社会・一般

財務省・福田次官によるテレ朝記者へのセクハラ疑惑。セクハラも冤罪もダメという簡単な話

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出典:日テレNEWS24

4月19日午前0時、テレビ朝日が週刊新潮で報じられていた財務省・福田次官の女性記者へのセクハラ疑惑に関して緊急会見を開いた。

会見ではその女性記者はテレ朝の女性社員で有った事、そしてテレ朝の調査結果としてセクハラ被害は事実であり、社員を傷つけた財務省に抗議する事を発表した。

4月12日発売の週刊新潮で、現役の財務次官・福田淳一氏が女性記者に向かって「おっぱい触っていい?」「手しばっていい?」「キスする?」とまあ品の無いセクハラトークをしていたとの疑惑が報じられて1週間。だが被害者は不明であり、公開された録音データもぶつ切りに編集されていたため「キャバクラでの会話を繋ぎ合わせただけでは?」「本当に被害者が存在するのか?」などとの疑問が生じていた。

だがバッシングは収まらず、4月18日にはついに福田次官が辞任する事態にまで発展してしまった。その直後にテレ朝が自社社員が被害に遭ったと公表したため、バッシングの声はますます強まっている。

だが冷静に考えていきたい。財務次官が記者にセクハラ発言するのは問題だ、そんな事は当然である。一方で福田次官が辞任に追い込まれたのは被害者の存在が明らかになる前である。そして疑惑が報道されてからずっと、被害者が明らかになった後も一貫してセクハラ疑惑を否定している。

福田次官のセクハラ疑惑にはまだ疑問点も多く、被害者の証言通りの事実であるかは不明だ。セクハラがダメなのと同等に、確たる証拠も無い状態で一方的にセクハラ犯罪者扱いする冤罪もダメなのである。

唯一はっきりしているのはテレビ朝日がセクハラ加害者である事

週刊新潮による報道や、テレ朝の記者会見を受けて現在判明している事実を整理する。

・2016年11月から2018年4月まで、テレ朝の女性記者が福田次官(当初は主計局長)の担当であった。取材目的で数回以上1対1で会食した。その度に福田次官からセクハラ発言が有った。

・女性記者はオフレコの発言を無断録音し、その中に福田次官のセクハラ発言が有った。

・女性記者は2018年4月4日の取材後にセクハラ発言の報道を提案したが、テレ朝の上司に「報道は難しい」と却下された。

・女性記者はテレ朝に無断で週刊新潮に録音データを提供した(売った?)

・福田次官は「音源は一部であり、全体としてはセクハラに該当しない」と録音データが自分の発言である事を認めつつ、セクハラ疑惑を否定している。

重要なのは、セクハラについて被害者の女性記者と加害者の福田次官の言い分が真っ向から対立している事である。テレ朝が被害者の存在とセクハラ被害を認めた事でセクハラの事実が確定したかのように言っている人が多いが、テレ朝は女性記者から伝聞で聞いているだけなので、セクハラの新しい証拠が出た訳ではない。

テレ朝の会見で出た新しい情報は、「テレ朝の上司が、セクハラ被害の訴えを握りつぶした」という事だけである。

セクハラの定義によると、

●対価型セクシャアル・ハラスメント

職務上の地位を利用して性的な関係を強要し、それを拒否した人に減給、降格などの不利益を負わせる行為。

●環境型セクシュアル・ハラスメント

性的な関係は要求しないものの、職場内での性的な言動により働く人たちを不快にさせ、職場環境を損なう行為。

となっている。女性記者の訴えを握りつぶした上司は、「職務上の地位を利用して、セクハラ発言で苦痛を生じる取材対象への取材の継続を指示」し、さらに「セクハラ被害を報道すると二次被害が心配だ、などと言い訳して働く人を不快に」させた。

福田次官のセクハラ発言が事実で有ろうが無かろうが、テレ朝が「セクハラ被害を承知で取材を強要し、隠蔽しようとした」事は明確な事実である。雇用関係が存在する分、より悪質なセクハラ加害者である。

テレ朝は財務省に自社社員が傷つけられたと抗議するらしいが、抗議するなら週刊新潮が報じる前にテレ朝が報道するなり抗議すれば良かっただけの話だ。

本当に抗議されなければならないのはテレ朝の方である。

一方的な証言だけで、しかも匿名の情報で犯罪者扱いしてはダメ

テレ朝の会見で被害者の存在が明らかになった事により、セクハラ被害の信憑性が高まった事は間違いない。福田次官と女性記者は度々1対1で会食しており、そこで「おっぱい触っていい?」などのエロ発言が出た事はまあ、確かだろう。

それでも私は現時点で週刊新潮が告発するセクハラ被害がそのまま有ったとは受け止めていない。理由としては、公開された録音データが編集されたぶつ切りのものであり、女性記者以外に向けて発言した可能性が残されている事。そして、状況的にプライベートでの発言の可能性がある事だ。

別に福田次官を庇っている訳では無い。年功序列の大組織で出世したおっさんなんて、私が一番嫌いな人種だ。だが、福田次官はテレ朝の会見後も「音源は一部であり、全体としてはセクハラに該当しない」と一貫してセクハラ疑惑を否定している。

福田次官がセクハラを認めたのならば「このエロ親父が」と問答無用で叩く所だがそうでは無い。

容疑者が否定している以上、被害者の証言を鵜呑みにして確たる証拠も無く犯罪者扱いするのは刑事司法の「推定無罪の原則」に反する。推定無罪は「何人も有罪と宣告されるまでは無罪と推定される」という近代法の基本原則である。セクハラ疑惑は刑事司法では無いが、この基本原則が当てはまると考えるのが自然だ。

特に福田次官が辞任した4月18日までは、被害者が本当に存在するかどうかも明らかでなかったのだ。証拠として挙げられていたのは、福田次官が「おっぱい触っていい?」「手しばっていい?」「キスする?」と発言していたぶつ切りの録音データだけである。

例えば、福田次官がキャバクラで遊んでいる所に同席してキャバクラのエロいお姉さん相手にエロい会話をしていた所を録音され、切り取られていただけの可能性も有った。福田次官は録音データが自分の声である事は認めていたが、女性記者へのものでは無いと主張していたので理屈は合っている。もしかしたらプライベートでの愛人との発言だった可能性もある。

はっきり言って、キャバクラなどでのエロい会話を録音されてぶつ切りに編集されたら日本の成年男性は全員がセクハラ加害者になってしまう。

被害者もわからない、録音データの出所も不明、そんな状態で有罪認定するのは中世の魔女狩りと同じ人民裁判である。

近年、女性の一方的な証言だけで有罪判決が出てしまう痴漢冤罪が社会問題になっている。それにも関わらず、福田次官のセクハラ疑惑は「このエロ発言、誰が相手かは不明だけど女性記者へのセクハラですね。認めたら有罪、認めなくても有罪」という証言すら無いのに有罪扱いという、痴漢冤罪も真っ青のとんでもない冤罪問題で有った。

しかも、PC遠隔操作事件では江ノ島まで取材に行って犯人を庇い、冤罪の解決を訴えていたジャーナリストの江川紹子さんまでもが、

と最初から福田次官が有罪と決めつけて発言しているのはショックであった。一方の証言だけで有罪扱いしてはいけない、これは江川さんから教わった事だったから。

推定無罪の原則を無視して「被害者の証言だけ」でほぼ有罪になる痴漢冤罪が社会問題なのに、福田次官は「被害者も不明」「第3者の証言」だけで有罪にしろという世論。そこに、冤罪撲滅を長年訴えてきた江川さんまでもが乗っかる構図。

ここは魔女狩りが行われた中世か、切り捨て御免の江戸時代か。10回に渡ってしっかりと裁判する地獄の方がよっぽどマシなのではないか。

女性記者の証言には不可解な点がある。公平でしっかりとした事実究明を

しかし、テレ朝の会見後はこれまで福田次官のセクハラ疑惑に懐疑的で有った人も、セクハラ発言は有ったものとの結論に達している人が多い印象だ。

私も福田次官が女性記者に「おっぱい触っていい?」などとエロ発言をしていたのは、まあそうなんだろうなと思っている。「財務省の事務次官にまで上り詰めた人がそんなエロ発言をするなんて信じられない」と思っている人もいるかもしれないが、男はみんなそんなものである。

昔、私が社員寮に入っていた時、そこの管理人さんは「私は60歳を超えたけど、まだまだ性欲が溢れて止まらない。お前ら、若いんだからもっとがっついていけ」と発破をかけられたものだ。

エロい事が問題なのでは無い。米山知事もそうだけど、男はみんなエロい。だから赤ちゃんが生まれるのだ。太古の昔から受け継がれる偉大な摂理だ。

なので福田次官がエロい事が問題なのでは無い。「どんな状況でエロかったのか」が問題なのである。

私が疑問に思っているのは、福田次官と女性記者の距離感である。記者なので取材をするのは良いが、1対1で何回も会うとか、録音データにあるようにキャバクラのような場所で会っているとか、これが「職場関係」と言えるのだろうか。

財務省の居室や記者会見の席でエロ発言が出たなら「職場関係」なので明白なセクハラだ。即3アウトでチェンジだ。

だが状況的に、福田次官と女性記者は極めてプライベートに近い関係で会っていたのではと感じてしまう。女性記者にそのつもりが無くても、福田次官がそう勘違いしてしまったという事はあるだろう。

その場合、福田次官のエロ発言には情状酌量の余地が出てくるのではないか。

この女性記者の意図はもちろんわからないが、いわゆるハニートラップとして役人に接近し、プライベートを装いながら恋愛感情を誘発して機密情報を聞き出したり、またセクハラ発言を引き出して脅迫の材料に使うと言う事は十分に考えられる。

女性記者の場合でも、はっきりしているのはセクハラ発言を受けながら1年半も取材を続けており、4月4日にようやく上司に報道を提案したという事だ。

例えば、森友問題に関わる重要な情報を得ようと全ての発言を録音していたが、上手くいかなかった。成果がゼロでは困るので、録音データの中からセクハラ発言を抜き出して手柄にしようとした。でも却下されたので週刊新潮に売り込んだ。こんなストーリーも考えられる。

少なくともこの1年半、テレビ朝日から財務省に関する特ダネが無かった事は事実である。

セクハラもダメ、冤罪もダメという簡単な話

何度も言うが、私は福田次官を擁護している訳では無い。だが、福田次官は現時点でセクハラ疑惑を否定している。そのセクハラ疑惑の証拠はテレビ朝日の証言と、無断で録音された上にぶつ切りされた音声データだけである。

推定無罪は「何人も有罪と宣告されるまでは無罪と推定される」という近代法の基本原則である。その原則に従い、事実解明を進めてセクハラ被害が明らかになった時点で有罪扱いするべきである。

一方で記者が役人からセクハラ被害を受けやすい状況にある事は明らかになった。これは再発防止の観点から、今後はセクハラ被害が発生しないように省庁と記者の関係を見直していくべきである。

セクハラはダメだ。かつては女性は男性の下という見方が強く、女性は理不尽なエロ発言に我慢を強いられる時代が有ったが、人権意識が高まった現代では通用しない。男女ともに、相手を傷つける性的な発言には気をつけなければならない。

そして、冤罪もダメだ。冤罪は品行方正に生きてきた人間に理不尽な罰を負わすだけでなく、罪を犯した人間を野放しにしてさらなる被害者を産んでしまう。近代法の原則である推定無罪を守っていかなければいけない。

福田次官のセクハラ疑惑の件は「セクハラもダメ、冤罪もダメ」という簡単な話である。

しかし森友問題や文書改ざん問題で財務省へのバッシングが強まっているので、財務次官は悪いに違いないと冤罪上等の発言をしている人が多い。

想像して欲しい。もし何もやっていないのに、連日連夜マスコミに助平野郎とバッシングされ続けている自分の姿を。冤罪を放置した場合、次の犠牲者はあなたかもしれないのだ。

参照:デイリー新潮・4/11デイリー新潮・4/13デイリー新潮・4/18産経新聞・4/18産経新聞・4/18産経新聞・4/18産経新聞・4/19産経新聞・4/19毎日新聞・4/18毎日新聞・4/19HUFFPOST・4/18HUFFPOST・4/19HUFFPOST・4/19HUFFPOST・4/19朝日新聞・4/19福田次官の事件は「テレビ朝日のセクハラ」



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-社会・一般

author : 宮寺達也



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