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働き方改革で残業代が減ると嘆いてる人へのアドバイス

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出典:厚生労働省「働き方改革特設サイト」

(※この記事は2019年3月31日に書くつもりでURL採番だけしたのを、2019年5月16日にようやく書き上げたものです)

新元号が発表される4月1日。

多くのビジネスマンにとってはある意味新元号よりももっと重大な、生活に直結する法律が施行される。高度プロフェッショナル制度の創設などで話題になった「働き方改革法案」である。ちなみに正式名称は「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号)」である。

特にビジネスマンの生活に直結するのが「労働時間に関する制度の見直し」だ。

・時間外労働の原則を月45時間、年間360時間を原則とする

・特別な事情がある場合でも月100時間未満(複数月平均80時間を限度)、年間720時間までとする

・高度プロフェッショナル制度の創設を行う

このようなルールに変わる訳なのだが、残業時間の月平均が30時間ともなるとこれまでバリバリ月100時間とか働いて来た人には大変な給料ダウンになるだろう。

さて、この給料ダウンをどうやって取り戻せば良いのか。自分も残業代をバリバリ稼いでいた人間だったのでアドバイスしたい。

残業代が有ると無しでは生活レベルに天と地の差

私が大手事務機器メーカーでエンジニアとして働いていた時は、残業代が給料の4割近く占めていた。年収の内訳はこんな感じであった。

入社11年目(35歳)の年収内訳

基本給  35万円 × 12 = 420万円

ボーナス 70万円 × 2 = 140万円

残業代  20万円 × 6 + 35万円 × 6 = 330万円

合計年収 890万円

当時は36協定で残業が月53時間まで、年間に6ヶ月まで80時間が許されていた。幸いに(?)非常に忙しい開発職であったので年間の残業枠をフルに使い倒していた。80時間残業すると基本給と残業代がほぼ同じになり月給は倍増。その数字はボーナスに匹敵する。

「カラダもってくれよ!! 2倍残業代だ!!!!!」

的なベジータに挑む孫悟空の気分で80時間残業の月は頑張っていた。

ただ別にそんなにしんどくは無かった。80時間残業といっても平日20日として1日4時間である。

朝8時に起用し、朝9時に出勤。午後6時に定時でそこから4時間残業。夜10時に退社し、家に11時に帰る。そこから2時間ほどダラダラして深夜1時に眠りにつく。土日は完全に休みなので、好きなようにゴロゴロしたり友達と遊びに行く。

はっきりいって、朝6時に起床して8時半に登校、4時までみっちり勉強して6時半までソフトテニス部のハードな練習。夜8時に帰宅してそこから12時まで予習・復習。土曜日は学校で練習し、日曜日は大会や練習試合。そんな勉強と部活にに明け暮れていた富山中部高校時代の方が100倍しんどかった。

これが今回の働き方改革法案の施行で月の残業平均が30時間になってしまうと、年間の残業代は約130万円にまで下がる。つまり年収200万円ダウンだ。生活水準は天と地の差だ。

しんどくも無く、むしろ好きでやっていた残業を減らされて年収200万円ダウン。働き方改革なんてやめてくれと思ってるビジネスマンも多いはずだ。

じゃあ評判が悪い高度プロフェッショナル制度か、と思う人は心配しなくても良い。以前に書いたように残業代ゼロではなく対象者ゼロ(https://tmiyadera.com/blog/917.html)だからだ。

高度プロフェッショナル制度は年収1,075万円以上が対象だが、残業しまくりで年収1000万円を超えるような人はまずいない。昔の私のように残業代をバリバリ稼いでいた人は高度プロフェッショナル制度の対象になれば年収がUPするので歓迎すべきだ。

もし損する人がいるなら月200時間残業で年収1200万円に到達してる人とかだけど、マジで過労死レベル。そんな生活からは良い機会なので高度プロフェッショナル制度を活用しておさらばした方が良い。勤務時間を自由に決められると実働時間は少なくなるので確実に過労死のリスクは下がる。

管理職になれば残業代無しで給料は上がるが、それはビジネスマンとしての死

しかし時計の針はもう戻らない。

生産性の低さを指摘され、ダラダラ仕事する奴の残業代で経営も圧迫されている。企業にとっても働き方改革は喫緊の課題であり、今回の法案は大歓迎だ。

なのでバリバリ残業して稼いでいたビジネスマンがまた残業代で稼げる日はもう二度とやって来ない。ここは素直に環境の変化を受け入れて、残業に頼らず収入を戻す方法を考えていくべきだ。

真っ先に思うのは管理職に昇進する事だろう。

いまだに何が違うのかわかっていないが、大企業では管理職になると残業代が発生しない。人によっては管理職になる直前の仕事をそのまま続けており、どう見ても月100時間とか残業している管理職が沢山いたが、とにかく合法的に残業代ゼロなのだ。

私が高度プロフェッショナル制度をどうでも良いと思っているのも、とっくの昔から大企業では残業代ゼロ働き放題が実現していたからだ。

なので前の会社には「残業代が無くなるのが嫌」という理由で管理職になるのを拒否する人が後を絶たなかった。聞いた話では、管理職になる前は残業代込で年収1200万円だったのに、管理職になったら年収700万円にまで大幅ダウン。その結果、娘さんの塾を諦めざるを得なくなってしまったらしい。

最近ではそういう事態を避けるべく落ち込み幅を少なくしているようだが。私が覗き見したベテラン管理職の給与明細が「月給60万円・残業代ゼロ・ボーナス200万円で年収920万円」だったので、まあ残業代分は入っている感じだ。

でも私は給料以上に管理職はビジネスマンとしての死だと思っている。

自分はなる前に辞めたのでなぜかまではよく分かってないが、それまでは良き兄貴分として現場の事情に理解を示しながら引っ張っていたリーダーが、管理職になった途端に「部下を管理」し始めるようになる。

管理職だから管理するのは当然と言われるかもだけど、「進捗を報告しろ」「私の許可なくやるな」ととにかく現場の時間を奪い、現場を萎縮させるだけだ。「今まであんたが批判してた管理職」の仲間入りしてしまうのだ。

管理職が管理すべきは「現場の成果」であり、成果が最も出るような管理がベストだ。現場に負担を求め、現場の成果を奪うやり方は管理職失格だ。しかし、自分も現場時代にそのように管理職を批判してた人間がこぞってあちら側に行ってしまう。

私にパワハラして私を部署から追い出した奴も、ちょうど管理職になった1年目だった。

恐らく、管理職を評価するさらに上の管理職が報告の数とかそういう現場の間接的なアウトプットしか見てない(それしかわからない)のだろう。野球で例えれば、ピッチャーが何点に抑えたかを評価できず、どれだけ打たれても「事前に計画した投球内容とどれだけ一致してるか」を評価しているようなものだ。

そんな管理職になってしまったら二度と現場には戻れない。それはビジネスマンとしての死である。

定年後、老害として若手に疎まれるより現場の方が絶対に楽しい

とはいえ一昔前ならば管理職になってしまえば二度と現場に戻る事は無く、そのまま定年退職していた。まさに「逃げ切り」という奴だ。

だが、年金支給開始年齢が65歳になりもうすぐ70歳へ上げるとすら言われている現代で本当に「逃げ切り」が可能なのだろうか。

実際、嘱託再雇用という形で60歳で定年を迎えた人がもう一度職場に戻って来ている。

彼らはもちろん管理職として部署のトップに立つ事は無い。40歳で管理職になった人は20年振りとなる現場に放り込まれて、適当になんかやって下さいって感じになる。

年齢がどうこう以前で、20年もブランクがある人間が使い物になる訳が無い。簡単な作業は出来るはずだが自分の息子のようなガキにそれを指示されるのが腹立たしいのか全然ちゃんとやってくれない。もちろん難しい設計など任せる事も出来ないので「邪魔なんで席に座って大人しくして下さい」となる。

管理職も現場からリリースされた再雇用者の扱いに困るので、だいたいこんな感じになる。

「〇〇さん。ベテランの知識と経験を活かして、この部署の問題点を抽出して改善提案を出してくれませんか?」

的なアドバイザー仕事を振るのだ。

知識・経験を請われて悪い気はしないし、生意気な若手を指導できるチャンス。張り切って「〇〇の設計でミスがあったからこれからは私も入れてダブルチェック」とか現場の手間を増やす余計なルールばっかりを思いついてくれる。

当然に現場が従うはずもなく「気が向いたらやっと来ます」と無視一択である。そうして嘱託再雇用のベテランはますます孤立していく。そして必ず吐く愚痴が

「これで定年前の半分以下の給料とはやり切れん」

である。そしてそれを聞いた若手に「その前が貰い過ぎ」「文句あるなら辞めろ。納得してるからここにいるんだろ」とThe・老害扱いされるのだ。

副業・転職。残業代が減っても収入は増やせる

そんなでもお金さえ貰えればハッピーという人はいるかもしれないが、私を含め多くの人がゴメンだろう。おまけに今は嘱託再雇用も2〜3年で済んでいるが、将来は70歳まで10年間もやらなければいけない。

そもそもほとんどの管理職は50歳辺りで役職定年になり定年までの10年をボーッと過ごしている。この期間も当然老害認定だ。そうなると20歳から70歳まで働くとして、40歳で管理職になってから70歳までの30年、働く時間の6割を老害として過ごす事になる。

就職活動の時期を思い出して欲しい。建前が大きくても、本心でも社会人になった以上はやり甲斐のある仕事をしたいと思ってその会社に入社したはずだ。

だったらずっと現場の一員として、仲間と認められながら働く方が楽しくて生き甲斐があるに決まっている。無論、徐々に第一線には追いつけなくなっていくだろうが、自分の好きな事・得意な事に専念できる素晴らしい人生だ。

つい先日、現役引退したイチローを思い出して欲しい。45歳になるまで好きな野球を続け、最後はプレーも衰えて来たが自分が納得するまでプレーした。そうして仲間やファンの祝福に囲まれながら引退できた。引退試合後の記者会見でイチローが

「後悔などあろうはずがない」

と述べていたのが印象深い。「ようやく逃げ切った」と振り返るより「やりきった」と振り返る人生の方が絶対に幸せだ。

働き方改革で残業代減少を恐れて焦って管理職になってしまうと、そんな後悔する未来が待っているかもしれない。

元々、管理職に興味が無くただ給料が下がった事だけが不満ならば別の方法で収入UPを目指すべきだ。

やはり一番可能性が高いのは転職だ。今は空前の人手不足で転職市場には高年収のオファーが山ほど転がっている。

自分も前の会社を辞めた時は、実は残業ゼロ・年収850万円の条件である大企業に内定を貰っていた。どこの会社も働き方改革で「生産性の高いビジネスマン」を高条件でも欲しがっているのだ。

そしてもう1つが副業だ。

私がその大企業を蹴って選んだ道がこちらになる。私が今書いているブログのアドセンスなんかは全然大した収入にはならないが、自分のノウハウを商業出版したり、コンサルをしたりなど、今は個人でも稼げる方法が数多くある。

失った残業代の全ては取り戻せないかもしれないが、その分時間という資産を得る事ができる。その時間を上手く使えば残業代の減少を補って余りある、死ぬまで取り組める生き甲斐を見つける事ができるはずだ。

参照:首相官邸Webサイト「働き方改革の実現」厚生労働省Webサイト「働き方改革の実現に向けて」



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-ビジネス

author : 宮寺達也



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