政治

前原誠司・民進党代表の捨て身の決断も虚しく。もしかして立憲民主党の1人勝ちなのか?

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出典:立憲民主党公式サイト

10月22日に投開票を迎える第48回衆議院選挙。その序盤情勢が各マスコミから出揃った。

自民党・公明党は300議席を超える勢いで政権は安泰。希望の党は大失速で公示前勢力の57議席も怪しい。立憲民主党は大健闘で40議席越え、もしかしたら希望の党越えもあるかも。維新の会、共産党は存在感を無くし、社民党は消えそうで消えない、日本のこころはお疲れ様でした。

各マスコミによって予想には幅があるが、まとめるとこんな感じだ。

もちろん投票日までは何があるかわからない。だが30年以上衆議院選挙を見てきたが、序盤情勢から極端に結果が変わった事は無い。与党(自民・公明)が絶対安定多数を超え、安倍政権が継続する可能性は高い。

これから変わるとすれば、希望の党と立憲民主党のどちらが多く議席を獲得するか、では。

しかし、希望の党には民進党では当選できないから踏み絵を踏んでまで移った候補者でいっぱいだ。それなのに、実質的に民進党と言える立憲民主党から大量当選したら、死んでも死に切れない後悔だろう。

特に自身の政治生命を賭けて民進党の解党を決断した民進党代表・前原誠司氏の落胆は大きそうだ。

前原氏の誤算は何だったのか、選挙後の元民進党議員はどう動くのか。考えてみた。


「ガラパゴス左翼」を清算しようとした前原氏の「崖から飛び降りる覚悟」

私は希望の党のポピュリズムには強い懸念を抱いているが、批判を覚悟で民進党を解党しようとした前原氏の決断は素晴らしいと思っている。

前原氏はその政治決断に掛けた思いについて、ツイッターで報告している。注目するべきは、

民進党の結成は昨年3月。その後、我が党は他の野党との4党共闘を優先する余り、政策的立ち位置が曖昧になってしまいました。「民進党は左傾化し、共産党や社民党との違いが分からなくなった」と指摘される度に、私は忸怩たる思いに、さいなまれました。

の部分である。前原氏は保守的な政治家であり、憲法改正や現実的な安全保障を支持している。元々、民進党(民主党)は保守、リベラルが混在する政党ではあったが、ここ2年余りの「左傾化」を何とかせねばという思いが強かったはずだ。

特に2016年の参議院選挙で、共産党までを含めた野党共闘が一定の成果を上げてしまった。2012年に政権から下野して以来、民進党の党勢は芳しく無い。このままでは民進党の議員は自身の当選のために、どんどん野党共闘への賛成者が増え、左傾化していく。

前原氏はこれをどうしても止めたかったのだと思う。前原氏は民進党の解党を決断した理由を「1強多弱を打破し、安倍政権を打倒するため」と書いているが、それならば選挙区調整だけでも十分なはずだ。また、賭けるにしてもできたばかりの希望の党というのは無謀過ぎる。

ツイッターの報告を読んでも真っ先に「民進党の左傾化」が出てくる事からも、池田信夫さんなどが指摘するように、希望の党に合流する過程で「民進党の左派=ガラパゴス左翼(いつまでも護憲しか言わない人々)」を切り捨てる事が真の狙いだったように私も思う。

ただ、この政治決断は前原氏にとって個人的なメリットは無い。無所属で出馬する羽目になったし、民進党代表の座も追われ、首相になるチャンスも大きく遠のいた。切り捨てた左派を始め、民進党議員のほとんどに恨まれるだろう。

それでも自分の信念、理想に殉じて歴史的な政治決断を下した。まさに「崖から飛び降りる覚悟」を見せてくれた。

左派新党結成を阻止する前原氏の牛歩戦術

民進党の左派を切り捨てたい前原氏にとって、最も避けるべき事態は切り捨てられた議員による「左派新党」の結成だ。特に直前で代表選を争った枝野幸男氏が新党を立ち上げれば、ついていく議員も多いだろうし、希望の党と左派新党で票を分け合い、自民党を利する事になってしまう。

そんな前原氏の最大の鬼門が9月28日の両院議員総会だ。ここで「希望の党に合流するとは納得できない」という議員が大勢になると、合流そのものが頓挫したり、左派新党の結成を招いてしまう。

そこで「希望者は全員、希望の党に公認できる」と嘘をついた(もしくは大げさに)のだと思っている。

前原氏はそもそも民進党の左派を切り捨てたいのだし、希望の党・小池氏百合子代表も「丸ごと民進党議員を受け入れる事は無い」と答えている。「全員公認」なんて最初から有りえなかったはずだ。

しかしそれがバレると左派新党ができてしまう。そこで「全員公認」と左派を安心させておいて動きを止め、嘘とわかった時には新党結成時間切れを狙っていたのではと思う。まさに前原流の牛歩戦術だ。

そして目論見通り、希望の党への合流は両院議員総会で全会一致で可決された。新党の結成にはどんなに急いでも1週間は必要だろう。後は1週間くらい掛けて合流作業を行い、左派を公認しないと決めた時には新党結成時間切れだったのでは。

だが、小池氏による民進党議員の受け入れが余りにも杜撰で、強引過ぎた。

誤算だった希望の党・小池百合子代表の「排除」

小池氏と前原氏は事前に会談し、民進党の左派を切り捨てる作戦は理解していたはずだ。そのためには、ポーズでも民進党議員はほとんど受け入れる態度を示すべきだった。

だが、希望の党の勢いに奢ったのか、元々迂闊だったのかはわからないが、すぐにボロを出した。

9月29日の記者会見で「民進左派は排除する」と明言してしまった。

この言葉は失言だろう。排除そのものは悪い事では無い。政党がメンバーを受け入れる際、その党の理念や政策に賛同する人だけを許可するのは当然だ。そもそも民進党の前進、民主党も1996年に流行語になった「排除の論理」で誕生している。

しかし、この言葉は2017年には強過ぎる。しかも勢いのある希望の党から落選を恐れる民進党議員に向けた言葉なので、明らかに「弱い者イジメ」のイメージだ。

おまけにその日のうちに元首相を中心とした15人の「排除リスト」や、枝野氏の選挙区に対立候補を立てる「第1次公認リスト」が出回ってしまった。

さらには希望の党と維新の会が選挙協力を行い、大阪には候補者を立てない事になった。これで大阪の民進党議員は公認されない事が決定し、希望の党からの離反の動きに繋がった。

前原氏は9月29日から10月5日くらいまで掛けて合流作業をだらだら進めるつもりだったと思うが、2日後の10月1日には枝野氏にバレてしまって「まだ間に合う」と新党結成の動きに入られてしまった。

そうして10月2日には枝野氏が代表となって左派新党「立憲民主党」が誕生してしまった。

前原氏にとっては、野球で5回終了時に20点差くらいつけていた試合をひっくり返されたような衝撃だったのでは無いか。もしも小池氏が、

北朝鮮情勢が緊迫する中、希望の党は日本の安全保障に全力を尽くします。また希望の党は憲法改正についても積極的に議論していく立場です。希望の党に合流を希望される民進党の議員の方々は、是非とも希望の党の方針をご理解いただきたい。

とでも言っていれば、日本の歴史は変わったかもしれない。

選挙後、立憲民主党の1人勝ちになってそうな予感

さて、前原氏の懸念通り衆議院選挙は1強多弱の情勢になり、自民党・公明党は安泰だ。

おまけに希望の党はデタラメな政策協定書が明らかになったり、小池氏もグダグダした挙句出馬しないため、明らかに失速している。

たった15人の現職、78人の立候補者しかいない超急造の立憲民主党に猛烈な追い上げを見せられ、逆転するとの予想もある。

こうなると、選挙後の主導権争いも変わってくる。

前原氏の思惑や大方の予想は、保守政党である希望の党が野党第1党になり、民進党の参院議員も飲み込む。民進党の左派は選挙で壊滅するはずだった。

しかし、議席数で希望の党と立憲民主党が互角になると話は変わる。民進党の参院議員は民進党の理念を受け継いでいる立憲民主党に合流するのでは無いか。さらには野田元総理や岡田元代表のように無所属で当選するであろう大物議員も、今さら希望の党に行くとは考えにくく、立憲民主党に合流する可能性が高そうだ。

また、選挙期間中は踏み絵を我慢していた民進党議員も、当選すれば早速裏切って立憲民主党に移籍する人が続出しそうだ。

そうなると、衆議院・参議院の両方で立憲民主党が野党第1党になる。

前原氏の狙いは民進党の左派の壊滅だったはずが、逆に野党第1党になるという結果を招いてしまう。共産党を含めた野党共闘路線も強化されるだろう。

希望の党は綱領政策もデタラメなので、評価しない人は多い。そんな人達も、「ガラパゴス左翼を葬ることだけは意義がある」と評価していた。

そんな訳で、今回の選挙はつくづく残念な結果になりそうだ。この事態を招いた小池氏の慢心が本当にもったいない。もう少しだけ小池氏が謙虚であったら日本の歴史は変わっただろうと、後世の教科書に載るでのはないか。

ちなみに民進党の解党方針が報道された9月27日、私はこんなツイートをしていた。今見ても、なかなかの先見の明ではないだろうか。別にだからどうしたって話ではあるのだが。

この方法は悪手に思う

離党組を希望の党が選別するんだろうが、民進票全体の中でリベラル票がそのまま希望の党に行くとも思えない。大勢の参院議員や地方議員がいる以上、生き残ったリベラル勢を含めて民進党は存続し続け、より混乱の元になるのでは

参照:朝日新聞読売新聞毎日新聞産経新聞日本経済新聞産経新聞・9/30毎日新聞・10/2毎日新聞・10/6

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author : 宮寺達也

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