特許

任天堂 VS コロプラ特許訴訟・第6回戦。ソリティア!?止まらないコロプラの後出し無効資料の嵐

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出典:Solitaire ソリティア – GAMEDESIGN

前回の記事に引き続き、任天堂とコロプラの特許訴訟の第6回戦(第5回弁論準備手続)でのコロプラの反論を解説していきたい。

任天堂 VS コロプラ特許訴訟・第6回戦。またユーザに内緒で白猫の仕様が変わってた

前回紹介したコロプラの反論は、特許5「シルエット表示」についてまたまたユーザに黙って仕様変更していたが、「包袋禁反言の法理」というテクニックを使った見事なものだった。

そしてもう1つ、第5回弁論準備手続におけるコロプラの反論がある。それが

「止まらない後出し無効資料の嵐」

である。

そもそも無効資料は決定打になりにくい

コロプラは裁判が始まってから、しかも第4回戦になってから急に「信長の野望」や「ファンタシースターオンライン(PSO)」などの名作ゲームを持ち出して来て「任天堂の特許は過去のゲームや特許と同じ技術だから無効だ」と言い出して来た。

その無効資料となったゲームや特許の数は第4回戦の時点で15個にも上る。

確かに特許を無効に出来ればコロプラとしてはこれ以上無い大勝利である。しかしそんな確たる類似技術が過去にあればそもそも特許庁が見逃すはずも無く、特許登録になっていない。無効資料はどうしても「全く同じ」なものは見つからない。

無効資料の基本は「まあまあ似ている」である。

「この技術と特許は似ています。確かにちょっと違う点は有りますが、その差は同業者にとっては常識的な差分です。そのため、特許を受けるための『進歩性』を満たしていませんからこの特許は無効です」と主張するのだ。

現にこれまでコロプラが見つけ出して来た無効資料は全部「まあまあ似ている」技術ばかりである。

タッチパネル上でジョイスティックのように攻撃を操作する「ぷにコン」に対して、PC上でマウスでカーソルを操作して攻撃する「信長の野望」を持ち出しているように。

特許3「スリープ機能」での特許請求の減縮は会心の一撃とは書いたものの、決定打では無いという印象は変わっていない。

でも数だけは多いから、まあ時間稼ぎにはなるな。時間稼ぎが目的ならもっと出して来るかもな。そう思っていた所。。。

ぐるみん、スパイダソリティア、Windows XP、Xbox Live、、、無効資料の嵐

これまでに15ものゲーム・特許の無効資料が出ていたが、今回の第6回戦でさらに7つの無効資料が追加された。なんと合計22個の無効資料である。まさに無効資料の嵐だ。

被告第10準備書面(本件特許権2関連) 平成31年2月19日

本件特許権2 特許4262217号「タッチパネルを長押しした後、指を離すと敵キャラを攻撃(チャージ攻撃)」

・追加された無効資料

コロプラは「ぐるみん」「スパイダソリティア」「Windows XP」と、3つのゲーム・OSを新たに無効資料として追加して来た。

ぐるみん

2004年にWindows向けゲームとして日本ファルコムから発売されたアクションロールプレイングゲーム「ぐるみん(GURUMIN)」。

ぐるみんには「チャージ攻撃」という攻撃方法がある。「攻撃ボタンを長押し後、ボタンを離すと発動。通常の攻撃では壊せない堅い物を破壊出来る」という内容であり、これが「マウス操作以外」特許2と同じであると主張している。

スパイダソリティア

ソリティアは誰もが暇つぶしにプレイした事があるWindowsゲームの鉄板である。テトリスやマリオカートに並んで殿堂入りしたこのゲームがまさか無効資料に登場するとは。

ソリティアの「マウスボタンを押したままカードを移動して、マウスを離してカード位置を確定させる」の動作が、「マウス操作以外」特許2と同じであると主張している。

Microsoft Windows XP

Windows XPの基本操作である、ファイルをフォルダに移動させる時の「マウスボタンを押したままファイルを移動して、移動先のフォルダの上でマウスを離してファイルを移動させる」操作、いわゆる「ドラッグ&ドロップ」の動作が「マウス操作以外」特許2と同じであると主張している。

・・・どれも「マウス操作以外」という条件が入っているのが大変微妙に感じる。おまけにWindowsのドラッグ&ドロップを出すなら、ソリティア要らないんじゃと思うのだが。

被告第11準備書面(本件特許権3関連) 平成31年2月19日

本件特許権3 特許4010533号「スリープから復帰する時に確認画面を表示し、スリープ直前の画面から再開(スリープ機能)」

・追加された無効資料

コロプラは「特開平5-12139」を無効資料として追加して来た。

特開平5-12139

本特許には、プログラム実行中のゲーム状況を常に記憶し、電源切れ等何らかの理由で終了した場合でもその時点の状態から再スタート出来る「ホットースタートシステム」が記載されている。

特許3とは「一定時間以上操作無しで自動で省電力モードに移行」する仕組みや、復帰表示画面などは無いのだが、そこは同業者が容易に開発できると主張している。

被告第12準備書面(本件特許権4及び6関連) 平成31年2月19日

本件特許権4 特許5595991号「ユーザー間で相互フォローし、通信や協力プレイを行う(相互フォロー)」

本件特許権6 特許第6271692号:一方的に相手ゲーム機をフォローできる(フォロー登録)

・追加された無効資料

コロプラは「Xbox Live」「特開2003-50771」「特開2004-213399」を無効資料として追加して来た。

Xbox Live

Xbox Liveは特許4,6の出願よりも早い2003年11月20日にリリースされている。Xbox Liveでは

・ゲーマータグ登録
・フレンド登録
・ボイスチャット
・フレンドのみを選択しての対戦ゲーム「麻雀」

が出来る。これが完全に特許4,6の相互フォロー・フォロー登録と同じであると主張している。

特開2003-50771

本特許には、メッセージ交換システムにおいてフレンドリストにユーザ情報を登録するシステムが記載されている。

これが特許6のフォロー登録とほぼ同じであると主張している。

特開2004-213399

本特許には、ユーザリストの中から協調作業に必要とされる人材を見つけ出し、互いを引き合わせる事を可能にする人材マッチングシステムが記載されている。

これが特許6のフォロー登録とほぼ同じであると主張している。

Xbox Liveは見込みありそうだけど、時間稼ぎの印象は拭えない

今回新たに7つもの無効資料が追加されたコロプラの無効資料の嵐だが、Xbox Liveは確かに相互ドローシステムを早期に実現していた可能性があると感じた。

しかしその他は相違点を残しまくりで、無理やり「当業者が容易に相当しうる」と結論づけているものの認められる可能性は低いと感じている。

何より、第4回戦でも指摘したように後出しは裁判に不利だ。

主張の後出しは最近の迅速化した裁判では「時機に後れた攻撃防御方法の提出であるとして、訴訟上取り上げられなくなる可能性も有る」と、裁判所の公式サイトで忠告されているような悪手なのだ。

どうもコロプラの無効資料の嵐は裁判に勝つためというより、時間稼ぎが目的という推測がどんどん核心に近くなっている。

とはいえ、Xbox Liveというクリティカルな無効資料も出てきた。次回の任天堂の反論が楽しみである。

さて、次回の審理は5月8日午前11時30分からである。って、これ今日の午前やないかーい。自分の訴訟のおかげで資料閲覧が遅くなったからブログの更新までに間に合わなかった。。。

ま、訴訟は被告原告双方が希望すれば、ずっと非公開で行われる。この訴訟もそうである。だからもうわざわざ審理当日に裁判所には行かないので関係無い。自分が訴訟の当事者になって勉強した事です。。。

参照:任天堂に訴えられたコロプラが妙に強気な「真意」を分析してみた任天堂がコロプラを訴えた裁判資料を読んだけど、コロプラの勝ち目が見えません任天堂 VS コロプラ特許訴訟・第2回戦。タイトな解釈にねじ込むコロプラ任天堂 VS コロプラ特許訴訟・第3回戦。遅延行為を繰り返すコロプラと怒れる任天堂任天堂 VS コロプラ特許訴訟・第4回戦。コロプラの切り札(?)として『信長の野望』が出陣任天堂 VS コロプラ特許訴訟・第5回戦。ユーザに内緒で『ぷにコン』の仕様が変わっていた!任天堂 VS コロプラ特許訴訟・第5回戦。後出し無効資料でコロプラが会心の一撃任天堂 VS コロプラ特許訴訟・第6回戦。またユーザに内緒で白猫の仕様が変わってたぐるみん – WikipediaMicrosoftの「ソリティア」が「ビデオゲームの殿堂」入りXbox Live – Wikipedia



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author : 宮寺達也



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