特許

なぜ任天堂は白猫プロジェクト『だけ』を特許侵害で訴えたのか?

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出典:Wikipedia 任天堂

任天堂とコロプラの特許訴訟について記事を書いたところ、大変な反響をいただいている。

第1弾・任天堂に訴えられたコロプラが妙に強気な「真意」を分析してみた

第2弾・任天堂がコロプラを訴えた裁判資料を読んだけど、コロプラの勝ち目が見えません

両方とも零細ブログとは思えないアクセスを頂き、共に4万PVを超えてしまった。後者の記事を公開した2月23日にはアクセスが殺到してサイトが閲覧できにくい状態が長く続いてしまった。なかなか記事を見れなかった方、ご迷惑をお掛けしました。契約サーバーにも怒られてしまう始末でした。

私の普段のブログ記事、特に知的財産の記事はアクセスが少なくて500PVあれば上出来である。それだけ任天堂という歴史ある企業と白猫プロジェクトという大人気スマホゲームへの注目の高さが感じられた。

さて、任天堂とコロプラの訴訟は色々と調べているのだがどうにも見えて来ない事がある。それは、

任天堂の特許を侵害しているスマホゲームは白猫プロジェクトだけでは無い。他にも多数のゲームがあるはずだ。なのに、なぜ白猫プロジェクト「だけ」が訴えられる事になったのか?

である。この真相がはっきりしないと、現在スマホゲームを出している会社は「いつかは自分たちも」と気が気でないだろう。私が一緒に仕事をしている会社もスマホゲームを出しているので、他人事ではない。そこで様々に噂されている訴訟に至った真相を整理してみよう。

ぷにコンの特許侵害だけでも4つのゲームがある。他の特許を合わせれば大多数のゲームが対象に

第1弾の記事にも書いたが、白猫プロジェクトはぷにコンというコントローラを使用しており、これが任天堂の特許3734820号に抵触している可能性がある。

しかし、このぷにコンを採用しているゲームは「バトルガール ハイスクール」、「ドラゴンプロジェクト」、「激突!! Jリーグぷにコンサッカー」と他に3つもある。ぷにコンの特許侵害が許せないならば、これらのゲームも訴訟の対象にするはずだ。だがスルーされている。

さらに、訴訟記録で特許4262217号「チャージ攻撃」、特許4010533号「スリープ機能」、 特許5595991号「相互フォロー」、特許3637031号「シルエット表示」と、さらに強力な4つのキラー特許の存在が確認できた。

この中でも「スリープ機能」はほぼ全てのスマホゲームが備えているものだ。Yahoo!個人でお馴染みの弁理士・栗原潔さんに「ゲーム機という縛りをかけなければ iPhoneを含むスマホ全部に権利行使可能だったんじゃないか」と評価されるほどの強力さだ。また、「相互フォロー」もほとんどのスマホゲームが備えている。

私もこの「スリープ機能」を回避できているスマホゲームは白猫プロジェクトを含め、ほとんど無いと思う。なので第2弾の記事にも書いたのだが、このキラー特許5件と任天堂知的財産部なら全てのスマホゲームを配信停止にできそうな気がする。

任天堂の特許侵害訴訟の目的が賠償金ならば、もっと売り上げが大きいFate/Grand Order、グランブルーファンタジー、モンスターストライクといったスマホゲームを提訴するべきだろう。

そんな中であえて白猫プロジェクト『だけ』を対象にしたのは、コロプラが単純な特許侵害以外の何か、任天堂の虎の尾を踏んでしまったのではと思うのである。

仮説1 コロプラがぷにコンの特許を取得し、他の会社にライセンスしようとしたため

5ちゃんねる掲示板の情報や、私のツイッターに寄せてくれた情報で多かったのがこの仮説1である。

確かにコロプラは特許5815143号など、「タッチ入力によりゲームを進行するインタフェース」として、まさにぷにコン特許を取得している。特許資料でも実際のぷにコンの操作画面を使っている。

特許5815143号・図5

 

【ぷにコン】のアピール画面

参考:【白猫】コロプラがぷにコンの特許とったせいで他のゲームに影響出てるって本当??【プロジェクト】

ぷにコンは任天堂のジョイスティック特許が元になっているかもだが、その上にぷにコン独自である弾性オブジェクトといった特徴を付加して新たな特許を取得する事はできる。これを利用発明(特許)という。

この場合、コロプラはぷにコン特許を持っていてもぷにコンを自社のゲームで使う事は出来ない。だが、もちろん任天堂もぷにコンを使う事が出来ない。もし任天堂がぷにコンを使いたいなと思った場合に、コロプラは「自社のぷにコン特許を任天堂が使っても良いから、元になった任天堂の特許を使わせて欲しい」と交渉が出来るのだ。

これがクロスライセンスである。成立すればコロプラも任天堂も仲良くぷにコンを使用する事ができる。

もちろん利用特許を取得するだけなら問題無い。だがコロプラは任天堂に許可を得なければ使用できないぷにコン特許を独自開発と大々的にアピールし、勝手に他社に有償で提供したり、クロスライセンス契約を結ぼうとした。任天堂は自社の特許を使うだけならば黙認するが、勝手に商売されるのは許せない。それが任天堂の怒りを買ったという噂だ。

実際、コロプラは2017年11月にカプコンとクロスライセンス契約を結ぶなど、積極的に特許活用を進めている。特許侵害の交渉が始まったのが2016年9月とのことなのでカプコンの契約は無関係であるが、そういったコロプラが自社特許を積極的に活用する姿勢が逆効果になった可能性がある。

あくまで噂であるし、ぷにコン以外の特許を持ち出してまで潰そうとしていたり、ぷにコンを使用する他のゲームが訴えられていない説明ができない。だが、白猫プロジェクトがまず狙われた理由としては有り得るのかなと思う。

仮説2 白猫プロジェクトが任天堂のキャラクターをパクっていた

多くのゲーム愛好家が指摘していたのが、白猫プロジェクト内で任天堂のゲームシステムやキャラクターをパクっているという仮説2だ。

白猫プロジェクトの中で遊べるレースゲームがマリオカートに酷似していたり、スプラトゥーンに酷似したミッションが有ったりしているのが報告されている。

【白猫プロジェクト】マリカーやスプラトゥーンに似てる?

さらには、「10島 監獄の島バルヘイム 」というクエストがゼルダの伝説に酷似しており、特に鎧をつけた緑のリザードマンは清々しい程のパクリという評判だ。

【白猫】10島は「ゼルダの伝説」に影響受けすぎ!?新モンスターも清々しいほどのパクリでワロタwwww【プロジェクト】

鎧をつけた緑のリザードマン

任天堂は自社のキャラクターを非常に大事にしている。公道マリオカートを運営する「株式会社マリカー」を不正競争行為法違反で訴えたが、損害賠償金はたったの1000万円だ。これは明らかにお金目当てでは無い。マリオカートを模した自動車が無節操に増える事で交通事故が多発し、マリオカートのイメージが悪化することを危惧したのではと思う。

このように自社のキャラクターを非常に大事にする任天堂なので、白猫プロジェクトがパクリをしていたのを許せず、特許訴訟という形で配信停止を求めたという噂だ。

個人的にはそこまで酷似しているかという疑問もあるし、他のスマホゲームでもやはり同様のパクリはあると思う。だがキラー特許5件を持って完全に潰そうとしている姿勢とは合う気がする。

余談だが、私が一緒に仕事をしている会社のゲーム開発メンバーの方はこの仮設2を支持している人が多かった。

真相はまだわからないけど、何が理由で任天堂の虎の尾を踏むかを知らないと大ピンチ

仮説1,2以外でもツイッターなどを通じて寄せられた情報では、

コロプラは位置ゲームを得意としている。任天堂もポケモンGoから位置ゲームに力を入れようとしているので競合会社として邪魔になった

という仮説もいただいた。

さらには、東スポが

「任天堂からすれば40億円の賠償金など決して大きくない。訴訟は表面上のケンカで、本題は別のところにある」「任天堂に仁義を切るべき場面で、コロプラがヘタをうった」

(中略)

「任天堂とコロプラが『白猫』をはじめとした複数タイトルをSwitchで出す方向で協議していた」(あるゲームプロデューサー)というものだ。

「その場合、任天堂はSwitch版だけのオリジナル要素を入れてくれと要求するだろう。ゲームをおもしろくするためには当然のこと。しかし、コロプラとしては超ドル箱コンテンツのスマホ版で遊ぶユーザーを手放すわけにもいかない。スマホ版の収益とてんびんにかけて、Switch向けに開発していたタイトルを撤退させた。これが、自社の矜持であるハードをないがしろにされた任天堂の逆鱗に触れたというわけです」(前同)

というニュースを報じている(もちろん、真偽不明の噂だが)。

結局、任天堂が白猫プロジェクト『だけ』を訴えた真相はまだまだ不明だが、裁判が進むにつれて明らかになって欲しいと思っている。

現状、任天堂がその気になってしまえばどんなスマホゲームも配信停止にになってしまう恐れがある。一部のスマホゲームに会社の売り上げを依存している会社はたくさんある。コロプラの事は決して他人事では無い。

なので、コロプラが任天堂の虎の尾を踏んだ真相を知る事は、極めて大事な自社防衛策であるのだ。先ほども書いたが私が一緒に仕事をしている会社もスマホゲームを出しているので、万が一任天堂に訴えられたら大変困る。

現在一緒に仕事を仲間たちを守るためにも、私はこの真相を追求していかなければいけない。

参照:白猫プロジェクト 公式サイトFate/Grand Order 公式サイトGRANBLUE FANTASY | グランブルーファンタジー(グラブル)モンスターストライク(モンスト)公式サイト白猫プロジェクト攻略速報5ちゃんねる・任天堂によるコロプラ提訴の本当の理由が判明コロプラ、カプコンと特許クロスライセンス契約を締結twitterコメントなんで任天堂はコロプラだけにあんなにブチ切れたんや?東スポWeb・2/23



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author : 宮寺達也



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