政治

希望の党の失速は「排除」発言では無い。「戦わない小池代表」より「戦う枝野代表」をマスコミが持ち上げたため

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出典:0テレNEWS24

前回の記事にも書いた希望の党・小池百合子代表の「排除」発言への恨み節であるが、全く止まる様子がない。

希望の党でその排除作業を行なった玄葉光一郎元外相までが「(排除する)発言がなければ、希望の党は200議席に迫る勢いだ」と恨み節を口にし、話題になっている。

まあ、玄葉氏については自ら希望の党を逃げ出して無所属で出馬するので、どの口が言うかという思いなのだが。

実際、希望の党は10月15日に発表された世論調査では、公示前勢力(57議席)を確保するのたやっとの情勢だ。たった3ヶ月前に都民ファースト旋風を巻き起こした東京でも小選挙区で全敗する恐れすらあり、失速はもはや止めようがない情勢だ。

たった3週間前の民進党との合流が発表された時には最低でも150議席、単独過半数で政権交代もあるかもと言われていたのと同じ政党とはとても思えない。

この背景には、明らかにマスコミの報道姿勢の変化があるだろう。小池氏は都知事選、都議選とニュース、ワイドショーとテレビ画面をジャックして、無党派層からの強い支持を追い風にして勝ってきた。今はその風が完全に逆風になってしまっている。

では、マスコミが突如として小池氏に批判的になってしまったのは何故なのか?

多くの識者は「排除」発言により、独裁的とのイメージがついてしまったのがその理由と言う。だが私は違うと思う。

10月3日、衆院選の構図が確定したと同時に、小池氏が出馬しない事が既定路線になった。その時からマスコミは「戦わない小池代表」に見切りをつけて、「厳しい選挙を健気に戦う枝野代表」を持ち上げるようになった。これがターニングポイントだったのでは。

【時系列で振り返るマスコミ報道】「排除」発言はそんなに注目されていなかった

今回の分析に当たっては、毎日新聞の「衆院選特集」を参考にした。選んだ理由は、アーカイブを9月まで遡って振り返れるからである。

では、「排除」発言があった9月29日から振り返ってみよう。

9月29日(金) 「排除」発言は目立たず。注目は「小池・前原会談」と「三都物語」

民進合流「全員はない」…小池氏、前原氏と会談

3知事あす会談 東京・大阪・愛知

9月29日は都庁で記者会見が開かれ、小池氏の「(リベラル派は)排除されないということはございません。排除致します」という発言が飛び出したまさにその日である。

しかし、「排除」自体は記者会見前の小池氏と前原氏の会談ですでにわかっていた。特に目新しい情報でなく、注目もされていなかった。それよりも同じ記者会見で発表された、愛知・大村知事と大阪・松井府知事との連携「三都物語」に注目が集まっていた。希望の党はマスコミの話題の中心であった。

9月30日(土)〜10月1日(日) 希望の党に勢い。だが、民進合流はドタバタ続き

希望、過半数擁立目指す 維新とすみ分け

希望、排除の論理 小池氏「全員受け入れ、さらさらない」 民進、広がる反発

民進分裂、新党模索も 希望が「排除リスト」

比例投票は自民24%、希望14% 共同通信調査

「排除」発言の後の週末でも、マスコミの話題は希望の党で独占されていた。特に注目は、民進党との合流がどうなるのかである。

元総理である野田氏が「先に離党した人の股はくぐる気は全く無い」と合流を拒否したり、合流を希望する人は外交・安全保障や憲法改正で政策が一致するのかと、果たして合流がどうなるのかとハラハラしながら見守っていた。

マスコミ報道には「排除」の言葉は出てくるものの、「野合批判を避けるため」とむしろ好意的に受け止められていた。そして、世論調査で希望の党は自民党の6割にも迫る14.8%もの支持を獲得している。

10月2日(月)〜10月3日(火) 立憲民主党が誕生。希望の党は弱気発言が相次ぐ

希望の党 連立も視野 若狭氏「小池氏、次の次出馬か」

立憲民主党 結党会見詳報

希望の党 小池代表「単独過半数目指す」 改めて出馬否定

3極対決、構図固まる 「排除組」苦しい船出

10月2日にはリベラル派が公認されない事を察知した枝野氏によって立憲民主党が結党された。こうして選挙戦の3極(自民・公明 VS 希望・維新 VS 立憲・社民・共産)の構図が明確になった。しかし、この段階ではマスコミはまだまだ希望の党を推しており、勢いがあった。

立憲民主党は出遅れも響いて、ほとんど泡沫政党に終わるのではという観測が支配的だった。しかし、この局面でなぜか希望の党は守りに入ってしまった。

若狭氏がNHKの番組で「『次の次』(の衆院選)ぐらいに確実に政権交代できる議席に達するというなら、今回出なくてもかまわない」と、実は希望の党は政権交代を目指していないという大失言をしてしまった。

小池氏は「過半数を狙う。単独政権が目標」と火消しに走ったが、自身は出馬しない事を明言したり、首班指名を誰にするか明らかにしなかったりと、「あれ、希望の党はもしかして政権を取る気が無いのでは?」という観測が高まってしまった。

今思い出すと、この10月3日が希望の党のピークであり、ターニングポイントだったと思う。

【時系列で振り返るマスコミ報道】マスコミは立憲民主党推し。出馬しない小池氏を見限った?

10月4日(水)〜10月5日(木) 明らかに立憲上げ、希望下げの報道が目立つ

希望、急造の踏み絵 「協定書なんて来ていない」

ツイッター、「立憲」読者8万人 民進大きく上回る

希望から「離反」も 立憲、排除組取り込み

小池氏、出馬を固辞 「首相候補、整理する」 前原氏と会談

10月4日に入ってから、明らかにマスコミの報道が変わった。

立憲民主党のツイッターのフォロワー数がすごい数になった事や、希望の党の踏み絵に反発の声が大きい事、なかなか公認を貰えない候補者の苦悩を伝えたりと、立憲民主党を持ち上げ、希望の党を下げる傾向が強まってきた。

そこに感じるのは「マスコミが願ったように話題を作ってくれない小池氏への失望」である。

マスコミは希望の党の結党以来、何度も何度も小池氏に「衆院選に出馬するのか?」と質問している。これは明らかに小池氏が出馬した方が選挙戦が盛り上がるため、出馬して欲しいからだろう。

しかし、小池氏は「最初から私の出馬はない」と否定を続けてきた。マスコミは小池氏は世論の動向を見ながら、出馬のタイミングを探っていると考えていたはずだ。しかし、公示1週間前になっても否定を続ける姿を見て、「これは本当に出馬しないぞ」との観測が強まったのがこの時期である。

私はこの日、マスコミは小池氏は出馬しないと判断し、それでは選挙戦が盛り上がらないと小池氏を見限ったと思っている。

10月6日(金)〜10月8日(日) 希望の党へのネガティブ報道が相次ぐ

小池氏、あいまい戦略 首相退陣で連立も

希望公約「内部留保に課税」 賃上げ効果見通せず

希望の女性擁立19% 公約の「男女同数」遠く

そうして小池氏が出馬しないと見限った後は、マスコミは希望の党のネガティブ報道に終始するようになっていった。

元々、綱領政策協定書も中身は無く、公約も「12のゼロ」と言う実現性ゼロと呼びたくなるものだ。ツッコミどころを探し始めたらキリが無

こうして、現在に至るまでの希望の党のネガティブ報道が始まり、大失速になったのだろう。

10月3日に出馬表明しておけば、全く違ったかもしれない

このようにマスコミの報道を振り返ると、マスコミは希望の党の結党時からずっと小池氏に衆院選出馬を求めてきた。その方がテレビの絵になるからだろう。

そして、公示1週間前の10月3日、出馬を表明するならこのくらいが期限だろうと思われていた日。奇しくも立憲民主党が結党して、選挙戦の3極(自民・公明 VS 希望・維新 VS 立憲・社民・共産)の構図が明確になった日。

この絶好の出馬日和に小池氏は衆院選出馬を表明しなかった。これは恐らく72%が都知事辞任に反対していたという世論にビビったためだろう。

しかし、これで衆院選で安倍総理 VS 初の女性総理・小池氏という絵を期待していたマスコミを裏切ってしまった。「崖から飛び降りる覚悟」を期待していた有権者も裏切ってしまった。

その結果、マスコミは「排除という苦しみに負けず、厳しい選挙を健気に戦う枝野代表」の方が絵になると判断し、立憲民主党に注目を切り替えてしまった。

返す返すも、ターニングポイントになった10月3日に批判を覚悟で出馬を表明していれば、マスコミの注目を独占したまま、希望の党は躍進していたかもしれない。

もっともそうであったとしても、政策論争なんて全く存在しない、国民置いてきぼりの劇場型選挙には違いない。私は「小池百合子代表を侮らず、しかし恐れず」という記事で、

現在の小池百合子フィーバーは、一度しか使えない禁断のポピュリズムに手を出し、実力以上に評価がストップ高の状態だ。言うならば、界王拳20倍であり、HUNTER×HUNTERで残りの人生を捧げて超パワーアップしたゴンさんのようなものだ。

このポピュリズムが終わった後、小池百合子フィーバーも終わる。そして、民主党のように一度付いた負のイメージは二度と消えないだろう。まあ、すでに東京都知事として負のイメージが付きつつあるので、まさに最後の勝負を仕掛けたという所である。

と書いたが、まさにその通りであった。私の予想よりも早く限界が来てしまっただけの話だ。選挙とは、政治家が公約をしっかりと掲げ、有権者がきちんと吟味して投票する。どんなに夢物語であると言われても、未来の子ども達のためにそうあって欲しいと願って止まない。

しかし改めて読むと、9月27日に書いた記事としては、先見性が有りすぎるなと自画自賛。

参照:産経新聞・9/29産経新聞・10/6時事通信・10/13時事通信・10/15



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author : 宮寺達也



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