は違うと思う。

敗因は都知事を辞任して衆院選に出なかった事である。都知事就任から1年ちょっととあまりに早い衆院解散に、都知事を辞職するかどうかの判断に迷ってしまった。そんなどっちつかずの態度のをまま衆院選に突入し、都知事を保険にして衆院選には出馬しないという保身を選んでしまった。

その結果が希望の党の大敗、その後の消滅である。トップが最前線で戦わない組織に人はついて来ない。当然の結果である。

山本太郎氏はこの小池都知事の成功と失敗をよく研究していると思う。

東京という「まだどこの政党にも染まっていない巨大過ぎるブルーオーシャン」を自分色に染めながら、さらに衆院選で勝利するという小池流のアップデート。それが山本太郎氏とれいわ新選組である。

れいわ新選組は公明党や維新の会と共存しつつ、東京で存在感を発揮し続けていく予感

山本太郎氏は小池都知事の成功例から、まず東京の1000万有権者を味方に染める事を真似している。

東京は本当に移ろいやすい。自民党が伝統的に強いが、2017年都議選では歴史的大敗。かつては選挙戦を一切しないタレント候補の青島都知事が誕生したり、とにかく話題や知名度優先でコロコロと移ろいやすいのが特徴だ。

だからまだどこも完全に東京を代表する政党作りには成功していない。都民ファーストの会が「自民党都連を悪魔化」して一時期成功しかけたが、希望の党とともに失速した。自民党都連を悪魔化しても国政には関係無い。だから国政政党の希望の党を立ち上げても支持に繋がらなかったからである。

山本太郎氏はそこを改善している。自民党都連ではなく、安倍政権をターゲットにしている。

「拉致被害者」「障害者」「沖縄県民」「コンビニオーナー」「シングルマザー」など、安倍政権が長年取り組んでいる課題や、アベノミクスの被害者とも言われる「当事者」を候補者として全面に押し出している。

「私は安倍政権と違って弱者を切り捨てない」というメッセージを具体的な候補者の声を持って、説得力を持たせながら東京都民に語りかけている。

最近うるさい「山本太郎脅威論」とは裏腹に支持は東京に集中しているが、狙い通りなのだろう。維新の会が大阪を地盤に6%程度の得票率を出しているのだから、東京を完全に味方につければその2倍、10〜15%の得票率も可能だ。そうなれば立憲民主党にも匹敵する。

「全国的な課題を東京都民に当事者として語りかける」

これが小池都知事の希望の党の失敗から山本太郎氏が導き出した、個人政党の党勢を最大限に拡大化する方法なのでは。

これならばいきなり衆院選に突入したとしても、東京都民は変わらずに支持し続けてくれる。実際、東京選挙区への出馬表明をしなかったのも衆参同時選の場合には衆院選出馬を想定していたのもあっただろう。

だから山本太郎氏はこの参院選を前哨戦に、さらなる東京での支持拡大を狙って来るはずだ。だから次は来年の都知事選だ(無論、その前に衆院選があればそちらを狙うだろうが)。

都民ファーストの会はすっかり失速したが、いまだに小池都知事の存在感は大きい。自民党都連も対抗馬を立てると宣言したし、2020年夏の都知事選は「当選した人がオリンピック開会式に登場し、全世界に存在をアピールする」人を選ぶ選挙して大いに盛り上がるだろう。

当選ラインを250万票と考えれば、やはり山本太郎氏の当選はまだ難しい。だがそこで接戦を演じられれば衆院選にも弾みがつく。

そこまで存在感を高めておけば、その後の衆院選では公明党や維新の会が恐れて都民ファーストの会や希望の党への対応と同じく選挙協力を行う可能性もある。

そうなれば無党派層や立憲民主党の支持層を切り崩し、野党第2党の80〜100議席もあり得ると思っている。

このように山本太郎氏の選挙戦を見ているとつくづく小池都知事に似ていると思う。現状では小池都知事の下位互換であるが、しっかり研究しており上位互換になる可能性もある。

そして可哀想なのが音喜多氏である。山本太郎氏が比例に回っても立憲民主党の山岸氏に後塵を拝しているのでまだ圏外だし、「参院選に落ちたら都知事選(そしてその次は衆院選)」では完全に山本太郎氏に被ってしまう。れいわ新選組と維新の会が選挙協力を結んだりしたら、衆院選に出る事すら困難である。そしたら早速維新も裏切ってれいわ新選組から衆院選に出るなんて事も有るかもね。

音喜多氏はつくづく山本太郎氏の下位互換だなと思わされた。そういえば音喜多氏の当選可能性が上がった翌日に私の予言通りにウッキウキな記事をUPした某編集長はどう思ってるんだろうね。

なお私は山本太郎氏の狙いは解説したが、山本太郎氏もれいわ新選組も一切支持しない事を明言しておく。私は東日本大震災後に山本太郎氏が発言した数々のデマ、暴言、福島を中心とした被災地への風評被害を決して忘れない。

参照:れいわ新選組公式サイト参院選、山本太郎はどうするか山本太郎氏は比例で出馬、れいわは比例特定枠を使用れいわ山本太郎氏、比例区で出馬 特定枠にALS患者ら既成政党がおののく「れいわ新撰組」の実力度 「永田町のアウトロー」山本太郎議員は当確か山本太郎の「れいわ新選組」は既存政党を喰いつくす【れいわ新選組】比例区転出を決断した山本太郎が狙うものブームもここまで?山本太郎氏、比例「3位」転出の謎プレー参議院議員通常選挙 – Wikipedia



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author : 宮寺達也



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