ジャーナリズム 書評

アゴラは残念なキュレーションサイトと何が違うのか?

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出典:書籍「蓮舫VS小池百合子、どうしてこんなに差がついた?」書影

「肩こりは霊が原因」といったトンデモ記事が満載していたDeNAの「WELQ」の大炎上をきっかけに、DeNA、リクルート、サイバーエージェント、ヤフーのキュレーションサイトが続々と非公開に追い込まれている。これらのキュレーションサイトは著作権侵害のコピペも辞さずにデマ記事を乱立させ、SEO(検索エンジン最適化)を駆使して広告収入を稼いでいた。ネットの自由をはき違え、倫理を無視してひたすらに収益を追い求める姿は醜悪の一言につきる。

このニュースを眺めながら改めて実感したのが、アゴラの安定感である。アゴラは従軍慰安婦問題や蓮舫氏の二重国籍問題などで多くのセンセーショナルな記事を発信しているが、SEO重視の悪質な記事を量産することなく、しかし着実にPVを延ばしている。

私はそんなアゴラのポリシーに共感したためアゴラ出版道場の門を叩いたので、アゴラの運営の秘訣が気になっていた。

それを解き明かすべく、12月8日に発売になったアゴラ編集長の新田哲史氏(以下、新田さん)の新刊「蓮舫VS小池百合子、どうしてこんなに差がついた?」を購入したので、早速読んでみた。

 

蓮舫VS小池百合子、どうしてこんなに差がついた? – 初の女性首相候補、ネット世論で分かれた明暗 – (ワニブックスPLUS新書) [新書]
新田 哲史
ワニブックス
2016-12-08

 


アゴラはファクトとロジックを重んじる

本書は4章構成で1・2章で蓮舫氏の二重国籍問題、3章で小池氏の都知事選、4章でネットと政治の未来を解説している。

アゴラ読者としてはやっぱり蓮舫氏の二重国籍問題、その裏側で何が起きていたのかが非常に気になる。問題が発覚した8月以降、八幡和郎氏と池田信夫氏が「蓮舫は嘘をついている」と断定し、多くの記事を投稿していた。

ただ、記事を読んでいて論拠に説得力は感じたが、当時は「ちゃんと証拠はあるのだろうか?」と一抹の不安を覚えていた。実際、蓮舫氏は一貫して疑惑を否定し、(産経新聞を除く)マスメディアは黙殺していた。

そのため、「もしかしたら、最終的にはアゴラが誤報を出したという世論になってしまうのでは?」「そしたらアゴラが潰れてしまうのでは?」と、出版道場の申込み金を払った身としては心配していた。

しかし、本書を読むことで、当時の私の心配が杞憂だったことがわかる。

実際に他のメディアから反撃されていた様子も書かれているが、それ以上に八幡氏と池田氏がきちんと取材を行い、事実に基づいた記事を書き、一切ぶれることなく蓮舫氏を追求していたことがわかる。

逆風にひるまず発信し続けたからこそ、ネット民が呼応し、「台湾政府の官報」の発見といった追い風を得ることができたのだろう。そして、「蓮舫氏は二重国籍の事実を詐称していた」という世論が定着し、アゴラは1000万PVを達成した。

この詳細は、是非とも本書を購入してご覧になって欲しい。

品質管理と成長の両立は可能

蓮舫氏の二重国籍のようなスキャンダル、従軍慰安婦や脱原発といった世論を二分する問題、世間の常識に反するトランプ大統領の当選予測と、アゴラは常に様々な分野で攻めている。そして、攻めながらも常にファクトとロジックを重要視する姿勢が、他のネットメディアとは一線を画していることが本書からはひしひしと伝わってくる。

アゴラと同じようなネットメディアにはBLOGOSがあるが、小林よしのり氏のような超保守論客から、デマ記事を量産する脱原発ジャーナリストの記事を節操なく転載し、品質管理が疎かになっていると感じていた。その結果、長谷川豊氏の大炎上が起きてしまった。

本書を読んで、新田さんが品質管理を維持しながら、新しい執筆者をどんどん発掘していくことによって、アゴラは大きなトラブルを起こさず、着実に成長できているのだなと感じた。

私はエンジニアであるのでファクトとロジックで妥協することは許されない。出版を考えるときにアゴラを選択し、今もアゴラに投稿しているのは、アゴラの運営ポリシーと相性が良いのだろう。

これからもファクトとロジックを重視した記事を投稿し、いつかは蓮舫氏の二重国籍問題のように、世間を動かすヒット記事を書きたいと思う。

アゴラは経済学者、国会議員、都議会議員、学者、医者、コンサルタント、ジャーナリスト、映画評論家、投資家、(パテントマスター)等々、バラエティ豊かな執筆者を揃えながら、品質管理をしっかり行っている稀有なネットメディアだと思う。

このバラエティさはダイヤモンドオンラインや東洋経済オンラインには無い特色だ。この強みで両メディアに追いつき、追い越し、そのときに私も執筆陣の一員になれていたら素晴らしいと思う。

さて、「蓮舫VS小池百合子、どうしてこんなに差がついた?」の書評はまだまだ書きたいことがある。

次回は3章を読んで感じた、小池氏の現状への懸念と提言を書きたいと思う。


※この記事は、2016年12月11日にアゴラに投稿・掲載された記事を再掲したものになります。

-ジャーナリズム, 書評
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author : 宮寺達也

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