歴史

「出版社の稼ぎ頭(日本国紀)を批判したら干されて当然」って、エースは横領しても良いの?

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出典:イラストAC

作家の津原泰水氏がツイッターで日本国紀を批判した事に端を発した幻冬舎とのトラブルは、

・幻冬舎は日本国紀の批判を止めるように津原泰水氏に圧力を掛ける

・津原泰水氏の幻冬社からの文庫出版が中止に

・幻冬舎からの圧力を津原泰水氏が暴露

・幻冬舎の見城徹社長が「津原泰水さんの幻冬舎での1冊目。実売は〇〇部と全く売れなかった。僕は出版に反対でした」とツイートで実売部数を暴露して中傷

・あらゆる作家が幻冬社を批判

・見城徹社長がツイッターを終了。幻冬舎も「実売公表してすいませんでした」と謝罪 ←イマココ

って感じになった。肝心の「津原泰水氏に圧力」はまだ有耶無耶なので、引き続き注目していきたい。

私もかつて執筆陣の末席に参加していたアゴラにおいて、アゴラ編集部から「ツイッターで音喜多批判を止めろ。止めなければ追放する」と圧力を掛けられて実際に追放された。

なのでこの騒動はまるでデジャブを見ているようだった。津原泰水氏の気持ちは痛いほどわかるし、そして私とは違って世間を動かす発信力を持った津原泰水氏を尊敬する。

しかしこの騒動どう見ても幻冬舎が悪いのに、無理くり幻冬舎そして日本国紀を擁護している人は沢山いる。特に気になったのは

「日本国紀はベストセラーで幻冬舎の利益に貢献にしているだから、赤字を出してる作家が批判したら干されるのは当然」

という意見である。

あれですか?あなたたちは営業成績のエースが横領していても見て見ぬ振りするんですか?稼ぎ頭の芸人がヤクザとつながっていても許すんですか?

「日本国紀は売れている。売れてない津原泰水は黙れ」と肝心の盗用・コピペをスルー

前回の記事でも書いたが、日本国紀の最大の問題は盗用・コピペである。これはオリンピックのドーピングと同じで一発退場の反則である。売れてるかどうかは関係無い。

日本国紀サイドの言い訳は「俺はドーピングしたけど年収10億円の人気選手だから」と同じ

しかしまさにこの日本国紀サイドの言い分に沿うように、津原泰水氏に対して「売れない作家は黙ってろ」と言う人が沢山見つかる。

とりあえず幾つか出してみたけど、どれも肝心の不正(盗用・コピペ)に全く触れていない。「事情はよく知らんけど」とも書いているんだけど、じゃあ書かなきゃ良いのに。無知を晒すだけだから。

どんなに稼ぎ頭でもエースでも不正(盗用・コピペ)を行なったら追放される

何度でも書くが、日本国紀の問題は

<盗用>
他者の著書からの盗用が発覚している。著作権侵害であり、違法。最も重い不正である。

<コピペ>
ウィキペディア、NAVERまとめ、Yahoo!知恵袋といったソースが保証できないインターネットサイトからのコピペしており、内容の正確性が保証できない事、そしてサイトによっては著作権侵害になる。

<リコール隠し>
増刷の度にミスを指摘された箇所を修正している。未だに正誤表も出していない。

が主だったものだ。特に盗用・コピペによる著作権侵害違反は違法であり、決して許されない。だからこそ、日本国紀サイドも増刷の度にこっそり修正しているのだ。

これは会社に例えるならば横領である。解雇規制が極めて厳しい日本の大企業でも一発で懲戒解雇である。その社員が営業部のエースであり年間1億円を売り上げていて、横領額は5千万円、差し引きプラスだから許してと言ってもダメでしょ。

またプロ野球の(我が愛する)巨人で起きた野球賭博問題であったり、大物芸人であった島田紳助がヤクザとの繋がりがあったために吉本興業を解雇されたのと同じである。

巨人の場合も将来有望な選手だったがそれを理由に庇う人はいなかったし、島田紳助も個人的にも大ファンだったのでとても残念だったが、人気芸人である事が許される理由にならなかった。

「日本国紀は売れてるんだから、売れてない作家が批判するな」と言う人は、目の前でお金持ちが万引きしていたら見て見ぬ振りをするのか?営業部のエースの横領も、野球賭博も、ヤクザとの繋がりも売れてればOKなのか?

そう言う人間を「権力の犬」「強きを助け弱きをくじく」「弱者いじめ」と言うのだ。

資本主義とは「強きを助け弱きをくじく」というものではない。中学校の公民から勉強し直して来いって感じである。

津原泰水氏が日本国紀を批判したのはむしろ幻冬舎のため。追放は幻冬舎の損失

だから津原泰水氏が日本国紀を批判したのは、むしろ幻冬舎のためである。

自分の会社で不正が起こっていたら、たとえ一時的に会社にダメージが起こるとわかっていても告発して不正を無くすのが正義である。それこそが長期的な会社の利益につながる。

確かに日本国紀は65万部のベストセラーと幻冬社に大きな利益を与えた。しかし同時に「不正を見て見ぬ振りをする会社」との大変な悪評にもなった。

今後、幻冬舎からは出版したくないと考える作家が続出するだろう。そうなってしまえば、幻冬舎は日本国紀で稼いだ利益ではとても足りない大損失である。

津原泰水氏の指摘は幻冬社にダメージを与えるものではなく、むしろ利益を与えるものだ。それを事もあろうに社長が理解せずに追放したのだから終わってる。

最初から日本国紀の不正にしっかりと向き合っていれば、日本国紀の売り上げと作家からの信頼の両方を得る事ができていたのに完全に対応を誤ってしまった。

津原泰水氏を追放した事で氏の本の売り上げだけでなく、多くの作家の離反を招き将来の本の売り上げを大きく毀損してしまった。ただただ幻冬舎の損失である。

しかし、こうやって短期的な利益や自分のプライドに目がくらみ、不祥事への対応を失敗して大ダメージを受けるのは日本企業ではお馴染みの光景とも言える。飯島女子を追放してSMAPを失ったジャニーズ事務所、山口さんの暴行事件を潰そうとして解散寸前のNGT48、つい昨日起きたカラテカ入江の闇営業で宮迫や田村亮を処分しなかった吉本興業、これらは皆そうだ。

一体いつになったら学ぶのであろうか。

参照:幻冬舎の見城徹社長が「ツイート終了」宣言。津原泰水さんの実売部数をツイート、作家らから批判お詫び(幻冬舎)幻冬舎出版中止トラブル、作家・津原泰水さんが明かす、日本国紀と、盟友だった担当編集者の「変節」



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-歴史

author : 宮寺達也



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