歴史

日本国紀サイドの言い訳は「俺はドーピングしたけど年収10億円の人気選手だから」と同じ

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出典:日本国紀

作家の百田尚樹氏の歴史本「日本国紀」が発売されたのはもう半年前、2018年11月12日(偶然だが母親の誕生日)の事である。

発売当初からベストセラーにはなったものの、盗用・コピペが相次いで発覚し大問題になっている。おまけにただの歴史小説なら良かったものの「日本通史の決定版!」と銘打った事で歴史学者を中心にフルボッコにされている始末だ。

しかし著者の百田氏、出版社の幻冬舎といった日本国紀サイドは増刷の度に内容をこっそり修正している。おまけに今年5月になってからもツイッターで批判した作家の津原泰水氏の文庫出版を中止させた事が発覚するなどやりたい放題である。騒動は収まる気配を見せない。

そんな中の今日5月21日、百田氏が(天敵のはずの)朝日新聞のインタビューに答えた事が話題になった。

「日本国紀」批判にどう答える 著者の百田尚樹氏に聞く(有料限定記事)

有料限定記事なので全文をきちんと読んだ人は少ないだろうが、興味がある人は多いだろう。だがまあ、あまり読む価値は無い。最も肝心な問題である「盗用・コピペ」には触れていないからだ。

日本国紀の最大の問題は盗用・コピペ。これはオリンピックのドーピングと同じ

日本国紀は「ルイス・フロイス」と「フランシスコ・ザビエル」を間違えるとか、男系天皇の事を「父親が天皇」と書くとか、ちょっと中学生でも間違えないレベルのミスがあり過ぎて困る。

さらにはウィキペディア、NAVERまとめ、Yahoo!知恵袋といったソースが保証できないインターネットサイトからのコピペ、他者の著書からの盗用が発覚している。そしてそれを隠すためか参考文献を一切記載しないなど、歴史本として致命的な欠陥が多過ぎて「その域に達していない」状態である。

おまけに増刷の度にミスを指摘された箇所を修正しており、これはまさにリコール隠しである。

日本国紀の発売前に百田氏は

とツイートしているのだが、期待を裏切られたのはアンチじゃなくて「日本国紀に書かれていることはすべて事実」を信じて初版を買った人達でしょう。

そしてやはり、問題は山積みだが日本国紀の最大最強致命傷の問題は「盗用・コピペ」である。これは著作権違反であり、違法だ。歴史学がどうのというレベルの問題では無い。即刻回収するべきものであり「出版物」のレベルに達していないのだ。

例えるならばオリンピックの100メートル走でドーピングをしたようなものだ。どんなに好記録(ベストセラー)をアピールされても失格としか言いようが無い。

日本国紀サイドはツッコミどころの多さを逆利用し、盗用・コピペにまともに反論しない

しかし日本国紀はどこからでもツッコミが可能な欠陥本だからこそ、逆に言えば反論する事も沢山ある。日本国紀サイドはそれを悪用し、肝心な批判に対しては他の反論を持ち出す事で誤魔化している。

津原氏が批判したのも「盗用・コピぺ」なのだが、百田氏は朝日新聞のインタビューに

――「日本国紀」をめぐって、他の作家や版元との間で騒動が起きていることをどう思いますか?

「津原さんはツイッターで、『日本国紀』について大量に批判的な投稿をされるなどしており、ちょっと常軌を逸していたんじゃないかなと思います」

と他のツイートを持ち出して話を逸らしている。確かに津原氏の批判は大量であったが、日本国紀の盗用・コピぺ批判の中身は的を射ている。そしてその中身には一切回答していない。

さらに盗用・コピぺについては朝日新聞の記者が聞き損ねたのか載せなかったのか、

――「日本国紀」には出典元の明記がないとの批判は、津原さんの他にも多くの人から出ています。

「参考文献を載せなかったと言われますね。でも日本の歴史の本は山のようにありますが、巻末に参考文献を載せている本はほとんどありません。なんで私だけがそんなに執拗にやり玉にあげられるのかと思います」

と参考文献に話を逸らしている。ちーがーうーだーろー。「正当な文献を参照したけど参考文献として記載しなかったではなく、真偽不明のサイトをコピペしてそれを黙っていた事が問題」なんだよ。

百田氏はこれ以前にも

と「パクリ」の指摘を「恐れられたから」と脳内変換してまともに答えていない。他にも編集者の有本香氏も

と「日本国紀は売れたから正しい」と言わんばかりのアクロバティック擁護である。

何度も言うが日本国紀の最大の問題は盗用・コピぺである。これは著作権違反で違法である。法治国家の日本では許されない。

売上自慢は「俺はドーピングしたけど年収10億円の人気選手だから」と同じ

「日本国紀は盗用・コピペがあるけど、それ以外は正しい部分もある」

と言い訳してくれればまだ救いはあった。それはドーピングした選手が、

「俺はドーピングして9秒50だったけど、ドーピングしなくても9秒90で走れるんだ」

と言っているようなものだからだ。反則でメダル剥奪・出場停止処分なのは間違いないけど、「それが本当なら次ちゃんと頑張って証明しろよ」とエールを送る事ができる。

だが盗用・コピペを認めず、売上を自慢するような言い訳は

「俺はドーピングしたけど年収10億円の超人気選手なんだ。オリンピックにも出られない貧乏アスリートは黙ってろ」

とでも言ってるようなものだ。

実際にウサイン・ボルトがもし東京オリンピックの100メートル決勝後にこんな事を言ったらと想像して欲しい。世界中のマスコミ・ネットで歴史に残る大バッシングが巻き起こるだろう。そして全てのスポンサーは契約を解除し、再起は不可能になる。

日本国紀は著作権法違反で商業出版としてのレベルに達していない。歴史書って言い張る以前のレベルである。売上を自慢されても、詐欺で儲けた額を聞かされているようにしか思えない。

どんなに凄い年収を稼いでもどんなに才能があってもドーピングをしたら全ての評価を失うように、盗用・コピペをした本はどんなにベストセラーになっても評価できるはずがない。

日本国紀サイドも本当はこの事を理解しているのだろう。だからこそ決して盗用・コピペには触れず、こっそり修正という極めて卑怯なやり方を続けている。

しかしそんな誤魔化しをしているからいつまでも騒動が収まらないのだ。どう言い逃れても歴史に残るのは盗用・コピペという事実だ。それこそ歴史書をまがりなりにも書こうとしたんだから理解しているはず。

どんなにお金を稼いでもあの世にお金は持っていけない、残るのは歴史の評価だけだ。そして、どんなに今を誤魔化しても歴史の審判は決して見逃してはくれないのだ。

参照:日本国紀「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史65万部発行「日本国紀」とは? 盗用疑惑に異例の修正「日本国紀」批判にどう答える 著者の百田尚樹氏に聞く



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-歴史

author : 宮寺達也



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