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わたしもあなたも『正論ジイさん』予備軍

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出典:イラストAC

ブログやツイッターで発信するようになって3年近くになるが、なんとなく「バズる」「ヒットする」「アクセスが増える」法則というものはわかるようになって来た。それが、

みんながバッシングしている「絶対悪」に「僕の正義」の言葉を突きつける事ができた

ときである。

私の場合だと小池都知事、音喜多元都議、コロプラを批判するような内容が多かったと思う。ただ「みんなが批判しているから」という理由で批判した事は無い。実際、小池都知事や音喜多都議なんかは都民ファーストの会が絶好調だった2017年都議選の時期なんかは反発やスルーの方が多かった。

実際、音喜多氏にはスラップ訴訟まで起こされているが、あの「希望の塾の会計責任者交代の隠蔽」を追求した記事は累計で3,226PVしかない。しかも、ほとんどが訴訟を明らかにしてからのアクセスである。

もし私が音喜多氏の言うように「広告収入狙いで音喜多氏のデマをでっち上げてる」なら相手を選ぶよ。もっとアクセス集めそうな有名人にするわ。

とはいえ、小池都知事の記事なんかは希望の塾を率いて2017年衆院選に挑んだ時に一気にアクセスが集まったし、コロプラの記事は私の想像を遥かに超えて13万PVとかとんでもないアクセスになった。たとえ偶然でも、私がみんなのバッシングを後押しした事には複雑な感情を感じる。

ブログを始めてから今でもずっと、世間にどう思われようとただ私の信じる「正義」を伝えて何かを残せれば良いくらいの気持ちだ。そして、それがいつでも暴走の危険を孕んでいる危機感を持っている。だが、その危機感ももしかしたら徐々に薄れていたのかもしれない。

そんな気持ちを思い起こさせるニュースが入って来た。

歩道へのミリ単位の看板はみ出しにクレーム 「正論ジイサン」の暴走に商店街が崩壊寸前

89歳の暇なジイさんが「私は法律に基づいている。一片のスキもない」と正義に基づいて商店街に因縁つけまくっているというニュースだ。だが、このジイさんだけの話ではない。

正義が勝つ快感はみんなよく知っている。わたしもあなたもその快感に取り憑かれ、いつ正論ジイさんになってもおかしくない。

わたしも『正論青年』だった

流石にまだジイさんと呼ばれる年齢では無いと思っている(孫悟空は同い年の38歳でお爺ちゃんになったけど)が、私も自分の正義を信じて他人に正論をぶつけまくっていた時期がある。

それは新卒で大手複合機メーカーに入社し、大阪開発センターに配属して5年目くらいの頃である。仕事を一通り覚えて、周りを見る余裕が出来た時期であった。私ははっきり言って、多くの先輩・上司の出来の悪さにただただ失望していた。

1日中何も仕事をしていないのになぜか深夜まで残業するおっさん、午後は必ず机に突っ伏して寝ている先輩、凄い怖くて仕事に厳しい空気を出していたけどただの知ったかぶりだったリーダー、飲み会の次の日は必ず午前休を取る課長、とっくの昔に合併されたのに昔の会社の同僚を出世させる事だけに以上に執念を燃やす人間のクズのセンター長、、、

「なんでこんな連中が僕より高い給料もらってるんだ」

当時の私はいつもそう思っていたし、それを隠す気も無かった。「給料分仕事しろや」が私の口癖だった。

グループ全員が集まる会議では先輩・上司に何にも臆する事なく、「給料分仕事しろや」「納期守れや」「できれば来週にはって、それは何も決めてないのと同じ」「このチーム体制はおかしい」などと思った事は全部発言していた。それがグループのためになると信じていた。

しかし、邪魔者は私の方だった。

私は心の底から大阪開発センターを愛していたし、会社に忠誠を誓っていた。当時の大阪開発センターはヒット商品を作る事が出来ず、このままでは取り潰されてしまうと危機感を持っていた。だから厳しい事を言って嫌われても「正しい事を言うべき」と信じていた。

そして、今でもあの先輩や上司はクズだと思っているし、自分が言った事は正しかったと思っている。

でも結果としては最悪だった。私を庇った先輩はリストラのターゲットにされて退職した。私は上司に徹底的に嫌われてパワハラを受けた挙句、大阪開発センターを追い出されて本社に転勤になった。そして大阪開発センターは私が異動して4年後には案の定取り潰しになった。

私は正しかったと信じている。でも結果は最悪だった。「結果を基準」に考えるならば、私は間違っていた事になる。

大阪開発センターを追い出される前に話した尊敬する上司に言われた言葉が頭をよぎる。

「会社は正しい仕事のやり方やルールでつながっているんじゃない。人でつながっているんだ。社長が役員を選んで、役員が部長を選んで、部長が課長を選んで、課長が社員を選ぶ。会社を変えたければ人を変えなければいけないんだよ」

見方を変えれば誰だって正義にも悪にもなる。孫悟空だって悪

私は会社とは正しい仕事のやり方やルールでつながっていると思っていたので、その上司の言葉にハッとするものがあった。私は「正しい仕事のやり方やルール」という見方からすれば正しかったが、「人のつながり」という見方では間違っていた。

そして「正しい仕事のやり方やルール」と「人のつながり」、そのどちらから会社を見るかは私には決められない事だ。

そして会社がたとえ明示的でなく、暗黙の了解だとしても「人のつながり」を選んだのならば、それに従うのが「会社に忠誠を誓う」という事であろう。それが嫌なら、会社を離れるのが筋だ。

私はあの頃の自分が正しかったと思っているが、「会社に忠誠を誓っていた」は違っていた。その矛盾は心のどこかでわかっていたが、見て見ぬ振りをしてきた。それが精神を病むまで自分を追い詰めてしまった原因だ。

「きちんと成果を出す」「納期を守る」そんな仕事のやり方でも見方を変えれば間違っているのだから、誰だって見方を変えれば正義にだって悪にだってなる。あのドラゴンボールの孫悟空でも。

僕は1980年生まれなので、ドラゴンボールど真ん中世代だ。少年時代に孫悟空の正義を疑った事なんて1秒だって無かった。ベジータ戦の後に大怪我の悟空を飛び越すチチを見て「なんてひどい嫁だ」と憤慨していた。

だが今になって読み返すと、見方次第では悟空だって悪になる。

・法に基づかない大量殺人(レッドリボン軍、ピッコロ大魔王、ラディッツ、フリーザ、界王様、魔獣ヤコン、魔人ブウなどなど)

・DV(人造人間に備えての悟飯の修行に反対するチチに暴力を振るって黙らせる)

・幼児虐待(8歳の孫悟飯を学校にも行かせずに修行、しかも精神と時の部屋に1年間も拘束)

・幼児虐待2(作戦を話しもせずに完全体セルと悟飯を戦わせる)

・働かない

・虐殺(だいじょうぶだドラゴンボールで生きかえれる)

こうしてみると、当時は「鬼嫁」とか思ってたチチがどんなに出来た女性かと思う。働かないDV旦那を抱えて、しかも途中で死んだ後はシングルマザーとして2人も真っ当な子供を育てたのだから。

「修行でもっと強くしてやりてえなんて大きなお世話だべ!! 悟空さひとりでピッコロとやってりゃええ!!」

「なにがおころうとしったこっちゃねえ!!! 悟飯ちゃんの勉強がいっとう大事なんだ!!!」

このチチの伝説的なセリフ。ドラゴンボールのストーリー視点で見れば完全に酷い嫁だと思ってたけど、近代社会の法治主義の観点から見れば「世界の危機は一般人の問題ではない」「戦うにしても大人が戦え。子どもを巻き込むな」は実に正しい。

ちょうど今、ドラゴンボール超の未来トランクス編を見返しているけど、絶対的な正義を語るザマスが悪役というのがなんとも面白い。今の子どもとかつての子どもでは見方が全然違うんだろうな。

自分の正面からしか見えないから正義。忠告してくれる家族・友人を大事に

「絶対の正義などない」

これは本当に使い古された言葉だし、みんな理解している。それこそ件の「正論ジイさん」も理解しているはずだ。

でも時にではなく、今でもそこら中で一方的な正義による攻撃が蔓延している。

例えば思い出すのは、日大アメフト部・内田元監督への異常なバッシングだ。人格否定、殺人予告、ありとあらゆる正義を名乗った悪意が内田元監督に降りかかっていた。私は当初から事実認定に疑問があったので批判は控えていたが、ネットの過熱は異常であった。

そして警視庁の捜査により内田元監督の無罪は確定した。だが、それでもバッシングは続いている。無罪の事実を知っても「ごめんなさい。言い過ぎました」と言っている人は見た事がない。内田元監督をバッシングした人にとって氏は絶対悪であった。本心では無罪を理解していても、それを覆すと自分が悪になってしまうのが怖いのだろう。

結局のところ、自分の正義は自分の心にある以上、自分の正面からしか見えない。見方を変えればどんな正義も悪になるとわかっていても、自分の正義への見方を変える事は難しい。正義とは正しい道という事ではなく、自分の正面にある道という事なんだろう。

だから自分の正義の危うさは自分では決して気づかない。これは友人や家族、自分の正面以外から見てくれる人に指摘してもらうしか気づく方法は無いのだろう。

83歳の正論ジイさんの問題の本質は法律がどうのではなく、孤独で暇を持て余した老人が増えているという事だと思う。だからこれは決して他人事では無い。孤独に追い詰められたら、わたしもあなたも正論ジイさんの仲間入りしてしまうかもしれない。

解決方法はただ1つ。耳の痛い忠告をしてくれる家族・友人を大切にしていこう。

参照:歩道へのミリ単位の看板はみ出しにクレーム 「正論ジイサン」の暴走に商店街が崩壊寸前正しさが暴走するこのインターネットは早急に滅ぶべきである|Pato



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-ライフ

author : 宮寺達也



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