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コロプラが『最果てのバベル』の取引先に850万円の課金依頼。循環取引・下請法違反など重罪の可能性

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出典:最果てのバベル

コロプラが同社期待の新作スマホゲーム「最果てのバベル」のセルラン(セールスランキング)順位を上げるために、自社費用から取引先に850万円を渡して課金を依頼した不正なセルラン操作問題。

まず私はこれが明確なGoogle PlayとApp Storeの規約違反である事を指摘した。そして規約違反の度合いによってはコロプラそのもののアカウントが停止され、全ゲームが配信停止になる可能性が有る事も。

コロプラが『最果てのバベル』で不正なランキング操作。裁判を待たずに『白猫プロジェクト』も配信停止か

だが、コロプラはこの「最果てのバベル」はもちろん「白猫プロジェクト」など人気タイトルを多数抱えるゲーム会社だ。批判する意見だけじゃなく、擁護する意見も多く様々な意見が溢れている。

「そんな飲み会でお酒をこぼしたレベルの軽い粗相で白猫プロジェクトが配信停止になるわけないでしょ」

「この程度、どこもやってることだと思うよ」

「最果てのバベルはともかく、白猫プロジェクトの配信停止なんてありえない」

「任天堂だけじゃなく、GoogleとAppleにも喧嘩売るとか・・・」

「ドラクエGo控えてるのに何やってるのコロプラ・・・」

無論、現時点ではコロプラのプレスリリース以上の情報は明らかになっておらず、今後どうなるかは正確にはわからない。私が書いた記事もあくまで可能性を指摘しただけである。

しかし、この不正なセルラン操作はやはり重大なリスクをまだまだ抱えている。任天堂とコロプラの特許訴訟の記事もそうであるが、そのリスクを明らかにし健全なスマホゲーム業界の一助になれば幸いである。

まともに稟議や請求書が出せるはずが無い。横領や利益供与のリスク

まず、コロプラ自身が「不適切な取引」として発表しているのだから、発覚するまでは「正常な取引」として偽装されていたと考えられる。

まあ当たり前だが、GoogleとAppleに完全に締め出されるリスクのある取引を堂々と稟議を書いて役員会に諮ったり、経理に提出するような事はしまい。恐らくプロモーションビデオやWebサイトの制作など、通常の事業費や広告宣伝費として処理したのだろう。

だがその実態は存在せず、ただただ「最果てのバベル」に課金しただけである。取引先の請求書には適当な内訳が書かれていたに違いない。

そんな「対価物を確認する必要が無い」架空の取引において、果たして架空なのは対価の内訳だけで済むだろうか。

今回明らかになったのは「自社費用850万円をもって課金を依頼した」事だけである。

取引先も850万円を受け取ってそれを全額課金したとは限らない。報酬として一部はそのまま受け取っている可能性も有るし、それをキックバックしている可能性も有る。なんだったら全額課金せずに持ち逃げしている可能性だってある。

こうなると不正な横領や利益供与である。

そうで無かったとしても、コロプラが国税庁や東証に提出した売上・経費・利益の数字が間違っていたのは確かである。

前の記事も「憶測で適当な事を言うな」と言われたが、憶測な事は否定しない。ただ、実体の無い不正な取引を行った時点でこのような可能性が生じるのは当然である。コロプラは一個人では無い、東証一部上場企業である。

公器として果たさなければならない公正な取引を違反した責任は重大だ。

循環取引に該当する可能性大。最悪、虚偽記載の容疑として立件・摘発

そして横領や利益供与こそは確かに憶測の域を出ないが、今明らかになった情報だけでも確実な問題が有る。それが「循環取引」である。

循環取引とは、「連続する売買契約等において、最初の売主等と最後の買主等が同一となる取引形態」を指す。

循環取引においては、商品やサービスそのものは最終消費者・需要家に販売・提供されず、当事者・業者の間で転売が繰り返されているだけであり、本来の意味での売上(=消費)は発生しない。

今回のコロプラの「自社費用850万円をもって課金依頼」の場合、850万円がそのまま「最果てのバベル」に課金されればその内3割をディベロッパー(Google、Apple)に手数料として引かれた後、残りの7割である595万円がコロプラの売上として返って来る。

つまり、

●コロプラの見せかけの決算
売上:595万円
経費:850万円
利益:-255万円

●コロプラの実際の決算
売上:0万円
経費:255万円(Google、Appleへの手数料)
利益:-255万円

実際には売上が0円であるにも関わらず、売上が見せかけ上595万円に増えている。無論、利益は発生するはずもなくGoogle、Appleへの手数料分だけ損している。

しかし売上額が大きい事は、東証一部上場企業であるコロプラにとっては株価上昇に繋がる有利な情報だ。特に任天堂との特許訴訟以来株価が半減しているので、株価が上がればコロプラにとっては死活問題だ。

しかし当然、これは有価証券報告書に対する虚偽記載である。したがって最悪、虚偽記載容疑として立件・摘発される可能性が有るのだ。そうなると上場廃止も有りえて来る。

おまけにスマホゲームへの課金は3割がディベロッパー(Google、Apple)に手数料として引かれるので、この課金依頼を繰り返す程コロプラに損失が発生する。おまけにGoogle Playではほとんどセルランに影響が無かったため、純粋な損失である。

これは株主への背任であり、株主代表訴訟に繋がってもおかしくない。

(※恐らく今回の850万円だけで立件されたり上場廃止にはならないとは思うが、私はとても初犯とは思っていないので今後の調査結果次第ではあり得る話だと思っている)

(※なおApp Storeランキングでは問題の課金が有った6月13日から31位にランクインしているのでもしかしたらApp Storeに全額課金しており、その効果は有ったのかもしれない)

優越的地位を濫用して取引先に不正を強要すれば下請け法違反の可能性も

そして「不正なセルラン操作」を取引先に依頼したという事実は、下請け法違反の可能性も有る。

コロプラから850万円を貰ってそのままコロプラのアプリに課金する。しかも請求書には異なった記載をする。こんな話を受けてまずまともな取引だとは思わない。下手をすれば受けた方も巻き込まれてしまう話なので、断るのが当然である。

しかし実際に取引先は課金を実施した様だ。

この時、どうやって取引先に不正なセルラン操作に協力させたかが問題になって来る。

最初に書いたように850万円の一部、またはその他に報酬が設定されていた事は考えられる。しかしそれでも請求書に虚偽の記載をしなければならないとなれば、やはり躊躇するはずだ。そんな状況でコロプラが「優越的地位を濫用して」不正なセルラン操作を下請け会社に協力させたならば、これは下請法違反に該当する。

公正取引委員会では下請法に基づいて親事業者に11項目の禁止行為を定めている。

親事業者の禁止行為:公正取引委員会

親事業者には次の11項目の禁止事項が課せられています。たとえ下請事業者の了解を得ていても,また,親事業者に違法性の意識がなくても,これらの規定に触れるときには,下請法に違反することになるので十分注意が必要です。

6 購入・利用強制の禁止(第4条第1項第6号)

親事業者が,下請事業者に注文した給付の内容を維持するためなどの正当な理由がないのに,親事業者の指定する製品(自社製品を含む)・原材料等を強制的に下請事業者に購入させたり,サービス等を強制的に下請事業者に利用させて対価を支払わせたりすると購入・利用強制となり,下請法違反となります。

このように親事業者が自社の商品を下請業者に無理矢理買わせるのは下請法違反になるのだ。今回の場合は全額代金を払っているが、「不正なセルラン操作」を目的としており、嫌がる業者に強制させた可能性を感じている。

もちろん、その取引先が下請業者で無い可能性も、進んで自ら請け負った業者である可能性も有る。

しかし、それはそれでもっと深い闇を感じる。

スマホゲーム会社が不正なセルラン操作をお願いして、それを快く受ける会社が有る事は不正なセルラン操作が日常的にはびこっているという事だ。

実際、中国ではそのような不正が蔓延しており、Appleが大量に不正なアプリを削除したという事も有った。

いずれにしても、不正なセルラン操作をお願いしてそれを受けた会社が有ったという事は事実だ。

コロプラが無理矢理強制したならば下請法違反、取引先が喜んで受けたならば不正が蔓延している、どっちに転んでもとんでもないパンドラの箱が開いた気がしてならない。

最大の問題はコロプラは危険な会社という認識。スマホゲームには致命的

無論、何度でも言うが今後どうなるかは正確にはわからない。私が書いた記事はあくまで可能性を指摘しただけである。

詳細な問題点については、今後明らかになる調査報告を待ってまた考察したい。そして現時点での考察に問題が有りましたらきちんと対応しますので、専門家の方のご意見、どうぞよろしくお願いいたします。

とはいえ、私はコロプラは現時点でも致命的な状態であると考えている。それはスマホゲームのユーザーに「コロプラはコンプライアンス意識が乏しく、いつゲームが配信停止になってもおかしくない会社」と認識されてしまっている事だ。

もう既に任天堂とコロプラの特許訴訟でコロプラは「白猫プロジェクトが配信停止になるかも」という疑惑を持たれた。その結果株価は下がり、ユーザーはどんどん離れて行った。

これは当然だ。従来の家庭用ゲームと違ってスマホゲームはゲーム会社が配信を継続している状況の中だけでコンテンツを楽しむ事が出来るからだ。

家庭用ゲームの場合、もしもスクエアエニックスが潰れても手元にあるPS3のファイナルファンタジー13のディスクは消滅しない。オンライン機能には制限が出ても、PS3を持っている限りずっと遊べる。

しかしスマホゲーム会社が配信を停止してしまうと、これまでに何十万円もつぎ込んで手に入れたSSRキャラクターも一瞬にして消滅してしまう。PS3を何十台買えるお金が有っても、二度とそのキャラクターには会えないのだ。

だからスマホゲームに安心して課金してもらうためには「このゲームはずっと配信しますよ」という安心感をユーザに与える事が何よりも重要だ。だからこそ、コロプラも「特許侵害は一切していない」と発表するし、その上で裁判を徹底的に長引かせようとするし、配信停止に確率を下げるために仕様変更もするのだ。

しかしGoogleとAppleの厳しさは日本の裁判所のレベルでは無い。一切の言い訳も聞いてくれないし、時間稼ぎも出来ない。とにかくしGoogleとAppleが配信停止と言ったら配信停止になるのだ。

この事はユーザーも良く分かっている。だから、この状況で「最果てのバベル」を新たに始めたり、重課金をしようとするユーザーはそうそう現れまい。

コロプラにはこの問題を誤魔化している時間は無い。一刻も早く調査を行い、真摯に情報公開をしないと瞬く間にユーザーは離れていくだろう。

コロプラは任天堂との特許訴訟以上の危機感を持たなければいけない。残された時間はもう無いのだから。

参照:最果てのバベル|株式会社コロプラコロプラ「当社従業員による不適切な取引について」コロプラ、従業員が取引先にゲーム課金を依頼 順位操作目的で循環取引 – Wikipedia法務・会計・税務からみた循環取引と実務対応 【第1回】「循環取引とは何か」親事業者の禁止行為:公正取引委員会親事業者の義務:公正取引委員会優越的地位の濫用 – Wikipedia【Google Playランキング(6/20)】コロプラ最新作『最果てのバベル』が初のトップ30入り 「リゼロ」コラボキャラ「エミリア」登場の『プリコネR』は7ランクアップ【App Storeランキング(6/13)】コロプラの最新作『最果てのバベル』が31位に登場 ロトの紋章コラボ装備登場の『星ドラ』は38位→9位に急上昇中国のiOSセールスランキングの異変



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author : 宮寺達也



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