社会・一般

平成の元号不要論は西暦換算が難しかったから

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出典:国立公文書館 twitter

4月1日に新元号・令和が発表されてから1ヶ月。いよいよ本当に平成が終わり、令和の時代に突入する。

平成と令和という元号を考える機会が増えたそんな4月の末にふと気づいた事がある。

ここ数年ネットやマスコミで盛んに主張されていた「元号はわかりにくくて不便」「廃止して西暦に統一すべし」的な意見はどこに消えたとばかりにすっかり聞かれなくなってしまった事だ。

実のところ私自身もここ数年、

「あれ、今年って平成何年だっけ?」

と思う機会が増えた事を実感していた。特に2016年にフリーランスになってから役所の文書にサインする機会が増えたので、ますますそう思うようになっていた。なので「元号廃止論」にもそれなりの理解を示していた。

「確定申告の書類とか毎年、今年は平成〇〇年だったけと間違いの無いようにググって確認するもんな。西暦に統一すれば楽だよな」

しかし明日から「令和元年」と想像した時に、これからは西暦換算に苦労する予感がない。令和はブレイクの予感しかしない。

昭和と平成11年までは迷う事なく西暦換算できた

大学生になるまでは元号と西暦の換算に苦労したという記憶は無い。

私は昭和55年生まれなので、西暦は「25を足して」1980年である。この昭和と西暦の換算で迷う人は少ないだろう。

昭和から西暦 : 昭和 +  25 = 西暦(昭和55年+25=1980年)

西暦から昭和 : 西暦 − 25 = 昭和(西暦1945年−25=昭和20年)

特に昭和には1945年(昭和20年)の終戦という誰もが覚えている年がある。この25という差分の数字は間違えようが無い。

そして「西暦から引くんだっけ、昭和から引くんだっけ」とどちらが大きいか迷う事も無かった。

これもまた1945年(昭和20年)が記憶に残っているからだ。さらに私が生まれた昭和の終盤は80年代であり、西暦が終わり(下2桁の上限)に向かっているという感覚があった。だから昭和より西暦の方が大きいという意識があり、「西暦から昭和を引く。もしくは昭和に西暦を足す」という計算方法に迷いを感じなかった。

そして8歳の冬、1989年に平成になった。厳密な計算式としては、

平成から西暦 : 平成 +  88 = 西暦(平成7年+88=1995年)

西暦から平成 : 西暦 − 88 = 平成(西暦1999年−88=平成11年)

となるのだが88を使うのは面倒なのでみんなもこう覚えていたはずだ。

平成から西暦 : 平成 −  2 = 西暦(平成7年−2=(199)5年)

西暦から平成 : 西暦 + 2 = 平成(西暦(199)9年+2=平成11年)

平成元年(1989年)から西暦がミレニアムを迎えるまでの平成11年(1999年)までは、基本的に「90年代」として記憶している。なので西暦も平成も「下1桁」さえ換算できれば十分に理解できていた。

だから「90年代に2を足せば平成」と計算出来れば十分であり、換算に迷う事は無かった。むしろ昭和よりも換算が楽で覚えやすかった。1995年には阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件と歴史に残る事件が起きているが、2を足して平成7年の出来事であるとよく覚えている。

ちなみに私が大阪大学に入学したのが1999年で、所属していたソフトテニス部でも「H11組」と呼ばれていた。なのでこの年までの換算は今でも迷う事は無い。

平成12年以降は計算式が2つ必要に。足すのか引くのか判断が面倒に

しかし、この平成と西暦の換算はミレニアムを超えてから一気に煩雑さを増していく。

2000年以降に西暦に2を足すと2になってしまうので、平成2年か平成12年かパッと判断できない。厳密に88年差があるという事は変わっていないのだが、どうしても2000年以前と以前で別の計算式を用いる事になってしまう。

・1900年代(1989〜1999)

平成から西暦 : 平成 +  88 = 西暦(平成7年+88=1995年)

西暦から平成 : 西暦 − 88 = 平成(西暦1999年−88=平成11年)

・2000年代(2000〜2019)

平成から西暦 : 平成 −  12 = 西暦(平成23年−12=(20)11年)

西暦から平成 : 西暦 + 12 = 平成(西暦(20)11年+12=平成23年)

2000年代からは西暦も平成も「下1桁」さえ理解できればという状況ではなくなった。なので1900年代と2000年代で2つの換算式が必要になった。

もちろん冷静になってみれば難しい式では無いのだが、元号の換算は自分の名前や住所のように「考えなくてもパッと浮かぶ」事に意義がある。役所などの書類を記載するときに「今年って平成何年だっけ?」と考えてしまう時点で「自分たちの生きている時代を表す」という元号の価値が損なわれてしまっていた。

さらに昭和と違って平成は年数が小さい。だから2010年代になってもまだそんなに進んだ感じもしていない。そうなると平成終盤の最大の問題、

「あれっ?西暦と平成の年数ってどっちが大きかったっけ?西暦から足すんだっけ、引くんだっけ」

が発生してしまうのだ。

実際、2011年に起きた未曾有の震災である東日本大震災。2011年という西暦を忘れた人はいないだろうが「平成23年」とパッと思い浮かぶ人はどれだけいるだろうか。

平成は「(昭和に比べて)年数が小さい」、そしてミレニアムを跨いでしまった事で「換算式が2つある」という2つの不幸にさいなまれてしまったのだ。

令和は「西暦 – 18」で換算が超簡単。ブレイクの予感

なお、平成はPC・インターネットの誕生と発展の時代でもあった。

PC・インターネットにおけるデジタルデータ処理では西暦で統一する方が簡単であり、それが元号不要論に繋がっているとの意見がある。

「2000年問題」なんてのもあったし、特許庁の特許番号もミレニアムを境に「平成」表記から「西暦」表記に変わってしまった。

(ちなみに私は2000年になる瞬間をクロネコヤマトの倉庫で迎えていたのだが、2000年になる15分前に『2000年問題があるのでベルトコンベアを停止します』とアナウンスがあった時はちょっと笑ってしまった。アナログ感満載のエンジン駆動だったのに。とはいえ、今思うと非常に立派な危機管理である)

実際、2005年にエンジニアになってからプログラムを組んでて元号を使った事も無い。デジタル化が益々進む時代、扱いやすい西暦に統一した方が良いという意見はわかる。

でもデジタル化がますます進むという事は、西暦から元号への換算もますます楽になるという事でもある。2019年に改元を経験したシステムはむしろ元号を外す事の方が面倒だろう。

結局、昭和の時代から令和の時代に至るまで、元号の価値は私たちの頭の中にあるのだ。

いつの時代も元号を使うのは、役所などで公的文書を記載する時だ。その時にパッと換算することが出来さえすれば、元号の存在に不満は無い。

そして令和は平成とは違い、西暦をまたがないので計算式は1つだ。

令和から西暦 : 令和 +  18 = 西暦(令和2年+18=2020年)

西暦から令和 : 西暦 − 18 = 令和(西暦2020年−18=令和2年)

名前に「和」がある点も同じだが、換算のイメージが昭和と同じなのである。2019年に令和元年を迎えているので「西暦が大きい。西暦から引く」というイメージもはっきり固定されている。

なのでこれから公的な書類を記載するときに「今年は令和何年だっけ?」と迷う事は当面無いだろう。

令和の発表時や改元時に起きたお祭り騒ぎなど、やっぱり日本人は元号が大好きだ。令和の時代に改めて元号の価値が見直されており、令和は大ブレークの予感だ。

しかしこれはひとえに穏やかな改元を迎える事が出来た、上皇陛下の生前退位というご決断のおかげである。平成の時代は元号不要論なども出てしまったが、その平成の天皇陛下がこれ以上なく素晴らしいお人であったという事には異論は無いだろう。

参照:特許番号から特許原文献を入手する(その1)−特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)2000年問題 – Wikipedia



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author : 宮寺達也



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