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ローカル 政治

石原元都知事の豊洲市場「無害化の約束」は、もうこの世に存在しない

投稿日:

出典:おときた駿ブログ

小池都知事が豊洲移転を指示したというニュースを見て、その内容のヤバさに、

これからがほんとうの地獄だ

・全く無駄な追加対策工事費100億円
・さらなる開場遅れの損失200億円
・築地の売却益4000億円が活用案でほぼゼロに

豊洲市場移転のゴタゴタ。元に戻ったのではありません。5000億円近いマイナス

ツイートしたところ、自分でも全く理由がわからないが、大変な反響を頂いている。インプレッションは50万、RTは4500にも達してしまった。

このツイートの詳細は、前回の記事、「これからがほんとうの地獄だ・・・小池都知事の豊洲市場移転案がヤバイ」にまとめたので、こちらも是非ご覧になっていただきたい。

さて、ここまで大きな反響を頂くと、中には小池都知事の支持者と思わしき方々がクレームをつけにやって来られるようにもなった。

「フォロワー数200人にも満たない、私なんかを論破したところでどんな意味があるんだろう?」という疑問を抱えつつも、クレームに対して返信させて頂き、議論したりもさせていただいた。

そこで気になったのは、小池都知事の支持者が皆、同じ主張をされている事だ。それは、

「小池都知事は、石原元都知事が約束した豊洲市場の無害化を踏襲して、それが達成できていないから一度立ち止まっているだけだ。だから悪いのは石原元都知事で、小池都知事は正しい」

というものである。

まあ、色々とツッコミどころ満載ではあるものの、小池都知事の支持者にとってはこれが豊洲市場移転を延期した事を正当化する拠り所になっているようだ。もちろん、豊洲市場の移転に賛成か反対か、その考えは個人の自由である。

しかし、「無害化の約束を踏襲」は明確に法的に間違っている。考えは自由であっても、間違った事実を元にしているのでは、かえって小池都知事に迷惑を掛けてしまうだろう。そこで、この記事を通じて事実を明確にしたい。

石原元都知事が「豊洲市場を無害化する」とした約束は、もうこの世に存在しない。なので、それを踏襲する事なんて不可能である。


2010年度の中央卸売市場会計予算の付帯決議で「無害化を約束」

小池都知事の支持者が言う、石原元都知事による「無害化の約束」とは、2010年度の東京都中央卸売市場会計予算の付帯決議の事である。

平成22年度東京都中央卸売市場会計予算に付する付帯決議

築地市場の老朽化を踏まえると、早期の新市場の開場が必要であるが、これを実現するためには、なお解決すべき課題が多いことから、予算の執行に当たっては、以下の諸点に留意すること。

1 議会として現在地再整備の可能性について、大方の事業者の合意形成に向け検討し、一定期間内に検討結果をまとめるものとする。知事は議会における検討結果を尊重すること。

2 土壌汚染対策について、効果確認実験結果を科学的に検証し有効性を確認するとともに、継続的にオープンな形で検証し、無害化された安全な状態での開場を可能とすること。

3 知事は、市場事業者それぞれの置かれている状況及び意見などを聴取し、合意形成など「新市場整備」が直面している様々な状況を打開するための有効な方策を検討すること。

この付帯決議の2に、「無害化」と言う文言が登場している。しかし、この付帯決議では「無害化」との言葉が登場するだけで、その具体的な基準までは定められていない。一口に無害化と言っても、豊洲市場で人が働く地上・建物内を安全にすれば無害化と言えるし、豊洲市場の地上・地下の全てを環境基準値以下にする完璧な汚染対策が必要とも言える。

これについては、この付帯決議後の2011年2月23日の都議会予算特別委員会で議論され、岡田中央卸売市場長(当時)の答弁により具体的にされた。

2011年2月23日 都議会予算特別委員会

○岡田中央卸売市場長

汚染土壌が無害化された安全な状態とは、

技術会議により有効性が確認された土壌汚染対策を確実に行うことで、

操業に由来いたします汚染物質がすべて除去、浄化され、

土壌はもちろん、地下水中の汚染も環境基準以下になること

であると考えてございます。

これにより、石原都政において、「豊洲市場を無害化する=地下水中の汚染も環境基準以下にする」との方針が決定された。

なお、小池都知事が代表を務める都民ファーストの会都議団幹事長である音喜多駿議員もマスコミのインタビューで、

小池知事は、豊洲市場から環境基準以上の汚染物質が検出されたために移転を延期した。この判断は、豊洲市場を「無害化した安全な状態」にすると、2010年に都議会が付帯決議で決めたことに由来する。

と答えている。よって2010年度の付帯決議が無害化の約束の根拠であるという事は、小池都知事支持者と認識は合っているだろう。

2012年度の中央卸売市場会計予算の付帯決議で「無害化」の文言は消失

確かに現在に至るまで「無害化」の付帯決議が有効であり、その解釈が「地下水中の汚染も環境基準以下にする」と残り続けているならば、小池都知事の支持者の言い分もうなづける。

しかし、小池都知事の支持者には残念であるが、「無害化」の付帯決議も、「地下水中の汚染も環境基準以下にする」という市場長の答弁も、どちらも上書きされており、最早この世のどこにも存在しないのである。

まず、「無害化」の付帯決議であるが、2年後の2012年の東京都中央卸売市場会計予算の付帯決議にはもう削除されている。(議事録

平成24年度東京都中央卸売市場会計予算に付する付帯決議

予算の執行に当たっては、以下の点に留意すること。

1 豊洲新市場の開場に当たっては、土壌汚染対策を着実に実施し、安心・安全な状態で行うこととし、リスクコミュニケーションなどの取組を通じて、都民や市場関係者の理解と信頼を得ていくこと。

2 豊洲新市場の施設の建設工事は、汚染の処理を完了した上で、実施すること。

3 築地のまちづくりについては、中央区との合意を踏まえ、築地での食文化の拠点が継承されるよう最大限協力すること。

このように、どこにも「無害化」という言葉は見当たらない。これは当時、都議会の第1党であった民主党(自民党じゃ無いんだよ)から

「私たち都議会民主党は、豊洲新市場の施設の建設工事は、汚染の処理を完了した上で実施することなど、三項目を盛り込んだ付帯決議案を提案しています」

と提言されて、盛り込まれた内容である。

当然であるが、同じ中央卸売市場会計予算における付帯決議なのであるから、2010年度より2012年度が優先され、上書きされる。

「汚染の処理を完了」と書いてあるから、実質的に無害化じゃないか

と言いたい人もいると思うが、無害化という言葉が上書きされ、消えてしまったのは間違いない。少なくとも、音喜多幹事長のように2010年度の付帯決議を持ち出して小池都知事を擁護するのは事実に反している。

とはいえ、2012年の付帯決議は私も最近知った。情報を提供いただいたひもたろう氏に感謝したい。

2014年の都議会経済・港湾委員会で汚染処理の基準が変更された

さて、先ほども書いたが、

「汚染の処理を完了」と書いてあるから、実質的に無害化を約束している。岡田市場長(当時)が「汚染の浄化とは、土壌はもちろん、地下水中の汚染も環境基準以下になること」と答弁したじゃないか。

と言いたい小池都知事の支持者はいるだろう。残念だが、こちらも上書きされており、最早存在しない。

2014年11月18日の都議会経済・港湾委員会(議事録)において、中央卸売市場・基盤整備担当部長の若林茂樹氏が、

また、APプラス二メートルより下については、操業由来の汚染土壌を全て掘削除去し、地下水についても環境基準以下に浄化するもので、操業に由来する汚染物質は、確実に除去できたと考えております。

なお、土壌汚染対策法では、自然由来の物質が存在する場合、形質変更時要届け出区域が残ることとされており、豊洲新市場用地においても同様であります。

したがいまして、豊洲新市場用地における二年間モニタリングは、形質変更時要届け出区域台帳から操業由来の汚染物質を削除するといった、記載事項を変更するための手続に必要な措置として実施するものと認識しております。

と答弁している。専門的な用語が出てくるのでわかりにくいが、

「形質変更時要届け出区域が残る=地下水を環境基準値以下にする事を諦める」という事である。

「形質変更時要届出区域」とは土壌汚染対策法で定められた指定であり、豊洲市場のように過去に土壌汚染の有った土地を使用する場合、形質変更時要届出区域を指定する。

2年間の地下水モニタリング調査によって、問題が無ければ形質変更時要届出区域の指定を解除できる。若林氏は「豊洲市場では自然由来の物質が存在するため、形質変更時要届け出区域が残る事が有り得る」と言っており、これは即ち、地下水を環境基準値以下にする事を諦めると岡田答弁を修正し、上書きしたのである。

「直接、地下水を環境基準値以下にする事を諦めるとは言っていない」

とのクレームが出そうだが、きちんと法律に則った用語で論理的に説明しており、議事録も残っているのだから何の問題も無い。むしろ、こういう専門用語をわかりやすく都民に説明するのが小池都知事の仕事ではないだろうか。

2014年の舛添元都知事の安全宣言で豊洲市場の開場が決まった

しかし、まだ納得しない支持者はいそうだ。

「若林答弁は、操業に由来する汚染物質は確実に除去できた、自然由来の物質が存在する場合の話であり、ベンゼン100倍は明らかに操業由来だ。だから、これを除去するまでは開場は認められない」

と言いそうである。しかし、これも間違いである。

若林氏は「自然由来についても、法の定める対策を上回る二重、三重の封じ込めを行うものでございます。指定区域が残ることをもって、市場用地の安全性について、先ほどいわれましたけれども、問題あるとは考えておりません」と答弁している。

確かに操業由来の汚染が残っている事は想定していないが、地下水モニタリングを継続して地下水を監視し、その結果で形質変更時要届け出区域の修正・解除を目指すが、汚染物質が出て指定区域が残ったとしても問題無いという事である。

そして、若林答弁の半月後、2014年12月9日、舛添元都知事が定例記者会見で、豊洲市場の安全宣言を行い、開場を明言している。

この土壌の安全措置というのは、絶対にやれという法的に決められたものではなく、これはこれできちんとやる。しかし、そこに市場を開設するかどうかは、その措置をやらないとできないというような、そういう決まりではありません。

(中略)

私はこれで十分安全であると、ですから市場を開設しますということを、責任持って申し上げたいと思います。

この舛添氏の記者会見は要約すると、

・豊洲市場は法律的に、問題が無い

・念には念を入れ、何重にも安全な措置を取った

・安全措置と豊洲市場の開場には法的な因果関係が無い

・私は十分に安全であると判断し、市場を開設する事を責任を持って宣言する

という内容である。

この安全宣言を持って、豊洲市場は地下水の汚染が環境基準値以下にならなくても、開場するという事が決まったのである。つまり、

石原氏の無害化の付帯決議 × 0(2014年付帯決議) × 0(2016年若林答弁) × 0(2016年舛添安全宣言) = もう石原氏の無害化の約束は存在しない

である。2016年、小池都知事が就任した時点で「石原氏が無害化を約束」という法的根拠は存在していないのである。小池都知事が引き継いだのは、舛添元都知事の安全宣言である。

これを無視して、「地下水で環境基準値以上の汚染物質が見つかったから開場延期」「無害化が達成できずに申し訳無いと陳謝」とは、時空を超えた勘違いである。

現在の豊洲市場移転延期の全責任は小池都知事にある

小池都知事が豊洲市場移転延期を石原氏の責任にしている事は、例えるならば日本国憲法が施行されている現代において、大日本帝国憲法時代を踏襲して、治安維持法を根拠に都民を逮捕(豊洲市場を閉鎖)しているようものである。今朝成立した共謀罪の悪用も真っ青である。

こんな暴挙が許されないのは、小学生でもわかるだろう。政治家が好き勝手に踏襲する法律を過去から選び放題になったら、めちゃくちゃだ。切り捨て御免だって許されてしまう。

つまり現在の豊洲市場移転延期は小池都知事の独自の基準による延期判断であり、その責任は全て小池都知事にある。小池都知事は本来、直近の舛添元都知事の安全基準に基づいて豊洲市場を早急に開場しなければいけなかった。

それが嫌ならば、都議会に諮って新たな小池版の安全基準を策定しなければいけない。しかし、それをせずに独断で豊洲市場をストップさせているから、違法であるとして住民訴訟を起こされているのだ。(参照:産経新聞

ちなみに、「基準を変更したなら、都民にわかるように説明するべきだ」とも言われたが、これは流石にいちゃもんが過ぎる。

東京都議会は東京MXでテレビ中継もしているし、議事録は全てウェブで公開されている。これ以上情報をオープンにしている議会なんて国会くらいしか無いだろう。それに、都民がそんな細かいところまで常に把握する必要は無い。豊洲市場移転は常に都議選の争点になっており、都民は各都議に豊洲市場移転について検討を委託したのだ。政治の詳細を議員に託し、大衆は自分の生活を満喫する事こそ、間接民主制の本質では無いか。

しかし、小池都知事の支持者はどうしても舛添元都知事の安全基準を認めたく無いようだ。まあ、支持者にとって、

石原元都知事(法律以上の安全性を求めた)=無駄な巨額支出=悪

石原元都知事を踏襲した小池都知事=可哀想なアテクシ=大正義

になっているのだろう。

だから、豊洲市場の汚染対策について議論すると論理がふわっふわっしている。

「860億円も費やすなんて酷い」

「移転中止による損失200億円は仕方が無い」

「追加対策のコスト300億円は正しい」

と汚染対策にお金を掛けるのが良いのか悪いのか、はっきりしない。そして、石原基準を踏襲した可哀想なアテクシの邪魔になるのが舛添元都知事だ。舛添基準を認めてしまったら、石原氏の残した負債に苦しめられている可哀想なアテクシが崩壊するからだ。

しかし、この記事のアイキャッチ画像を良く見て欲しい。これは偽証が許されない豊洲市場の百条委員会で都議が出したパネルである。そこに、舛添元都知事が安全宣言して基準を下げた事、小池都知事が議会に諮らず勝手に基準を上げた事がはっきりと示されている。非常にわかりやすく、素晴らしいパネルだ。

そして、このパネルを作成したのは小池都知事の応援団の中心にいる、都民ファーストの会都議団幹事長の音喜多駿議員である。

小池都知事が議会に諮らず勝手に基準を上げた事は、私が妄想で主張している事ではなく、都民ファーストの会が公認した間違いの無い事実である。

そのことをどうか小池都知事の支持者諸君らも思い出していただきたい。

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author : 宮寺達也




                                                                                                 
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