政治 書評

小池都知事、ネットの評判に耳を傾けて

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出典:東京都サイト「知事の部屋」

12月10日、あの上杉隆氏のネット番組「上杉隆のザ・リテラシー」のゲストが小池都知事と知って、「上杉隆って何ですのん」「ちょっと待ってちょっと待って小池さーん」と叫びたくなった。

12月8日に発売になったアゴラ編集長の新田哲史氏(以下、新田さん)の新刊「蓮舫VS小池百合子、どうしてこんなに差がついた?」の3章で、都知事選でネットメディアが小池さん当選に大きく貢献したことを解説している。

2016年は民進党の蓮舫代表がネットメディアのアゴラによって二重国籍問題を追及され、支持を大きく落とした。小池都知事がこれから都政改革を推進していくためには、ネットメディアの活用が重要になるのは言うまでもない。

しかし、小池都知事がネットメディアの活用に上杉隆を選んだのは悪手だと言うしかない。そこで、この機会に小池都知事のネット戦略について、現状の分析と提言を行いたい。


都知事選は敵失が大きかった

本書の3章で詳しく解説されているが、小池都知事の当選にはネットメディアが大きな役割を果たした。しかし、内容を精査すると、その多くが敵失であったことがわかる。

アゴラで渡瀬裕哉氏、ヤフーニュースで山本一郎氏がそれぞれ取り上げた増田候補の岩手県政の問題、週刊文春が火をつけた鳥越候補の女性問題、猪瀬元都知事が「都議会のドン」を告発する記事をネットで公開と、都知事選中のネットは小池氏以外の候補の批判で溢れていた。

だが改めて整理すると、小池氏自身は積極的にネットメディアを活用したという印象は無い。

小池氏はテレビのニュースキャスター出身ということもあり、参院選直後の自民党都連訪問のようにテレビ映えするパフォーマンスに長けている。

都知事就任後も積極的に話題を提供し、テレビに露出し続けている。それが現在も続く高い支持率の要因であろう。

しかし、私は特に希望の塾、豊洲市場問題やオリンピック・パラリンピック会場問題において、小池都知事がネットでの評判を落としていることを危惧している。

本書のタイトルに「どうしてこんなに差がついた?」とあるが、マスメディアはともかく、12月現在のネットでは小池都知事と蓮舫代表を同一視する意見が増えており、差は確実に縮まっていると感じている。それは都知事就任以降、小池氏が標榜する「情報公開」「透明化」とは真逆の、「嘘」と「非公開」が小池氏周辺で起きているからだ。

小池都知事の嘘と非公開

ネットの大きな特徴として、どんなに細かい発言・事実であったとしてもずっと記録が残り、執拗に本人を追い詰めることがある。マスメディアは一週間もすれば次の話題に移ってくれるので、どんどん新しい話題を提供していけばずっと好意的に取り上げてくれる。

しかし、ネットは違う。

一度ミスを行えば、きちんと謝罪するまで執拗に追い続ける。蓮舫氏の二重国籍問題では、過去の週刊誌での発言が掘り起こされたり、台湾の官報がアップされたりして、決定的な証拠になったのがわかりやすい。

小池氏とその支援氏は都知事就任後、少しずつ、しかし確実に嘘と非公開を増やしている。
小池都知事を支援している音喜多都議が「ネットには神様がいて、その神様は「嘘」を何よりも嫌う」という記事を書かれていたので、ちょうど良い。ここで、小池都知事とその支援者の嘘と非公開を整理したい。

<支援者>
・橋下氏が希望の塾の講師を断った事実関係

・若狭氏が7人の区議が除名されたら自民党を離党すると宣言したが、していないこと

<豊洲市場>
・市場問題PTで、豊洲市場が安全であると断定する意見が出ているのに、公表しないこと

・豊洲市場の延期により、数百億から数千億円もの都民負担が発生すること

・築地市場の存続は、過去に何度も検討され、不可能と結論が出ていること

・環状2号線の延期により、晴海通りの渋滞が悪化し、周辺に多大な迷惑を及ぼすこと

・環状2号線の延期により、オリンピック・パラリンピックに多大な悪影響が出ること

・「盛り土」問題で、違法性の高い懲戒処分をしたこと

・「盛り土」問題で、全く法的根拠の無い、OBの再就職先への退職を要請したこと(私は菅元総理の浜岡原発の停止要請と同じことをしていると心配している)

<オリンピック>
・東京五輪の会場に「長沼ボート場」をごり押しし、宮城県に迷惑を掛けた事実関係

・11月29日の東京五輪四者協議で、「横浜市の考えについて」の文書を無視し、「横浜アリーナ」案を押し続け、結論が出せなかったことの事実関係

・11月29日には「横浜市の考えについて」の文書を見ていないと言った、小池都知事の発言(ネットでは嘘をついたと評価されている)

・東京都都政改革本部のオリンピック・パラリンピック調査チームが「開催地負担」に言及した事実関係

・有明アリーナにエスカレーターを設置しないという報道(バリアフリー・パラリンピックを無視した暴挙と批判の嵐)

以上が、私がぱっと思いつく限りの、ネットで批判が高まっている小池都知事とその周辺の事実である。

特に「横浜文書」で嘘をついたのは、相当なダメージだと考える。本当に知らなかったとしたら都政改革本部のガバナンスに問題があることになり、やはり責任は免れない。「知らなかったでは済まされない」のだ。

これらの問題のほとんどはマスメディアでは無視されているが、ネットでは消えることの無い事実として残り続ける。無視すれば無視するほど、ダメージは拡大するだろう。

小池都知事はネットの批判に耳を傾けて

私は小池都知事のファンであるが、それは小池氏の行動を全肯定するものではない。ファンだからこそ「やばい」と思ったら、きちんと批判して、改善を促したいと考えている。

しかし、小池氏の支援者からは適切な批判の声が出てこない。彼らはこれらの事実に対して、無視するか、他の話題に反らすかして、きちんと回答をしていない。そのため、ネットでの批判の声は日に日に高まっていると実感している。

小池都知事は、マスメディアや自分の周囲の意見だけではなく、ネットの評判に耳を傾けて欲しい。本書にあるようにご自身を当選に導いたネットメディアの力をしっかりと活用して欲しい。なお、上杉氏の話を聞いても混乱するだけなので、相手を選んで欲しい。小池氏に関する記事が毎日のように更新されており、ファクトとロジックを重視するアゴラは絶好の媒体だと思う。

幸いにまだ都知事に就任して4か月であり、任期はまだまだ残っている。修正する時間は十分に有る。
豊洲市場のような公約に無い問題で政治的資産を消耗するのは辞めて、公約の「セーフシティ 」「ダイバーシティ 」「スマートシティ」にしっかりと取り組んで欲しい。

さて、「蓮舫VS小池百合子、どうしてこんなに差がついた?」の書評はまだまだ書きたいことがある。

次回は4章を読んで感じた、小泉進次郎が総理になるためのネット戦略について書きたいと思う。


※この記事は、2016年12月12日にアゴラに投稿・掲載された記事を再掲したものになります。

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author : 宮寺達也

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