出典:朝日新聞
4月18日、世間が財務省・福田次官のセクハラ疑惑で盛り上がっている陰で、1人の天才がその政治家人生にそっと幕を降ろした。
私のブログにも度々登場してくれ、いつもかなりのPVを獲得していく大人気(?)な新潟県の米山隆一知事(50歳)が女性問題を理由に辞任してしまったのだ。
米山知事は灘高から現役で東大理Ⅲに合格して、国家医師免許を取得した上、司法試験にも合格している。さらにはマサチューセッツ大学の医師博士号まで取得している。
米山知事は1967年生まれなので、まさにバブル世代の3高(高学歴、高収入、高身長)を体現したような存在だ(身長は不明だけど、まあまあ高そう)。はっきり言ってモテモテで結婚には困らない存在だとみんな思っていた。もちろん私もだ。
そんな米山知事が非モテ人生で50歳まで独身で、女性を出会い系サイトに求めた上、20歳そこそこの女性大生をマジで好きになった上お金を渡していたとは。。。
なんだかとっても同情できる気持ちがムクムクと湧いてくるが、やはり米山知事に贈る言葉はこれだ。
「人間の値うちは、 テストの点数だけできまるものじゃないのよ」
(ドラえもん 第25巻「な、なんと!!のび太が百点とった!!」よりしずかちゃんの台詞)
まぎれもない天才だが、政治家は向いていなかった。キャリア形成の反面教師
詳細は過去記事を参照して欲しいが、米山知事は不世出の天才である事だけは間違いない。
しかし、そんな全てを手に入れたような米山知事だが、選挙には弱く連戦連敗であった。2005年から国会議員になるべく国政選挙に挑戦していたが、2013年の参議院選挙まで4連敗。在籍していた維新の党も民主党に吸収され民進党所属になってしまった。もはやこれまでかと思っていた2016年、転機が訪れる。
新潟県知事選挙で現職の泉田裕彦知事が不出馬を表明し、野党が候補者選びに難航したため連合が自民・公明が推薦する前長岡市長の森民夫の支持を決めてしまった。そんな混乱の中、米山氏は民進党を離党し無所属で立候補。民進党の支援も満足に得られない状況で、「持論だった原発再稼働をさらっと覆し、原発反対を鮮明にする」というなりふり構わない姿勢を打ち出した結果、見事に当選してしまったのだ。
そんな米山知事は当選後、わっかりやすく天狗になった。ツイッターで様々な人に喧嘩を売り始めたのだ。主に保守系の論壇人に喧嘩を売りまくり、炎上しまくる日々であった。もちろん、新潟県政とは一切関係は無い。
特に石兵氏を「吐き気を催すほど醜悪」と差別発言した件は大炎上した。私もブログで批判したものである。
米山知事の特徴はどう見ても自分が悪いのに、論点逸らしや針の穴をつつくような指摘を交えながら絶対に敗北を認め無い所である。そこは弁護士出身の知識やテクニックなのかもしれないが、ツイッターは裁判所では無い。ずるずると印象を悪くし続けただけの最悪の対応であった。
ただ、たま〜に間違っていない時はかなりの攻撃力になって相手を苦しめたりもしていた。松井一郎・大阪府知事が逆ギレで裁判を起こした件への対応は流石であった。
米山隆一・新潟県知事 VS 松井一郎・大阪府知事。どっちが勘違い?
インプットは大事だがそれだけでは無意味。アウトプットして初めて価値が出る
このように米山知事は溢れる才能をツイッターバトルに浪費し、何も残せないまま知事を去る事になった。仕事で成功するにはテストが出来るだけでは不十分で、人格も大事だという事をまざまざと見せつけてくれた。
人事コンサルタントの城繁幸さんの言葉を借りれば、「キャリアデザインの失敗例」なのである。
医師、弁護士資格までとってようやく日の当たる県知事なったかと思えばtwitterで保守界隈にケンカ売りまくって最後は下半身ネタでドッカーンですか。キャリアデザインの失敗例として最後まで印象的な方でしたわ。 → 米山新潟県知事、辞職の意向 女性問題か、週刊誌が取材 https://t.co/9b570PJ8t2
— jo shigeyuki (@joshigeyuki) April 16, 2018
そう。キャリアを形成するためにはインプットだけではダメなのである。アウトプットを継続的に出し続け、実績を積み上げて信頼を勝ち取った結果どんどん大きな仕事ができるようになるのである。
アウトプットを出すためにはインプットはもちろん必須である。インプット無くしてのアウトプットはあり得ない。
私もこのブログ記事1つ取っても膨大な記事や資料を読み込み、参照した上で書いている。
また本職のエンジニアとして特許を1件作成する時、膨大なボツ案や先行技術調査の上に初めて特許を取れそうな発明が1つ出るか出ないか、毎回ギリギリの戦いを繰り広げている。
ただしインプットしただけで何もアウトプットを出さなかったら、それは何もインプットしなかった事と同じである。
米山知事のキャリアの場合、灘高から東大理Ⅲ、医師免許、司法試験、博士号というインプットは凄い、凄過ぎる。しかし米山知事は専門である医学、司法の分野でアウトプットを残して来なかった。知識をインプットしただけで、何も成さなかったのである。
世間では学歴信仰は未だ強いし、米山知事の経歴に尊敬する人は多いだろう。でも、それは赤の他人の「へー、すごいね」程度の話だ。現場で通用しない経歴をぶら下げても、キャリアとして評価する人はいない。ただの「資格マニア」だ。
そんな米山知事は、そういう経歴が唯一通用する選挙に拘っていた。地道に実績を積むより、赤の他人から「へー、すごいね」と言われ続けたかったのだろうか。
まあそれも人生かもしれない。だが女子大生やツイッターにまで「すごいね」を求めた結果、破滅したのはある意味自然だったのかもしれない。
現在、就職活動している学生や社会人生活をスタートしてへとへとになっている新入社員は自分のキャリアについて悩んでいる頃だろう。ぜひとも米山知事を反面教師にするべきだ。
赤の他人から「へー、すごいね」と言われるしかない経歴を積み重ねても、なんの実績にもならない。それはただのインプットでしか無いからだ。
キャリアを形成するということは、実績を積み重ねるという事だ。膨大なインプットの収集と同時に、地道にアウトプットを出し続ける事を意識しなければいけないのだ。
米山知事の高学歴エリートだけど非モテという哀愁にはわかりみがすごい
しかし、米山知事の「どうして僕はこんなにエリートなのにモテないんだ」という悲しみはメチャクチャ胸に刺さる。
田舎の進学校には米山知事のようなめちゃ頭が良いのに、モテない男子は溢れんばかりに存在する。もちろん、富山県No.1の進学校である富山中部高校でモテない青春を送った私も例外では無い。
モテるのはいつだってチャラチャラしたサッカー部の連中なんだ!
米山知事の辞任会見でのセリフは非モテの心を揺さぶる名言がいっぱいだった。
--知事就任後も女性との関係を続けた理由は? 「よく分からない。ばかだったと思う。(知事に当選後、女性からの)連絡で『すごいですね』と言われて、ちょっとうれしかった」
ーー金品を渡した意図は? 「歓心を買おうと思った。それによって、より好きになってもらおうと思っていた」
--体の関係を持つために金銭の授受をしたのか? 「言いづらいが、好きになるというのは、最終的には多少なりとも肉体関係を持ちたい気持ちと重なる。より好きになってほしいと思っていた」
--このことを知人や支援者に話したことは? 「誰にもしていない。自分の中では恋愛だと思ってはいたが(話せば)人から誤解を受けるという認識があった」
「無理をしなくても愛されるって、こんなにいいのか、こんなに楽なのかと思った」
「少なくとも私には恋愛感情があった。正直、のぼせていたと思う」
どうだろう。モテない男性が悪い事と知りながら出会い系サイトに唯一の希望を見出し、相手にその気は無いとわかっていても自分だけは本気の恋愛だと信じていたのだ。(お金を渡したのは売春防止法違反だけど・・・)
無論、「おっさんがキモいんだよ」と思う人もいるだろう。だが、米山知事の苦しみだけは同じモテない男性として理解してあげたい。人を愛する心に罪は無いのだから。
己の立場を捨ててでも脅迫には屈しなかった。そこは褒めてあげたい
しかし、世間では米山知事は「スケベ知事」として不名誉な烙印を押されたままになってしまうのだろう。
だが、私は知事として「脅迫に屈しなかった」点は高く評価したい。
米山知事は出会い系サイト『ハッピーメール』を通じて、女子大生と付き合うようになった。しかしその女子大生には彼氏がいたため、相手が新潟県知事と知った彼氏(K○大学の法学部生という噂だが)によって「バラされたくなければお金を払え」と脅迫されたのだ。
米山知事の行動は売春防止法違反かもしれないが、K○大生の方は脅迫罪という圧倒的に重大な犯罪である。
米山知事はさぞ震え上がっただろうが、弁護士を立てて解決を図り、ついには金銭を支払うより公表されての辞任を選んだ。
世の中にはこういう美人局はありふれている。その脅迫に屈してお金を渡した結果、もっと窮地に追い込まれてしまった人も多い。米山知事もお金を渡していれば、もしかしたらバレずに済んだかもしれない。
しかし米山知事は屈しない道を選んだ。そして美人局事件で犯人に屈しない事が常識になれば、そもそも犯罪が成立しなくなる。わずかでも今後の被害者を防いだ、勇気ある行動として讃えられて良い。
援助交際は問題だが、脅迫はもっと問題なのだ。
本当に人生が終わったのは米山知事では無い。脅迫に手を出したK○大生の方である。
自分の人生を捨ててでもK○大生の脅迫に屈しなかった米山知事に、エリートとしての矜持を感じた。
参照:Wikipedia 米山隆一 (政治家)、週刊文春・4/18(http://bunshun.jp/articles/-/7064)、朝日新聞・4/18、産経新聞・4/17、産経新聞・4/18、産経新聞・4/18、産経新聞・4/18、産経新聞・4/18、産経新聞・4/18、産経新聞・4/19、毎日新聞・4/19、夕刊フジ・4/18