政治

「希望の党」小池百合子代表を侮らず、しかし恐れず

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出典:YouTube 【公式】希望の党

小池百合子氏が立ちあげた希望の党だが、予想通りと言うか、それ以上の注目度である。10月22日投開票の衆議院選挙の台風に目になりそうだと、各マスコミが相次いで報道している。

リツコさん風に言うなら、「これが自民党殺しの力 小池百合子、まさに希望の党ね」という感じか。

そんな中、ネットでも希望の党と小池百合子氏について活発に意見が交わされている。やはり、私が前回の記事「小池都知事の希望の党に、政策が無いことを証明する」で書いたように、あまりもの小池百合子氏の政策の無さ、ただの政治的野望だけが剥き出しになったポピュリズムを批判する声で溢れている。

しかし一方、「彼女のマスコミの使い方は天才的だ」「希望の党は、かなりの当選者を出すだろう」という小池百合子氏の選挙強さを評価する意見も多い。

私はどちらの意見も正しいと思う。都議選での都民ファーストの会圧勝が証明したように、政策の中身は空っぽでも、選挙で勝つ事は可能だ。このまま希望の党が躍進する可能性もあると思う。

だからこそ、冷静に見極めたい。希望の党と小池百合子氏は決して侮ってはいけないが、しかし無闇に恐れる事も無い。


小池百合子氏を侮るなかれ

小池百合子氏の手法は実にシンプルである。

誰か敵を設定し、その敵を「悪魔」として徹底的に攻撃する。そして、政策は「情報公開」「しがらみのない政治を」と言った、中身は全く無いが、良い事には間違いない事を連呼する。

そうやって一部の有識者の批判をものともせず、「政治とか良く分からないけど、戦う小池さん、カッコいい~」と思ってくれる、はっきり言うと「不勉強な一般大衆」を徹底的にターゲットにした戦略である。

都知事選の公約なんか「もっと安心、もっと安全、もっと元気な首都・東京」である。それで291万票獲得して当選したのである。

ま、要するにポピュリスト(衆愚政治、大衆迎合主義)なのである。

歴史的には決して珍しい存在ではない。あのヒトラーのナチズムもポピュリズムから産まれている。池田信夫氏の「小池知事のヒトラー的手法」という記事によるとヒトラーの演説は、

・つねに敵をつくり、自分たちがその犠牲者だと強調する

・圧倒的多数の民衆は、女性のように論理ではなく感情で動く

・同じ話を1000回くり返して初めて民衆は理解する

という手法らしい。確かに似ていると思う。

「都議会にはドンがいる」と敵を作り、PR動画の様に「東京や日本をダメにしている悪者と、勇敢に戦う私」を演出し感情に訴え、政策は何を聞かれてもひたすらに「情報公開」。そして、実際にこれで都知事選と都議選を圧勝してきたのだ。

特にテレビの使い方が上手い。25日の安倍総理の解散発表の日に合わせて、「リセットして、私自身が立ち上げる。直接、絡んでいきたいと思っている」とそれまでの予想を覆すサプライズ発表をぶち上げる。(本来は上野動物園のジャイアントパンダの赤ちゃんの名前が「シャンシャン」に決まった事を発表する記者会見なんだけど)

側近の若狭氏すら「携帯が壊れて聞いていなかった」と惨めな言い訳をさせるくらい、独善的だが大胆な手法でテレビをジャックした。その日の午後のワイドショー、そして夜のニュース番組では解散を発表した安部首相に匹敵する注目度を勝ち取った。

確かに、もうこれだけである程度の衆院選での勝利は約束されたようなものだ。極めて侮り難い。

小池百合子氏を恐るるなかれ

だが手法はともかく、本当に国政選挙で党を率いて勝利できる政治家であるのならば、なぜ昨年まで自民党で埋没していたのか。

小池百合子氏は1992年に日本新党から当選したのが政治家デビューであるので、もうキャリア25年のベテランである。年齢も65歳であり、実は63歳の安倍総理より2歳年上なのである。

次の衆議院選挙が4年後だとすると、その時には69歳になっている。安部首相ですら最後の総選挙であると見られている中、流石に次の総選挙では60代前半の政治家に年齢で見劣りする。小池百合子氏にとっては、今回の衆議院選挙がラストチャンスなのである。

その事は自分自身がいちばんわかっているのだろう。だから、逆算するように昨年の都知事選をチャンスと見定め、立て続けに勝負を仕掛けているのだろう。

では、なぜ最後のチャンスと追い詰めらるまで雌伏していたのか。それはシンプルに実力が無いからである。

小池百合子氏が注目を浴びたのは、小泉総理時代の2003年に環境相として入閣した時である。2005年夏には、軽装化キャンペーン「クール・ビズ」の旗振り役を務めたり、郵政選挙で刺客になったりと、注目を集めた。

しかし、それ以外にはパッとした実績は無かった。安倍総理に代わってから防衛大臣(シンゴジラの女性防衛大臣は小池百合子氏がモデル)を務めたが、防衛事務次官更迭問題、イージス艦機密情報漏洩事件が起き、わずか55日で退任している。

さらには、選挙に強いと言われながらも民主党に政権交代した2009年の総選挙では小選挙区で落選し、比例復活している。

その後、知名度はありながら第2次安倍政権では要職につかなかった。それを訝しがる人も多かった(かくいう私も)が、都知事に就任してから全てがわかった。

「単に、行政(実務)能力が無かったのである」

都知事に就任後、わずか1年余りで「豊洲市場移転問題の泥沼化」「環状2号線の工事中断」「凜ピックの準備が停滞」と、1兆円とも2兆円とも言われる損失を出している。消費税1%に匹敵する損失だ。ここまで実務能力が無かったとは想像でき無かったが、安倍総理が要職に起用しなかった理由は良くわかった。

そう、小池百合子氏は政治家として能力が有ったとか、特別に選挙に強かったという訳でも無い。その実力通りに普通に自民党で埋没していたので、年齢的にラストチャンスで勝負を掛けているだけなのだ。

では、なぜその最後の勝負ではここまで注目を集め、選挙で連勝を続けているのか。それは「ポピュリズム」という人生で1回しか使えない、禁断の界王拳20倍を使用しているからだ。

ポピュリズムは諸刃の剣。最強かもしれないが、一度使ったら政治生命を失う

ポピュリズムがそんなに素晴らしくて選挙で勝てるならみんな使ってる。それができないのは、やはり副作用があるからだ。

特に日本の衆議院選挙は政権選択選挙であり、小選挙区制で「与党か、否か」を問われる。したがって、政権を担当するにふさわしい「地に足の着いた政策」が求められる。

もちろん、自民党を含めて大なり小なりポピュリズムの兆候はある。しかし、ただただ「情報公開」「しがらみのない政治を」なんて空想だけでは勝ち続ける事はできない。

実際、自民党は前回の2014年の衆議院選挙では「消費税増10%増の2017年4月への延期」を打ち出したが、今回は「消費税増の使途変更」に留めている。それでも無責任という声はあるだろうが、「消費税増の凍結」を打ち出した小池百合子氏よりマシである。

またわかりやすいのは2009年の民主党であろう。「子ども手当てを月2万6千円」「高速道路の無料化」「ガソリンを安く」「埋蔵金を発掘し、予算確保」という、「私たちを信じれば、皆さんに負担はありません。絶対に儲かります」と言わんばかりの詐欺とも言える公約のオンパレード。まさにポピュリズムで政権を奪ったのだ。

もちろん、その結果は皆さんが知る通りだろう。2017年、民主党という政党は存在しない。

ポピュリズムは論理を無視して大衆を騙す手法なのだから、実際に実務を担当すれば化けの皮が剥がれるのは当然だ。実際に、小池百合子氏も都知事になって化けの皮が剥がれている。少なくとも、希望の党に対する意見で「東京都政の実績があるから評価できる」なんて意見は見たことが無い。

現在の小池百合子フィーバーは、一度しか使えない禁断のポピュリズムに手を出し、実力以上に評価がストップ高の状態だ。言うならば、界王拳20倍であり、HUNTER×HUNTERで残りの人生を捧げて超パワーアップしたゴンさんのようなものだ。

このポピュリズムが終わった後、小池百合子フィーバーも終わる。そして、民主党のように一度付いた負のイメージは二度と消えないだろう。まあ、すでに東京都知事として負のイメージが付きつつあるので、まさに最後の勝負を仕掛けたという所である。

しかし、政治家がどんな行動に出ようが、最後は私たちの一票で全てが決まる。それが民主主義だ。ポピュリズムを止めるのも、のさばらせるのも、私たち次第なのである。

安倍総理の戦い方も見事だ

そして、それに対する安倍総理の戦い方もまた見事であると思う。「もっと小池と対決姿勢を」ともどかしく感じる意見も見るが、相手は人生捨てて来てるのだから、ある程度の負けは仕方無いと踏んでいるのでは。

次の衆議院選挙に小池新党が出てきて、ある程度の勝利を収める事はわかっていた事だ。できるならばその影響を小さくしたい。そのために小池新党の準備が整わない内に早期の解散を仕掛けたのは、狡猾な判断である。どんなに小池百合子氏に人気が有っても、候補者が集まらなければ勝ちようが無い。9月に始まった国政候補者選抜のための政治塾「輝照塾」はまだ第1回を迎えたばかり、明らかに小池陣営の機先を制したタイミングでの解散である。

さらには都議選での圧勝は公明党の選挙協力が非常に大きかったが、現在のタイミングで都政をないがしろにする事は公明党が反対している。すでに都議会でも公明党が連立解消の動きに出ており、国政レベルので連携は困難だろう。都市部で重点的に当選を見込む希望の党にとって、大きな痛手であるはずだ。

また相手の「悪魔化」作戦に乗ることなく、衆議院選挙後も政局を流動化させないために、「東京都知事である小池知事とは、選挙戦はフェアに戦いたいなと思っています」と冷静な対応に終始している。

北朝鮮情勢が緊迫した中、私が求めるのは安定した政治、そして力強い外交である。その点で、安倍総理は外交では多大な実績を残し、選挙という喧嘩にも強い。これは安心できる。

しかし、現在の日本は一歩間違えば北朝鮮の核ミサイルで何百万人の命が危ない、戦後最大の国難を迎えていると言って良い。そんな時にも政治家は団結できず、己の権力争いに必死になっている。

進撃の巨人の第3巻で、壁の外から巨人が襲ってきている場面において、こんな会話がある。

ピクシス指令「もし…人類以外の強大な敵が現れたら人類は一丸となり争い事をやめるだろうと…お主はどう思うかの?」

エレン「そんな言い伝えがあるんですか…それは…ずいぶんと吞気ですね…欠伸が出ます…」

まさに、今の日本の政治を表しているようじゃなイカ。

参照:毎日新聞日刊スポーツ夕刊フジ東洋経済オンライン産経新聞小池ゆりこ 都知事選2016Wikipedia 小池百合子

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author : 宮寺達也

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  1. 匿名 より:

    小池百合子氏は聞こえのいい事を雄弁に語るが全て具体性がない事より質問にまともに答える事が出来ず意図的に的を外して答えていた。都知事職の実績や今後の方向性、国政進出の手法等々から見ても独裁に頼った統制力はあるもののまともな統率力、責任感、実行力はない。自分の事を何様だと考えているのだろうか思い上がりが激しすぎる。インテリな事はわかっているから変な横文字を使わないで解りやすく論じてもらいたい。以上からして小池氏自身が原因で希望の党はすぐに分裂するし都知事職運営にも困難さが増すだろう。都民国民の事を真面目に考え実行してから自身の事を考えてもらいたい。

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