10連休中に世間を騒がせた10歳の不登校ユーチューバーについて、世間がどうもずれた批判をするのが気になっている。
「宿題が嫌で不登校になるなんて情けない」
「義務教育なんだから不登校はダメ」
「自分が行かないだけならまだしも他人に不登校を勧めるのは間違ってる」
私はこれらの意見に賛同するし、問題はあれど日本の学校教育は素晴らしいものだと思っている。可能な限り小中学校に通って勉強する努力をすべきと思う。ただもっと重要な問題である「児童労働」をフューチャーすべきだと発信して来た。
10歳の不登校ユーチューバーは児童労働を禁止した国際条約違反では
10歳の不登校ユーチューバーは子役とは違う。児童虐待で行政が介入すべき
しかし世間の理解は追いついていない。先週の5月15日(水)にはこの不登校ユーチューバーが親と共に「スッキリ」「バイキング」に出演し、不登校の正当性をアピールしている。番組も学校に行くべきか否かの議論に留まっている。
このままではいけない。不登校について賛否両論の意見が集まる事こそ不登校ユーチューバーの仕掛け人、父親である中村幸也氏の狙いだからだ。
詐欺師は真実に嘘を混ぜる。不登校が問題行動でないのは事実
「一流の詐欺師とは真実の中にほんの少しのとんでもない嘘を混ぜてターゲットを騙す」
誰が言った言葉かは知らないがよく出来た言葉だと思う。
そもそも私は不登校ユーチューバーの問題は子ども本人に無いと思っている。児童労働は違法行為であり、悪事だ。だが窃盗や暴力といった明確な悪事とは違い、それを悪事と認識するのは大人でも難しい。10歳の少年にその善悪を判断しろとは無理な話だ。
だからこの児童労働の問題の全ての元凶であり、責任は両親にある。特に積極的にメディアに出演し不登校ユーチューバーをアピールしている父親の中村幸也氏が問題だ。
中村幸也氏は自身もブログを開設しており、そこで積極的に息子の正当性をアピールしている。そのブログを読んで「応援しよう」と思った人もいるだろう。
だが、私はこの中村幸也氏の主張には極めて問題を感じている。文部科学省の通達を持ち出しているのだが、
中村幸也氏ブログ(2019/5/7)「子どもを信じて何が悪いのか?」
それと学校関係者を含め、多くの大人が「不登校は問題行動だ」と考えていますが、不登校は問題行動ではありません。
文部科学省も約3年前に小、中、高、すべての学校へ向け、「不登校を問題行動と判断してはならない」 との見解を含む通知を出しています。
確かにこれは事実である。
文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」
不登校とは,多様な要因・背景により,結果として不登校状態になっているということであり,その行為を「問題行動」と判断してはならない。不登校児童生徒が悪いという根強い偏見を払拭し,学校・家庭・社会が不登校児童生徒に寄り添い共感的理解と受容の姿勢を持つことが,児童生徒の自己肯定感を高めるためにも重要 であり,周囲の大人との信頼関係を構築していく過程が社会性や人間性の伸長につながり,結果として児童生徒の社会的自立につながることが期待される。
そしてこれを読んで「文部科学省も不登校を正当化している。不登校ユーチューバーは正しいんだ」と思った人は、中村幸也氏の思う壺である。
不登校ユーチューバーの親・中村幸也氏は徹底して議論を「不登校」「宿題」に
まず大前提として文部科学省は「不登校児童生徒が悪いという根強い偏見を払拭」を目的として「問題行動ではない」と通知を出している。
決して児童をそのまま不登校に放置する目的で通知を出したのではない。
それこそ読めばわかる事だが、学校・家庭・社会が子どもの不登校を頭ごなしに叱るのではなく、寄り添う事で子どもの自己肯定感を高める事が不登校の解決策であると書いてあるのだ。
文部科学省は不登校を解決し、全ての子どもに教育を受けさせる事を目標としている。だから学校に行けなくても
児童生徒の才能や能力に応じて,それぞれの可能性を伸ばせるよう,本人の希望を尊重した上で,場合によっては,教育支援センターや不登校特例校,ICTを活用した学習支援,フリースクール,夜間中学での受入れなど,様々な関係機関等を活用し社会的自立への支援を行うこと
と何らかの方法で教育を受けるように通知している。決してユーチューバーや講演など児童労働をしても良いなんて書いてない。
中村幸也氏はブログで文部科学省の通知のリンクまで貼りながら「不登校は問題行動ではない」という箇所だけを都合よく抜き出して他はスルーしている。ちょっとリンクを読めばバレる事だが、人間、堂々とリンクを貼られるとその中身を確認しないものだ。
このように中村幸也氏は不登校に文部科学省のお墨付きを得たかのようにブログ読者を騙し、不登校ユーチューバーを正当化しているとしか思えない。これは正に詐欺師のテクニックだ。
中村幸也氏は5月5日に不登校ユーチューバーがメディアに出てから「子どもを信じて何が悪いのか?」「みんなと違ってもいいじゃないか」「なぜ宿題は無駄なのか?」「同調してばかりでは物事の本質を見失う」といったブログをUPしている。
これは「子どもの教育はこうあるべきだ」という「答えが様々にあり、1つの正解を決めきれない」テーマに議論を集める事で賛否両論を巻き起こし、1割2割でも良いので熱狂的な信者を作り出す手法と思われる。
たとえ1割だとしても10万〜20万という数字の信者が誕生してユーチューブ登録をしてくれれば大成功だからだ。
子どもを責めても意味が無い。親の中村幸也氏を「児童労働」で追及すべき
中村幸也氏の戦略はとにかく息子の不登校ユーチューバーの露出を増やし、「不登校でも良いじゃないか」「宿題は必要ない」という「子どもの教育はこうあるべきだ。私はこう考える」という発信をひたすらに行う。
そうすれば賛否両論が巻き起こる。賛否両論の議論は否応無く見ている人にも参加意識を促し、「私はこう思う」「いいえ私はこうだ」と知らぬ間に関心を持ってしまい、それがさらなる露出増につながって行く。そして1割でも賛同者が出てくれれば大成功だ。
今はその賛同者をユーチューブや講演参加者としてターゲットにしているようだが、誓っても良い、近い将来に必ず「不登校児童を対象にした月額3000円のオンラインサロン」を開設するだろう。
この時に信者が1000人さえいてくれれば月収は30万円である。もし1万人も集めれば月収300万円だ。日本の上位1%に入る高額所得者の誕生である。
もちろんそれは違法な10歳の児童労働という犠牲の上に成り立っている。
こんなスキームを10歳の不登校ユーチューバーが理解しているはずがない。これは全て親の中村幸也氏の主導であろう。
だから私は10歳の不登校ユーチューバーを決して責めない。名前を出さずに「10歳の不登校ユーチューバー」と書くのも将来に影響が出ないようにだ。責任は違法な児童労働を強制する両親、特に父親の中村幸也氏にある。
不登校・宿題といった「1つの正解がない議論」をしても中村幸也氏を利するだけだ。
「中村幸也氏は自分の息子に違法な児童労働を強制している」という絶対悪を徹底的に追及し、不登校ユーチューバー本人はもちろん、これ以上真似をする親が出てくるのを防がなければいけない。
参照:少年革命家ゆたぼんチャンネル、文部科学省「不登校」、文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」、文部科学省「義務教育」