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IT・メディア ビジネス

Huluはアメ車だから契約した。勝手に国産に改造されたら、そりゃ退会するよ

投稿日:

出典:Hulu公式サイト

Hulu日本のシステムリニューアルにおける混乱について、「Huluはただ値上げをすれば良かった」という記事をアゴラに投稿したところ、かなりの反響を頂いた。

やはり、みんな今回のHuluのシステムリニューアルには大分不満が溜まっているようだ。私と同じく、多少値上げしても良いから、前のシステムに戻して欲しいと思っている人が多いようだ。

さて今回のHuluの混乱について、コピーライターの境治氏が実際にHuluの社員に取材をして、トラブルの背景、原因、今後の展望についてまとめた記事「huluのリニューアル・トラブル、問題を残しつつ収束へ~それは、なぜ起こったか~」を掲載された。

しかし、私は境氏の記事に出てくるHuluの社員のコメントを読んでなお、不可解な気持ち、ユーザとして批判の気持ちが残っている。それを境氏の記事を読みながら書いていきたい。


Huluのリニューアルはアメ車を国産車として作り直したらしい、が・・・

さて、私や松本孝行さんは今回のシステムリニューアルやドメイン変更といったHulu日本版の不可解な対応について、Huluの財務情報や各取材記事を元に「コストダウンをしたかったのでは」と推測した。

境氏の記事では私や松本さんの記事にも言及されており、「筋違いの情報が広がるのはユーザーの不快感を煽るだけではないか」と私たちにかなり手厳しいコメントをいただいた。

確かに担当者に取材せず、公開情報から推測で書いた記事には間違いないので、実際に取材をなされて記事を書かれた境氏には頭が下がる思いだ。そのご指摘は謙虚に受け止めたい。

では、その取材内容を元に改めて今回のHuluの対応を考えたいのだが、私はまず失望の気持ちが強くなった。

特にがっかりした事が、HJホールディングス社長の於保浩之氏が「いままでのhuluは、言ってみればアメ車だった。これを国産車として作り直したのが今回のリニューアル」と述べている箇所だ。

はっきり言って、Hulu日本法人は私たちユーザーがHuluの何を素晴らしいと思って契約したのか、これからのHuluにどうあって欲しかったのか、完璧に勘違いをしていると思った。

「いや、私たちユーザはアメ車が欲しくて契約したのに、何を勝手に国産車に改造してるんだよ。それ、詐欺じゃないか」

という思いだ。

Huluがアメリカから上陸したのは2011年の事であるが、それまでにも国産の動画配信サービスはたくさんあった。しかし、どれもパッとしなかった。

テレビで視聴できるアクトビラや、バンダイチャンネル、TSUTAYA TV、Gayo!等々。はっきり言ってどれも満足できるものでは無かった。

国産の動画配信サイトは著作権に過剰に配慮しており、PCでは見れなかったり、見放題ではなくて一週間のレンタル配信であったり、変なロゴがずっと浮かんでたり、画質がものすごい悪かったり、全画面再生もできなかったり、でも30分の番組に200〜300円のお金が掛かったりしていた。

はっきり言って、レンタルビデオ店に行ってDVDを借りた方がマシだった。

ユーザーは自分の好きなコンテンツには、必要なら数千円のお金を出すのだって厭わない。しかし、国産の動画配信サービスは、「コンテンツを楽しむ」というユーザーの気持ちにあまりにも無配慮であった。

私たちはできるだけ余計な邪魔をされず、心穏やかに愛するコンテンツを楽しみたいのだ。孤独のグルメ風に言うと、

動画を観る時はね、誰にも邪魔されず 自由でなんというか救われてなきゃあダメなんだ 独りで静かで豊かで・・・

と言う事だ。国産の動画配信サイトはユーザーを「著作権泥棒」と決めつけているかのような態度で、私たちに様々な制約を与え、常に疑いの視線を向けてきた。

そんな中で、「月額980円で、40000を超えるコンテンツが見放題。余計な制約は一切ありません」というHuluは革命的であった。その後遅れて上陸するNetflixも合わせて、私たちはアメ車(アメリカ発の動画配信サービス)に魅力を感じ、契約したのだ。

Huluのリニューアルはユーザーを軽視している

そんな「ユーザーを犯罪者扱いしない」、ホスピタリティ溢れるアメ車好きにとって、今回のHuluリニューアルはまたユーザーを犯罪者のように扱っているようだ。

HDCP対応で多くのユーザーが視聴不可になったが、これについて「HDCP導入は再び各コンテンツプロバイダーと契約を結ぶ際の絶対条件」と書かれている。だが、色々とおかしい。

そもそもシステムリニューアルをしたから再契約の必要が発生したわけで、これは完全にHulu日本の都合だ。以前のシステムならば、HDCP無しでもコンテンツプロバイダーは契約していたのだから。

現に、HDCPを必要としないNetflixやAmazonプライムビデオは、多くのオリジナルコンテンツを始め、どんどん動画数を増やしている。本当にコンテンツ数を増やすためにHDCPが必須だったのか、非常に疑問だ。無論、NetflixやAmazonプライムビデオが著作権を軽視しているわけでは無い。両方とも、最新のブラウザに搭載された著作権保護技術を使用しており、コンテンツプロバイダーの要望に応えている。

さらに、そもそもHDCPはそんなに大した著作権保護技術ではない。最新のver.2.2ならまだしも、今回のHuluが求めているノーマルHDCPは2010年9月にマスターキーが漏洩しており、研究者らはHDCPにもはや効力はなく崩壊していると警告している。(参照:Wikipedia

実際、ググればHDCPを無効化する方法なんて幾らでも出てくる。今回のHDCP必須化は、古いモニターを愛用し続けている善良なユーザーを切り捨て、違法行為をする業者には何の防御にもならない。誰も得をしない、愚かしい判断だ。

また、システムリニューアルの問題の本質は、動画が不安定になるとかその内改善するような事じゃない。システムリニューアルに伴い、ユーザーに不要な手間を掛けさせ、さらに多くのユーザーを切り捨てている事だ。

まず、公式サイトでも案内(http://hulu-japan.jp/newhulu/info.html)しているが、アプリのアップデートだけではなく、機器によっては「新規インストール」が必要になる。例えば、アプリ操作とかはよくわからないが、Huluが視聴可能なデジタルテレビを購入して家電量販店の人にセットアップしてもらった人は、新規インストールに苦戦するだろう。

また、多くの対応終了機器がアナウンスされている。その中には今も大勢が使っているであろう任天堂のWiiや、2011年に発売されたソニーBRAVIAの最上位機「HX920」も含まれている。たった6年前に発売された、まだまだ現役のテレビがサポートから外れているのだ。

無論、Fire TV Stickのような機器を使えば、視聴は可能だ。

だが一方的に切り捨てられたユーザーがそこまでしてHuluとの契約を続ける事は無いだろう。NetFlixなどに流れて二度と帰ってこないだろう。そこまでしてHDCPという意味の無い著作編保護を強化する。まさに誰得である。

そして、最大に不可解なドメイン変更(hulu.jp → happyon.jp)については全く理由になっていない。

記事では、「いろんな案の中から議論して、これに決めました。アメリカのhuluと揉めたわけでもないですし、むしろいまも良好な関係です」とはぐらかした回答をするだけで、「なぜドメイン変更が必要だったか?」「ドメイン変更により、ユーザーにどんな利益があるか?」というユーザーの最大の関心に全く回答していない。

「ドメイン名は、一度ブックマークすればその後は思い返すこともないからどうでもいいのかもしれない」とあるが、そんな手間の小さい大きいの話では無い。

ドメイン変更は「ユーザーにデメリットしか無い」ものだ。飲み会で1万円を払うのが全く惜しく無いという人でも、財布に穴が空いていて100円を失ったら気分が悪いだろう。人間はどんなに小さくても、「デメリットしか無い」事を強く嫌がるものだ。

今回のHuluのドメイン変更はまさにそれだ。こんな回答では納得できるはずが無い、絶対に何か裏があるとしか思えない。Hulu日本は、ドメイン変更でユーザーに迷惑を掛けた事、その理由をきちんと説明しない事で、酷く信頼を毀損している事をきちんと認識して欲しい。

国産車が作りたければ、勝手に新しく作ってくれ。アメ車のHuluを返してくれ

整理すると、私たちHuluユーザーは国産車が嫌で、アメ車に魅力を感じて契約したのだ。それを勝手に国産車に改造されては困る。詐欺じゃないか。

もちろん国産車を作りたいならば、勝手に作れば良いと思う。ただ、それは日テレプライム・ビデオとか、新しいサービスで始めて欲しい。

そして、本当にそれをしたら、まずHuluやNetflixといったアメ車には勝てないだろう。Hulu日本は実はそれをわかっているからこそ、中身はもう別物なのに、名前だけは借り続けているのでは無いかと思ってしまう。

Hulu日本を始め、国産の動画配信サービスはアメ車が受けている理由をもう一度よく考えて欲しい。

AmazonプライムビデオやNetflixがなぜあれだけの数の動画を確保できているのか。ユーザーがどんどん伸びているのか。

少なくともその理由は著作権保護では無い。Huluは2017年で150万人と凄い数のユーザーを確保していたし、その大半は私のようにちょと値上げしても離れない堅固な支持をするユーザーであったと思う。

その自分たちの魅力を、ユーザーを信じることができず、著作権保護にコンテンツ不足の理由を見出すなんて、まさに典型的な古臭い日本企業の発想だと思う。

それではまるで、MP3に対応しなかったウォークマンがiPodに駆逐された歴史の再現では無いか。

改めてHulu日本は誰も望んでいない国産車への改造は辞めて、できれば元のアメ車に戻して欲しい。

もしこのまま国産車への改造を続けるならば、新しい国産動画配信サービスとしてHuluを名乗らないで欲しい。このままでは、Huluという名前でアメ車が欲しいユーザーに騙して国産車を売りつけているようなものだ。

そして、ドメイン変更はどう考えても不可解なのできちんと説明して欲しい。

これだけユーザーに迷惑を掛けて、切り捨てて、その結果が「Dragon Ashの本格ライブ番組を独占配信」では納得できるはずが無い。

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-IT・メディア, ビジネス

author : 宮寺達也




                                                                                                 
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