特許

一番大事なのは白猫プロジェクトのユーザーが安心して遊べる事でしょ

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出典:「白猫プロジェクト」進撃の巨人コラボ特設サイト

任天堂とコロプラの特許訴訟について記事だが、相変わらず凄い反響をいただいている。特に第2弾は8万PVを超えてしまった。想像もできない数字だ。裁判の行方が気になっている人がそれだけ多い事の証明だろう。

第1弾・任天堂に訴えられたコロプラが妙に強気な「真意」を分析してみた

第2弾・任天堂がコロプラを訴えた裁判資料を読んだけど、コロプラの勝ち目が見えません

さて、その第2弾にはツイッターを中心に弁護士、弁理士と言った専門家の方から多数のご指摘をいただいている。

その指摘を受けて自分の未熟を痛感したが、記事を通して伝えたい事は変わっていない。

一番大事なのは、特許訴訟で任天堂とコロプラのどちらが勝つかでは無い。裁判が終わった後に、本当に白猫プロジェクトのサービスが続いている事である。

コロプラは「裁判で負けても仕様変更してサービスを継続する」と言っているが、それは本当に可能なのだろうか。もしも裁判が終わったと同時に白猫プロジェクトが配信停止になった場合、信じてついてきたユーザーは裏切られ、多大な被害を被る事になってしまう。

現時点で、やはり任天堂の特許5件を完全に回避できる可能性は低いと思う

第2弾の記事にいただいた指摘で特に多かったのが、民事訴訟の常識を理解していないとのものであった。

・損害賠償を請求する際に、弁護士費用として損害額の10%相当額を請求することは、ごく一般的である

・10%は裁判所が便宜的に定めた額であって、その額がそのまま弁護士報酬になるとは限ら無い

・答弁書において具体的な認否反論を後回しにすることは、ごく一般的である

これらが民事訴訟の常識であり、「現時点で特許訴訟の勝敗を断言するのは軽率である」との批判をいただいた。

ご指摘いただいた方は本当にありがとうございます。大変勉強になります。

ただその上で私の主観は変わっていない。あくまで任天堂の特許5件と白猫プロジェクトのゲーム仕様を比較した所、白猫プロジェクトが特許を侵害しているとの認識を持っている。

そして、それは任天堂の特許侵害を主張する裁判資料を閲覧してさらに確信を深めた。コロプラの答弁書からは特許侵害を否定する情報はまだ出ていないし、否定できる論理が想像する事もできない。

さらには任天堂の特許が5件バラバラであった事が大きい。例えば「ぷにコン」だけを狙った特許5件であればまとめて侵害していないという判断がでる可能性はある。しかしバラバラの特許5件、その全てに侵害していない結果がでる可能性は低い。

仮に現時点で任天堂とコロプラの主張が拮抗しており、コロプラが特許侵害していないとの判断を裁判所が出す可能性を1/2とする。それでも5件全部でコロプラが特許侵害していない可能性は1/2の5乘、すなわち1/32である。3.1%と極めて低い確率だ。

主張が拮抗しているとの前提でこの結果だ。任天堂の特許侵害が認められる確率が高いとの考えに基づくと、もっともっと低くなってしまう。

なので私は裁判資料を閲覧した上での現時点の判断として、「コロプラの勝ち目が見えません」という主観を持っている。予防線を張っているわけでは無いが、もちろん「コロプラが負け確定」とは言っていないし、思っていない。あくまで現時点における私の主観である。

第2回の口頭弁論も取材し、今度はきちんと認否・反論を踏まえた上で考察をアップデートしたい。今回頂いたご指摘はしっかりと受け止めさせていただき、次に繋げたいと考えている。

だが、一番に考えるべきは白猫プロジェクトのユーザーのこと

そして、「主観でコロプラが負けると決めつけるような情報を拡散するのは良く無い」との指摘もまたいただいた。

これについても全く反論の余地は無い。その通りであると思う。だが、その上でコロプラが特許訴訟に勝つのかどうかを議論していく事は極めて大事だと思っている。

それは、もしこのままコロプラが敗訴して白猫プロジェクトが配信停止になった場合、コロプラを信じて白猫プロジェクトを遊んできたユーザーが多大な被害を受けるからだ。

改めてだがコロプラは1月12日、

白猫プロジェクトのサービスが終了するということは断じてございません。コロプラとしては、特許侵害の事実は一切ないものと確信しておりますが、訴訟がたとえどのような結果になっても仕様変更等を通じて、サービスを継続してまいります

と、ホームページで公式にコメントを発表している。

しかし、先ほど書いたようにこのままではコロプラが完全勝訴となる可能性は低い。「現時点で特許訴訟の勝敗を断言できない」と指摘してくれた方も、誰もコロプラが勝つ可能性が高いとは言っていない。

つまりユーザーが安心できるためには、「白猫プロジェクトが仕様変更等を通じて、サービスを継続できる事」が絶対条件だ。だが、任天堂の特許5件を回避するための仕様変更は本当に可能なのだろうか。

1件目。特許3734820号は「ぷにコン」の動きに該当する。ぷにコン」の挙動を円形では無くす事で回避もできるが、かなり大幅な改造になりそうだ。難しい場合、これを回避するには「ぷにコン」そのものを不採用にしなければならない。

2件目。特許4262217号は「チャージ攻撃」に該当する。タッチパネルを長押しする以外に攻撃力を貯めて、指を離す以外に敵キャラを攻撃する操作に変えなければいけない。「ぷにコン」の動作より簡単に思えるが、ゲームの操作性に大きく影響が出るだろう。

3件目。特許4010533号は「スリープ機能」に該当する。スマホは電池消費が激しいため、スッリープ機能はスマホゲームに必須である。スリープ復帰時の表示画面を無くす事で回避はできるが、ゲームシステムの根本に関わる上、操作性はめちゃくちゃ下がるだろう。

4件目。特許5595991号は「相互フォロー」に該当する。これを回避する事は不可能では無いか。ユーザー間でやり取りしたり、協力プレイを行うのはスマホゲームの醍醐味だ。これを削除するのは大変な変更であるし、何より協力プレイが無い白猫プロジェクトは全く魅力が無くなってしまうのでは。

5件目。 特許3637031号は「シルエット表示」に該当する。一見地味だけど、陰に隠れたキャラが見えなかったらゲームを上手く操作できないし、ゲームの表示機能の奥深くで実装されていそうで、簡単にOFFできるとも思えない。

コロプラの「仕様変更等を通じて、サービスを継続してまいります」との力強い言葉も虚しく、裁判に負けた場合に任天堂の特許を完全に回避してゲームを継続できるとはとても思えない。

何よりできるならば「クラッシュ・オブ・クラン」のようにとっくに機能削除していると思うのだ。

このままでは白猫プロジェクトのユーザーが突然死(サドンデス)してしまう

従って、現時点で考えられる最もあり得そうなシナリオは、

「コロプラが任天堂の特許侵害を認定され、白猫プロジェクトが配信停止になる」 → 「任天堂の特許全部を避ける仕様変更は困難であり、そのまま白猫プロジェクトは終了」

といったものだ。

これではコロプラを信じて白猫プロジェクトを今でも遊び続けているユーザーは裁判が終了後、突然にゲームを遊べなくなってしまう。まさに突然死(サドンデス)であり、「正直者がバカを見る」ではないか。

白猫プロジェクトは現在もコロプラの売り上げNo.1である大人気ゲームであり、2月28日から大人気テレビアニメ「進撃の巨人」とのコラボもスタートする。このために多額の課金をするユーザーも多いだろう。

もし裁判が終了して配信停止になり、これらのデータも全て使えなくなってはユーザーに対する大きな裏切りだ。実際、それを恐れて白猫プロジェクトを遊ぶのを躊躇ったり、辞めてしまったユーザーも多いだろう。

コロプラは「特許を侵害していない」との根拠はどこから来ているのか、しっかりとユーザーに説明して安心させる必要がある。裁判のためにそれが難しいとしても、任天堂の特許全部を回避できる仕様変更は今すぐにでも実施するべきだ。もし特許に勝てば元に戻せば良いだけの話だ。

少なくとも「クラッシュ・オブ・クラン」を配信しているSupercellはできた事である。できないのならば、それもまたきちんと説明して欲しいと思う。

別にこれはコロプラに負けて欲しいとか、潰れて欲しいとかの思いで言っているわけでは無い。むしろ逆だ。

コロプラの2018年の決算予想では営業利益80億円となっているが、その内50億円は白猫プロジェクトによるものと推定される。賠償金44億円や特許ライセンス料は高額かもしれないが、このまま白猫プロジェクトのユーザーの信頼を失くし、稼ぎ頭の売り上げ、利益が無くなっていく方がもっと被害が大きくなってしまうのではないか。

特許侵害していない根拠を説明するか、仕様変更してユーザーを安心させて欲しいとはむしろコロプラのためを思えばこそ、言っているのだ。

どんな商売だってお客様の事を第1に考える事で、結果として利益に繋がる。それを軽視すると会社そのものが危なくなるのは、つい最近コインチェックの騒動でも見られた事だ。

一番大事なのは白猫プロジェクトのユーザーがこれからも安心して遊べる事。これを実現するため、私はこれからも情報発信を続けていく。特許訴訟の専門家の方々もどうか力を貸して欲しいと思っています。よろしくお願いいたします。

参照:コロプラ・お客様への感謝とお知らせ「白猫プロジェクト」,アニメ「進撃の巨人」コラボが2月28日にスタート



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author : 宮寺達也



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