6月27日に放送された「アメトーーク!・ネタ書いてない芸人」。「アメトーーク!」から宮迫をカットするなんて本当に可能なのだろうかと興味津々で観たのだが、本当に全部カットされていた。
驚きを通り越してちょっと感動すら感じる編集技術であった。
宮迫はネタ書いてない芸人とネタ書いてる芸人に挟まれ、セットのど真ん中に陣取っていたはずだ。そしてほぼ全てのトークにツッコミを入れていたはずだ。
しかし基本的に宮迫以外を写し、どうしても宮迫が写る場面ではホトちゃんだけを半分トリミングし、他の画面と合わせる二分割画面で対応。オープニングは全面カット、トークはゲストのオチで完全に切る。
なるほど、こうやれば「アメトーーク!」から宮迫でも消せるんだ。
しかしこれで別の事が頭をもたげた。という事は、この編集技術を使ってマスコミはありとあらゆるニュース、主張を捻じ曲げる事だって出来るんだな。インタビューに応じたら全く逆の事を話しているように放送されたなんて朝飯前だろう。
しかしやっぱり通常回に比べればシンプルに面白くなかった。
果たしてこのまま「ホトトーーク!」として続けていく気なのだろうか。私は止めて欲しい。「アメトーーク!」が大好きだからこそ、面白いまま終わるべきだと思うんだ。
「アメトーーク!」は宮迫の不祥事に関わらず、そろそろ終わっても良かった
そもそも「アメトーーク!」は放送開始からもう16年である。
人気が爆発したのが「家電芸人」「中学の時イケてないグループに属していた芸人」が大人気だった2008~2009年である。その頃にリリース開始したDVDも大ヒット。番組からブレークする芸人も後を絶たなかった。
そこから2012年の「どうした!?品川」あたりまではまさに神番組だった。私も欠かさず毎週見ていた。DVDもレンタルを欠かさなかった。
以前にも書いたが、ネタ番組のような芸人魂の発揮と、テレフォンショッキングのような素の魅力を引き出すという両立に成功している稀有な番組だと思う。
しかし最近はそこまで面白いとは思わない。
「運動神経悪い芸人」とか「芸人体当たりシミュレーション」とか「絵心ない芸人」を推しているが、まずトーク番組じゃない。おまけにわざとらしい。その上使いまわしで飽きた。
その極致が「ビビリ-1グランプリ」だと思う。まさかこんなつまらないドッキリ番組もどきに成り下がるとは思わなかった。
特に「ビビリ-1グランプリ」の宮迫はわざとらし過ぎて醒める。
「アメトーーク!」の魅力はテーマそのものではない。テーマに熱い思いを持つ芸人の魂溢れるプレゼンが魅力だったのだ。
2018年に入ってから心から笑ったのは「ありがとう品川」でのはんにゃ金田の「片岡鶴太郎さんみたいになると思うんですよ」くらいだろうか。
私が「アメトーーク!」で最も好きな回が2010年の「大阪だより」なので、もう9年前である。9年と言ったらドラゴンボールの連載期間と同じである。
そんな期間進歩が無いという事は、やれる事はやりつくしてしまったのだ。
おまけに今でも評価が高い「高校野球大好き芸人」とかがもう放送中止に追い込まれているのだ。これからもどんどん使えるテーマは少なくなっていくだろう。
限界である。
伝説のお笑い番組は長寿番組とは限らない。終わるからこそ次が始まる
そもそも伝説のお笑い番組は決してここまで長寿番組では無い。
「欽ちゃんのドンといってみよう!」 7年(1972年10月9日 – 1979年4月6日)
「8時だョ!全員集合」 15年半(1969年10月4日 – 1971年3月27日、1971年10月2日 – 1985年9月28日)
「オレたちひょうきん族」 8年半(1981年5月16日- 1989年10月14日)
「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」 10年半(1985年4月14日 – 1996年10月6日)
「ボキャブラ天国」(※「家族」まで) 6年(1992年10月14日 – 1998年9月8日)
「ダウンタウンのごっつええ感じ」 6年(1991年12月8日 – 1997年11月2日)
「ウッチャンナンチャンのウリナリ!!」 6年(1996年4月12日 – 2002年3月22日)
「内村プロデュース」 5年(2000年4月8日 – 2005年9月26日)
このように今でも語り継がれるような伝説のお笑い番組もほとんど10年以内に終わっている。「8時だョ!全員集合」は15年半と長いけど、それでもアメトーーク!の16年よりは短い。
やはりそれだけお笑いと言うのは進化し続けるものだ。
どんなにネタを洗練していっても、同じフォーマットでやる限りは限界がある。
しかし番組が終わるからこそその後にお笑い界全体が発展している事がわかる。
「ひょうきん族」が終わる事で、さんま・たけし・紳助がそれぞれの道を歩いて行って人気番組が多数登場した。
ダウンタウンもコント番組を卒業する事によって今のトーク番組やドキュメンタリー主体のバラエティを次々に初めていった。そうする事で今の地位に繋がっている。
ウリナリも終わる事でやはりウッチャンとナンチャンの独自路線が明確になったし、その結果が「内村プロデュース」や「ヒルナンデス」だ。そして番組のフォーマットも洗練されて「イッテQ」に繋がっている。
お笑いの進化は早い。番組が終了する事は悲しい事では無い。次のお笑いがスタートする再生であり、喜ぶべき事なのだ。
「内村プロデュース」を復活すれば万事解決
とはいえいきなり「アメトーーク!」を終了しても後継番組を用意するのは苦労するだろう。
そこで提案したいのが「内村プロデュース」の復活である。
さっき「番組の終了はあたらしいお笑いのスタート」と言ったばかりで矛盾しているかもしれないが、自覚してます。
「内村プロデュース」を推すのは私がDVDを全巻購入する程大好きな番組であり、たった5年で終わるには余りにも物足りなさが残っているからだ。
つまり「アメトーーク!は打ち切るべし」は理性に基づいた主張であるが、「その後番組に内村プロデュースを推す」のは理性もへったくれもないただのワガママである。
でも「内村プロデュース」は本当に面白いし、同じスタッフで制作している「内村さまぁ~ず」は現在も絶賛放送中だ。
そしてこれが一番のポイントなのだが、「内村さまぁ~ず」は吉本芸人が全く出演していない。「内村プロデュース」も極めて少なかった。
反社会勢力との闇営業の問題はお笑い界全体の問題だが、特に吉本にはびこっている問題だ。後継のお笑い番組を立ち上げるにも吉本芸人の起用には躊躇しているだろう。
だからこそ、吉本芸人が出ていない「内村さまぁ~ず」を「内村プロデュース」として復活させれば万事解決ではないか。ここだけは個人的希望では無い理性的な提案である。
これ以上醜態を晒す前に「アメトーーク!」は打ち切って、後継番組を立ち上げるべきだ。それこそが謹慎している宮迫のためにもなる。この問題はほとぼりが冷める頃に宮迫が復帰出来るような次元の話では無くなっているからだ。お笑い界が反社会勢力と決別するためにもベストな対応だ。
そして個人的な願いとして「内村プロデュース」の復活を熱望する。僕の内Pロスはまだ終っていないんだ。
参照:内村プロデュース 創世紀 [DVD]、内村プロデュース 新生紀 [DVD]、内村プロデュース 革新紀 [DVD]、内村プロデュース 黄金紀 [DVD]、内村プロデュース 再生紀 [DVD]、内村プロデュース 発酵紀 [DVD]、 内村プロデュース 熟成紀 [DVD]、内村プロデュース 円熟紀 [DVD]、宮迫抜きの「アメトーーク!」オープニング“異変”、「アメトーーク」の厳しい舵取り CM危機にNGテーマ続出か、宮迫“闇営業”余波 「アメトーーク!」高校野球芸人企画が放送中止、テレ朝苦肉の策「アメトーーク!」仰天改名「ホトトーーク!」