政治

小池百合子・希望の党代表と小池百合子・東京都知事、どうして差がついたのか…慢心、環境の違い

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出典:希望の党公式サイト

10月10日、私の世代には体育の日でお馴染みだったこの日、第48回衆議院選挙が公示された。22日の投開票までこれから候補者が人生を賭けた選挙戦を繰り広げる。これからの日本を引っ張っていく指導者を決める選挙である。私はもちろん投票するし、これを読んだ方も是非とも投票に行って欲しい。

さて、今回の選挙の大注目はもちろん小池百合子氏が自ら立ち上げ、代表に就任した「希望の党」である。

「共同代表、もしくは顧問に就任」といった大方の予想を裏切り、発表直後も大注目であったが、民進党の解党騒動が加わって注目度は天元突破。小池氏は「希望の党で過半数を目指す。政権選択選挙だ」とぶち上げ、一時は与党(自民党、公明党)が過半数割れするのでは、安倍総理は解散のタイミングを誤った、とマスコミには安倍政権退陣への妙な期待感が溢れていた。

しかし、最新の情勢では自民・公明で290議席を超える勢いで、希望の党は50〜60議席に留まる。もちろん投票日まで何が起きるかはわからないが、明らかに小池氏は選挙戦略に失敗している。

2016年の東京都知事選、2017年の千代田区長選、都議選と立て続けに圧勝し、小池氏は「選挙の神様」のような扱いであった。だからこそ、民進党から大挙して希望の党に移る人が出てきたのだ。

都議選からわずか3ヶ月、小池百合子氏の神通力はどうして急激に衰えてしまったのか?この1年あまり都政をウォッチしてきた身として、「慢心」と「環境」の違いを解説したい。


小池百合子氏の選挙戦略は何も変わっていない

希望の党の失速が明らかになるにつれて、小池氏の選挙戦略に批判の声が集まるようになっていった。

「民進党の議員に踏み絵を迫り、排除するやり方は独裁者そのものだ」

「希望の党の公約の12のゼロは何の実現性も無い。無知な大衆を騙すポピュリズムそのものだ」

と言ったものだ。その批判自体は実に的を射ているし、私もそう思う。

ただ、小池百合子氏の「独裁」「ポピュリズム」は都知事選、都議選を通じてずっと同じである。

小池氏は自らが代表になって都民ファーストの会を都議選で圧勝させた。知名度も無く、都政の経験も無い素人候補が中心ながら、50人を公認して1人しか落選しないという大圧勝であった。

しかし、選挙の翌日に「都政に専念する」と言って代表を辞任する、都民ファーストの会の議員には取材制限やブログ・SNSでの発信禁止、さらには規約を盾に唐突に代表をまたまた交代させるなど、やりたい放題であった。

離党した音喜多都議によると、都民ファーストの会でも政策協定署にサインし、希望の党と似ているとの事だ。よって小池氏の独裁ぶりはずっと変わらずなので、希望の党の失速の直接の原因では無さそうだ。

さらに小池氏は自らの進退を賭けた都知事選で、「7つのゼロ」という公約を掲げていた。

待機児童ゼロ、残業ゼロ、満員電車ゼロ、ペット殺処分ゼロ、介護離職ゼロ、都道電柱ゼロ、多摩格差ゼロ

と言った内容だ。

小池氏が東京都知事になって1年あまり、何一つ実現していないので「実現性ゼロ」とも揶揄されている非常に中身の無い公約である。ちなみに希望の党の衆院選の公約である12のゼロにも「待機児童ゼロ、満員電車ゼロ、ペット殺処分ゼロ、ブラック企業ゼロ、電柱ゼロ」があり、5つも被っている。

具体的な実現手段や都民・国民の負担を何一つ明らかにせず、キャッチーな言葉で「何か良い事ありそう」とワイドショーばかり見ている有権者に訴えかけるのは都知事選も衆院選も同じである。なので、この12のゼロの公約も失速の直接の原因では無さそうだ。

小池百合子氏が陥った慢心

では、ずっと変わらず批判されるような選挙戦略をやってきたのに、どうして都議選から立ったの3ヶ月で、もっと正確に言うならば民進党の合流が発表された9月28日からたったの1週間で小池氏の神通力が消滅してしまったのか?

まずは「崖から飛び降りる覚悟」を無くした慢心である。

小池氏は2016年の東京都知事選で「崖から飛び降りる覚悟で挑戦したい」と発言し、自民党の公認を得る事無く、落ちたら政治家生命終了という背水の陣で都知事選に挑戦し、圧勝した。

小池氏に投票した有権者が期待しているのは、このような「見ている方がハラハラする危険な挑戦」なのだと思う。都議選でも自民党を敵に回し、自らが代表に就任し、そのハラハラ感を演出した。

そして希望の党を発表した時、周りは都知事を辞めて衆院選に出馬するだろうと期待した。もちろん都知事の職を1年で投げ出す批判は大きいだろう、しかしそんな逆風にも負けずに背水の陣で挑戦する小池氏をみんなは見たかったのだ。

実際、本人も出馬する気があっただろう。そうでなければ自らが代表になったりはしないと思う。

しかし、ここで小池氏は日和った。衆院選がダメでも都知事の立場があるという状況に慢心したのでは。

希望の党の勢い、都知事辞任への批判、そういった世論を調査しながら「都知事に留まるか、出馬するか、どちらが有利か」と策略を巡らせていたと思われる。

そんな日和見な態度は「崖から飛び降りる覚悟」とは程遠い。政策には疎い有権者であっても、そういう態度の変化には敏感なのだと思う。

小池氏は「崖から飛び降りる覚悟」というたった一つの武器を、今の立場を守るために放棄してしまった。まるでイノベーションのジレンマの教科書に出てくるような、典型的な保身で身を持ち崩したパターンに思える。

小池百合子氏が甘く見た都政と国政の環境の違い

さらに、小池氏が甘く見ていたのが「国政に賭ける議員のプライド」である。

素人候補を大量に集めた都民ファーストの会では、「踏み絵(=政策協定署)」を踏ませても、理不尽な代表交代があっても、選挙前に異議を唱える気骨ある都議会議員候補は皆無であった。

しかし、国会議員、何より政権を担う衆議院議員は違う。踏み絵を迫られた民進党議員には、野田元総理、岡田元代表のように早々に拒否し、無所属という不利な立場で立候補を表明した気骨ある人がいた。さらには枝野氏を中心として短時間で新党「立憲民主党」を立ち上げる行動力のある人、長野1区で公認を辞退した篠原氏、佐賀1区で公認を辞退した原口氏などなどがいる。

国政に携わる議員には、理不尽な独裁や排除だと思えば自らの政治生命が不利になっても自分の信念を貫き通す気骨ある人々が大勢いた。まさに小池氏自身がやって来た「崖から飛び降りる覚悟」を持った人々だ。

民進党の政策や理念には共感しないという人でも、このような美学・プライドを持った気骨ある議員は応援したい人は多いだろう。

希望の党の失速は小池氏への批判に加えて、立憲民主党が躍進し、希望の党に迫る支持を獲得しているのが大きい。

立憲民主党の立ち上げを許したのはともかく、躍進させているのは小池氏が国会議員の気骨を甘く見たためであろう。排除・選別・踏み絵に反発の声があちこちから上がり、独裁者の印象が強く植え付けられ希望の党のイメージダウンになっていると思う。

小池百合子氏は結局、不出馬。予想は当たったが・・・

こうして、小池氏は都知事という立場を得て慢心した。さらには、都政と国政の環境の違いに気づかず、都議選での成功で国会議員を甘く見た。(しかし、小池氏は政治家キャリア25年の内、24年が国会議員なのに・・・)

そうしてどんどん追い詰められ、遂に衆院選に不出馬という結果に終わってしまった。とても「崖から飛び降りる小池都知事」とは程遠い。

こうして唯一の武器を失った小池氏はこれから、これまでの神通力が全て反転したかのように政治生命のピンチに陥るだろう。

東京都都知事を続けるにしても、自らの失政である豊洲市場移転延期、オリンピック準備の遅れに対する批判の声が高まってくる。味方のはずの都民ファーストの会も分裂確実で、公明党も離反しそうだ。

舛添元知事は「小池氏は出馬しなければ政治家生命は終わる。だから出馬以外の選択肢はない。」とツイートしたが、私もそう思った。

そこで「無責任のジレンマに陥った希望の党小池百合子代表。衆議院選挙に出馬するのか?」という記事で、私は「衆議院選挙に出馬しない」と予想した。

しかし、小池百合子氏に論理は通用しない。

自分ファーストとも野望ファーストとも言われる小池百合子氏が、一度は日本初の女性総理が見えたのに今さら少数野党の代表で満足するとは思えない。実際、「ただの国会議員なんて、私はもういい」と側近の都議に漏らしたようである。

極めて非論理的だが、小池百合子氏はこの「日本初の女性総理じゃなきゃイヤ」という時系列も論理のへったくれも無い感情に身を任せるのではないか。

というわけで、非常に難しい予想だが、私は衆議院選挙に出馬しないと思う。

この予想は見事に当たったが、別に嬉しくもなんともない。国政の混乱は避けられたかもしれないが、都政の混乱はますます拡大する。東京都民は苦労が続くだろうが、これもまた自分たちの一票の結果だと、重く受け止めて欲しいと思うのである。

参照:毎日新聞・10/2スポーツ報知・10/9BuzzNews.JP・10/5THE PAGE・10/6小池ゆりこ 東京都知事選特設ページ産経新聞・2016/6/29

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author : 宮寺達也

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