政治

足立康史議員の「朝日新聞、死ね。」がマズイと思う3つの理由

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出典:いらすとや

日本維新の会の足立康史衆院議員が、ツイッターで「朝日新聞、死ね。」と投稿した事が波紋を広げている。

名指しで「死ね」と言われた朝日新聞はもちろん、多くのマスコミや識者が批判している。私も常識的に考えて大変に問題のある言葉であり、勢いに任せて投稿したものだから直ぐに撤回するだろうと思っていた。

しかし、足立議員は自身のブログで

朝日新聞のねつ造報道は“万死に値する”  - 私が朝日新聞を最も強い言葉で非難する理由 -

と撤回する意思が無い事を強調している。ブログによると、

・朝日新聞は、加計学園の問題について自らが捏造報道をしたのに全く反省の色が無いため、「考え得る最も厳しい言葉で非難した」

・「日本死ね」が許容される国会の現状、それが流行語大賞に選ばれるメディアに対する“異議申し立て”として「死ね」という言葉を使用した

と説明している。

私も加計学園を巡るマスコミの報道には辟易しているし、「保育園落ちた日本死ね」という言葉には嫌悪感しか感じない。

しかし、足立議員がこのような言葉を使って朝日新聞を非難する事は、何の解決にもならないと思う。むしろ、事態は悪化するのではと心配している。

なぜ「朝日新聞、死ね。」がダメなのか、3つの理由で説明したい。


1. 「保育園落ちた日本死ね」と「朝日新聞、死ね。」は対等では無い

足立議員はBuzzFeed Newsの取材に対して、

朝日新聞に対して「死ね」という言葉を使うのはよくないことだけれども、「日本死ね」に対する異議申し立てとして、あえて非難を承知でやった。

よくないことだけれども、「日本死ね」を撤回させるためにやった。

と回答している。しかし、これは無理があるロジックだ。

「保育園落ちた日本死ね」というのが極めて不愉快な言葉である事には異論は無い。こんな言葉を国会で取り上げた山尾議員にも、流行語大賞を与えたユーキャンにも非難の気持ちで一杯だ。

しかし、この発言の当時者は匿名ブログであり、また山尾議員やユーキャンである。

朝日新聞はこの「日本死ね」に肯定的な立場を取っていたのは事実だが、実際に発言した訳では無い。朝日新聞が足立議員に対して「死ね」と批判記事を書いたのならば、「朝日新聞、死ね。」が対等の関係になるかもしれない。だが、そうではないのだ。

「加計学園に対する記事を書いた」朝日新聞と、「朝日新聞、死ね。」と発言した足立議員という関係なのだ。朝日新聞が名誉毀損や脅迫で足立議員を訴えた場合、足立議員の一方的な暴言であると事実認定されるだろう。

非常に悔しい事ではあるかもしれないが、朝日新聞が足立議員に「死ね」と言う記事を書いたので無い限り、朝日新聞に「死ね」と言うのは筋が違う。

「最大限強い言葉で非難する」のは構わないが、それが「死ね」である必要は全く無かった。「朝日新聞には報道機関たる資格は無い」とか「朝日新聞は報道機関として死んだ」とかにしておけば良かったのだ。足立議員の発言は無駄に敵を増やしただけである。

2. 誰であっても、相手が誰でも、「死ね」と言うのはNG

そして2番目は簡単な話であるが、誰であっても、相手が誰でも、「死ね」と言ってはダメだ。

「死ね」と言う言葉は、「殺意」を内包する非常に暴力性が強い言葉だ。実際に「死ね」と繰り返し2ちゃんねるに書き込んだ人が、33万円の賠償を命じられた判決がある。(参照:Business Journal

判決によると、書き込まれた「死ね」は殺意を示すものでは無いが名誉感情を害しており、人格権を侵害している不法行為である、となっている。

人格権とは「個人の人格的利益を保護するための権利」である。憲法で定められた基本的人権の1つだ。

簡単にまとめると、「相手に死ねと言うのは、人間としてやっちゃダメだよ。憲法と約束だ」と言う話だ。

なお、「朝日新聞は『人』ではない、『日本死ね』と同じだ」と言う意見もある。だが、これは間違いだと思う。朝日新聞は会社法人である。法人とは個人の集団であるが、「法人にも名誉権はあるので名誉毀損が成立する」と言うのが通説である。

やはり「朝日新聞、死ね。」は不法行為であるのだ。

「死ね、なんて呪いの言葉を肯定するから自分の身に降りかかってくるんだよ、因果応報だね」と言う人、「朝日新聞は巨大権力だから許容される」と言う人もいるが、これはおかしい。

日本はハンムラビ法典じゃなく、日本国憲法と各法律に基づく法治主義である。「死ね」は誰が誰に使っても、憲法で定められた基本的人権を侵害する言葉だ。

だから私は足立議員のこの発言を強く非難する。

そして、これは「日本死ね」を擁護する事には全くならない。誰であっても、誰が相手でも、「死ね」なんて言葉をぶつけてはいけないのだ。

両方ダメで、私は両方を強く批判する。

3. 結局、得をするのは朝日新聞

そして3つ目、「朝日新聞、死ね。」と書かれても朝日新聞は何も困らない。むしろ、朝日新聞を有利にするからだ。

足立議員の狙いを推察するならば、「世間では『日本死ね』を肯定した朝日新聞に対する批判でいっぱいである。だから、朝日新聞に『死ね』と言っても応援する意見がたくさんだろう。だから大丈夫」と言った所であろうか。

確かにそう言う意見はある。私のツイッターにもそういうリプやメンションがかなり来た。しかし、世間の大多数は決してそうならない。

「日本死ね」や加計学園に対する朝日新聞の報道は確かに酷い。怒りを感じる。しかし、法律違反を犯した訳では無い。どんなに酷くても、この件は言論の範囲である。

ならば、言論には言論で対抗しなければいけない。それを飛ばして、「死ね」と言う不法行為で対抗するのはテロリズムと言って良い。こうしたテロリズムに一般の方は嫌悪感を感じるだけだろう。

その証拠として、「『日本死ね』が許されるなら、自分も強い言葉を使っても良いと思った」ため、「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!」とブログに書いて全てを失った長谷川豊さんの事を思い出して欲しい。

朝日新聞は、足立議員に「死ね」と言われた事で被害者の立場を手にいれた。実際に、多くの識者とほぼ全てのマスコミが足立議員を非難している。

この状況は朝日新聞にとって笑いが止まらない状況ではないか。自社の記事を非難していた人物が、他のマスコミから非難されてその言い訳に手一杯になっているのだから。

足立議員は国会議員であるのだから、その知名度を活かした情報発信や国会質問という非常に有効な場を使って、問題のない言葉で多くの国民に自分の考えを訴えて欲しかった。

「保育園落ちた日本死ね」も「朝日新聞、死ね。」も両方ダメという簡単な話

何度も言うが、「保育園落ちた日本死ね」に対する怒りは同意する。しかし、それを加計学園の問題と混ぜてしまったら無駄に敵を増やすだけである。

「死ね発言に免罪符を与えた」と言う識者もいるし、足立議員も「国会が容認した」と発言している。だから自分も使っても良いと言う理屈なのだろうが、これは違う。

「日本死ね」を肯定したのは山尾議員とユーキャンという特定の個人・法人である。国会が容認したというのも曲解だ。誰もそんなものに免罪符を与えた覚えはない。

「死ね」と言う言葉は、基本的人権を侵害する不法な言葉だ。「保育園落ちた日本死ね」も「朝日新聞、死ね。」も両方ダメという簡単な話なのである。

足立議員は豊洲市場移転や、加計学園を巡る問題で非常に的確な意見を述べている。しかし、今の状況では足立議員の主張が間違っていると多くの方に思われてしまう。

言葉は自分の考えを伝える手段だ。その言葉遣いを間違えて、自分の考えが否定されるのは、本末転倒では無いか。

この記事は決して足立議員を貶めたいためではない、頑張って欲しいからこそだ。なんとか伝わって欲しいと祈るばかりである。

参照:Wikipedia 法人BuzzFeed News・11/13毎日新聞・11/13産経新聞・11/15

-政治

author : 宮寺達也

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